02C 青春金網デスマッチ VS.「足技の魔術師」鹿目康弘 6
私が【同調】を解くと鹿目康弘がコンクリートの床に崩れ落ちる。手錠を【分解】【収納】しておく。はじめからこうすればよかった? 錬金術を見せたくなかったんだよ。まあバレたときは手品を覚えたとでも言うことにするか。
私は自分の教室に戻った。児島草平がケガも無く普通に戻ってきた私を見て声を上げる。
「えっ、どうなってんだ? 鹿目にやられたはずじゃ……」
鹿目ならまだ屋上でぶっ倒れてるぞ。助けに行ってやったらどうなんだ。
「何でオレが! か、関係ねえよ」
とっくにバレバレだ。そのくせ情もないのか。報復を人に頼む時点で「自分は小心者です」って言ってるのと同じだが、損得だけで動いてると居場所を失くすぞ。
私は制服の内側にさっきの手錠を【現出】させると、取り出して児島の両手に嵌めてやった。
「おい、何だよこれ!」
戦利品だ。鍵は鹿目が持っているはずだ。これで屋上に行く気になっただろう?
児島が慌てて席を立つ。そんなに睨むなよ。サボる口実ができてよかったじゃないか。
「ふざけやがって! 覚えてろよ、井ノ上に言ってギタギタにしてもらうからな!」
捨て台詞を残して教室を出て行く。どこのガキ大将だよ。しかし自分でリベンジしようとは思わないのか?
遊茶公大が給食を持ってくる。プリンは無いがまあいいか。目当ては麻婆豆腐だからな。
「本当に鹿目を返り討ちにしたのか? すげえな、能ある鷹はというやつか」
まあそういうことにしておくか。それに隠して研いでこその爪だろう?
私は今度は制服の内側に小瓶を【現出】させる。蓋を開け中身の粉をパッパッと麻婆豆腐に振りかける。
「何だよそれ、カレー粉か?」
花椒だよ。駅3つ向こうのデパートで買ってきた。
「オオトリデパートか? よく行ってきたな。……なあ、ちょっと俺にも食わせろよ」
プリンをくれてやっただろう。私も楽しみにしてたんだ。
「……おお、確かに違うな」
だろう? ……って何で食べてる、公大! その先割れスプーンはいつも持ち歩いてるのか?




