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023 不幸自慢からはじまる友情 1

 遊茶兄妹は父親と絶縁して母方の親戚を頼って近所のボロアパートに引っ越してきたのだった。母親も仕事で遠くにいると聞いた。おれはその親戚にこの街で一度も会ったことも無いし、母親も父親を刺した殺人未遂で服役中だと後で知るがそんなことは何の関係も無いことだ。

 

 大怪我の後も遊茶公大は廃品回収や探偵の真似事をして金を稼いでいた。

 前におれが金を出すと言ったら「そんなことをされたらオレのほうが不幸だと認めることになるだろうがよ」と断られた。

 それからは情報を仕入れてもらったり頼み事をしたりしたときに報酬・・を支払うようになった。ビジネスのお得意様だ。これなら文句あるまい。


 ところで午後にアパートに行っていいか? 今日は半ドンだし。

「おいおい、仕返しがこわくなって雲隠れかよ。早すぎだろ」

 そんなんじゃない。小枝さえちゃんの見舞いだよ。

 夏休みに遊茶小枝子はやっと手術を受けることができた。手術は成功したらしいがそれでも聴覚を取り戻すには至っていない。医者は「何かきっかけがあれば」と言ったらしい。


 ついでに公大の誕生日も祝っておくか。少し早いけどな。

「ついでって何だよ。じゃあ後から来いよ。巻き添えになったらオレは走れないからな」

 ああ分かった。……ん? ゼロワンは半ドンって知らないか? 週休二日制? マジか。

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