038 暴君殺しのプレリュード 3
この手本引はまず親が6枚のうちから選んだカードを桐の文箱に入れて隠し、子がそれと同じと予想したカードを場に表向きに置いて賭け金を張る。子のカードと掛け金が出そろったところで親が文箱を開けて自分のカードを場に開帳する。そして合力が掛け金を回収し配当を返すというのが一連の流れだ。
この手本引きで遊茶公大は連戦連勝したらしい。そんなことが普通の人間に本当にできるものなのか?
「オレが何年小枝と暮らしてきたと思ってんだ。癖とか表情とかの情報がダダ漏れのやつの6分の1なんて外すわけねえだろ?」
いやお前、簡単に言うが絶対サトリか何かだろ! いっそギャンブルで、いやそうでなくても行動心理学とか勉強したら食っていけるんじゃないのか?
そして公大は丁字信伍を引っ張りだし、どちらかの掛け金が無くなるまでの差しの勝負に持ち込んだのだという。
一時の勝負の熱気を楽しんだ後、丁字は最後の勝負で親にイカサマを指示した。
「たぶん文箱が落とし蓋になっていて、そこに別のカードが仕込んであったんだろう」と公大は言った。
それを見抜いた公大は文箱を開けるのではなく、先に他の5枚のカードを見せろと迫った。それを見れば中にあるカードは推測できるし、もし中のカードが5枚のどれかと同じだったならそれが必然的にイカサマの証拠となるわけだ。
そして公大は50万円余りの金を掴んで賭場を出た。その帰りにバイクの不良に襲われ釘バットで足をぐしゃぐしゃにされるのだが、金は腹にガムテープでぐるぐる巻きにしていてどうにか死守したのだという。
「確かに安くはなかったな。でもまあその分の金も入ったし……何より小枝のためだからな」
そう言って公大は話を締めくくった。馬鹿野郎、泣かすなよ。コーラ飴食うか?




