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02D 青春金網デスマッチ VS.「荒れ狂うダンプカー」井ノ上琢郎 1
「逃げずによく来たな。度胸だけは認めてやるぜ」
次の日の放課後、私は柔道着を着た井ノ上琢郎と対峙していた。畳と汗の入り混じった独特の匂いが第2体育館に充満している。
「鹿目がクソ雑魚にやられたとはまだ信じられねえが、どうせ何か卑怯な手を使ったんだろう? ここでそれは許さねえぞ」
卑怯な手を使ったのは鹿目のほうだ。それにこの状況はそれとどう違うんだ?
私と井ノ上の周りを10人ほどの柔道部員が囲んでいる。場外に逃げることを許さないランバージャックデスマッチということか。休もうとしてもこいつらが数で追い打ちをかけてくるのだろう。
囲んでいる中には竹刀を持った奴もいる。児島草平も竹刀を持って私をいたぶる気満々だ。だがニヤニヤ笑っていられるのも今のうちだぞ。
井之上のあだ名は「荒れ狂うダンプカー」だ。フランケンシュタインを思わせる怪力で相手を崩し、四角い巨体で強引に押さえ込む。試合でなければ絞め技や関節技も使ってくる。部活なら事故だからな。そのため私も上だけ柔道着を着せられている。




