037 暴君殺しのプレリュード 2
「それで次は丁字の番ってわけか。オレに何が訊きたいんだ? ただし手伝いはしねえぞ」
給食の時間に遊茶公大は私のゼリーに手を伸ばしながら言った。情報料の手付けは構わないが太るぞ。
私は公大に丁字信伍がやっているギャンブルのことを訊いた。「手を汚さない暴君」のあだ名の通り丁字は荒事には用心棒や子分を使って前に出てこない。人を支配して指図することに快感を覚えるワンマン社長タイプだからな。
その一方で丁字はギャンブル狂だ。奴と直接対峙するチャンスはこれしかない。実際に人を動かすには金がかかるということもあるし手っ取り早く金を集める方法だということもある。それを抜きにしても一攫千金を狙って刹那に金がやり取りされる状況に魅了るのだろう。
賭場で人気があるのはトランプを使った手本引きらしい。赤の1から3と黒の1から3を使い、親の伏せた札を読んで子がそれを当てる。色と数字の両方を当てれば参加料の300円(それ以上で3の倍数)が800円になる。そして短時間で何度でも勝負ができる。
加えてこのギャンブルには救済措置がある。色だけ当たれば100円、数字だけ当たれば200円が戻ってくる。全損でないところがミソだ。配当があることで「ボロ負けでない」という安心感を参加者に与えて長く賭場に留め置くことができるのだ。




