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005 クソ雑魚オタクのバラッド 5
当然だがぼくは手術を拒否した。「二つあるんだから」などと言われても強欲な後妻がそれで済ますとは思えない。祖父の急死ような不幸がまた今度も起きる可能性だって無くはないだろう。麻酔で眠っている間に内臓が空っぽの死体になるなんてことは考えたくもない。
すると後妻はさらにぼくに圧力をかけてきた。自分が身寄りのない先妻の子の面倒を見てやっていることを美談に飾り立て、周りのオトナ連中も巻き込んで「その恩に報いるのが人の道だろう」などと情に訴えて脅迫してくる。「何故うんと言わない!」と殴られることもあった。
オトナだけでなく周りの誰もが偏見に満ちた目でぼくを見ていた。離婚された欠陥品の母親が生んだ私生児。離婚された家にお情けで養われている孤児。何の後ろ盾もないならどんな仕打ちをしても構わない、そんなふうに見られていた。




