029 青春金網デスマッチ VS.「足技の魔術師」鹿目康弘 3
「くっ、このヤロー!」
言いながら倒れた鹿目が牽制に足払いをかけてくる。いいから早く立てよ。手を貸してほしいのか?
ようやく立ち上がってリズムを取るように小刻みに体を揺らし出す。それに合わせて鎖がチャラチャラと音をたてる。
「余裕ぶりやがって。あとで後悔すんなよ」
また二重表現か。と言うか児島の元凶はお前か。一緒に国語の補習を受けてこい。
「うるせえ! 今から取っておきを見せてやっからよ!」
必殺技と言われて律儀に受ける義理は無いんだがな。ヒーローショーの主役気取りか。まあ私が悪役だというなら食らってやってもいいが、その結果の責任はとらないぞ。
鹿目が中段蹴りを連続で放ってくる。そうして視線を引きつけておいて本命の上からのかかと落とし、ネリチャギか。それなりだな。何人その技の実験台にしたかは知らないが。
私はそれを肩口で受けてほんの少し前に踏み込んだ。
「がっ! あ、足が……くそ、何しやがったてめぇ!」
突然鹿目が膝を抱えてうずくまる。何もしてないだろう? 外野にはそう見えたはずだがな。
種明かしをすると踏み込む瞬間に私は内功と魔子で体を【強化】した。言ってみれば鹿目康弘はコンクリートの壁に向かって全力で蹴りを放ったようなものだ。その結果膝の靱帯が伸びて亜脱臼したのだろう。自滅とは何ともつまらない幕切れだな。鹿目、お前の負けだ。ワン・ツー・スリー。




