02A 青春金網デスマッチ VS.「足技の魔術師」鹿目康弘 4
「クソ雑魚が! なめやがって……おいお前ら! いいからやっちまえ!」
鹿目康弘の言葉に赤井と緑川が私に向かってくる。おい、その前に手錠を外せよ。……仕方ない。自業自得だからな、鹿目野郎が。
2人が私を前後に挟みこむ。鹿目康弘は足にしがみついて動きを妨害してくる。お前がそういうつもりならこれから何をされても文句は無いな?
前から赤井が殴りかかってくる。私は首をつかんで軽々と持ち上げた鹿目の顔面でそのパンチを受ける。
「がっ!」「えっ? 何で」
後ろの緑川が蹴ってくる。私がかわすとそのキックは鹿目の背中に突き刺さる。
「ぐあっ!」「あ、悪い!」
鹿目がコンクリートの上に這いつくばる。泣きっ面に蜂とはこのことだな。
「てめえ、汚えぞ! 俺を盾にしやがって!」
それをお前が言うか。まさにブーメランだな。ブーメランとはアボリジニが得意とする投げると手許に戻ってくる武器だ。転じて自分の発言が……
「知ってるっつーの! くそったれ、今手錠外すからちょっと待て!」
いや、私は構わないぞ。お前の操縦にも慣れてきたところだからな。
「は? 何言って、えっ? 体が……何で勝手に立ってるんだよ!」
掴んだ首から流れる私の魔子が鹿目の魔子を浸食して【同調】しているからだ。鹿目は膝の痛みに顔を歪ませながら、ブルブル震えて直立不動になっている。即席の操り人形の完成だ。お札は貼って無いがな。
意識してコントロールしていない魔子は簡単に他人の影響を受ける。いい方向ならカウンセリングや気功治療、悪ければ洗脳や邪眼の類いとなる。普通の人間同志でもそうなのだから錬金術師が他人の体に【同調】して操作することは容易だ。【同化】の下位互換の能力だ。




