03E 鴨女(かもめ)が泣いた日 2
その週の土曜日の午後、私と上倉晴子はグラウンドの練習場にやってきた。
ソフト部は練習試合で遠征に行っている。引退したが晴子は控えのピッチャーだった。ソフト部はここ何年か県大会でも優勝したりしているが選手の個人力頼みで強豪校という感じではない。たまたまいい選手が揃っていただけだ。
それで? 何をしてどうすれば私の勝ちになるんだ?
「ええと……そうね。どうしようかしら」
決めていなかったのかよ! 本当にノリと勢いなところは昔と変わらないな。
じゃあ晴子が投げてげ私が打席で打つ。1打席勝負でどうだ? それで1球でも外野に飛ばせれば私の勝ちだ。
「それってあたしが断然有利だけど零一はそれでいいの? ま、まさかわざと負けて……」
いやそれはない。勝負は勝負だからな。それでも勝算はあるつもりだ。まあ錬金術を使うんだがな(小声)。
晴子がマウンドから何度かの投球練習のあと、バットを持って私が打席に立つ。
1球目、晴子が投げたボールに合わせて私はバントのようにバットを寝かせてコツンと当てた。
「何よそれ! 今のは打ったことにカウントしないわよ」
ああちょっとした確認だ。ソフトボールは野球より距離が近いから気になってな。ちゃんと作用しているな。
そして晴子が投げた2球目を私は難なく外野に運んだ。これでいいよな。さっさと帰ってクーラーで涼みたい。




