34/512
022 ガッコウは弱肉強食のリング 4
どうせガッコウにいる間はケンカは避けられない。私から仕掛けるつもりは無いが降りかかる火の粉は払うだけのことだ。
「まあ、気をつけるんだな。オレみたいになってからじゃ遅いぜ」
そう言って遊茶公大は自分の脛を叩く。義足の硬質な音がする。
2年生のとき公大はギャンブルで大勝ちしたせいで不良どもに逆恨みされ襲われ、左足を失う羽目になったのだ。
公大がそんな無茶をしてまで大金を得ようとしたのは妹の遊茶小枝子のためだ。彼女は父親に暴力を振るわれ耳が聞こえなくなってしまった。検査や手術を受けるには当然金がいる。前に「つるみや食堂」でラーメンをすすりながら、公大が「オレがもう少し頭が良けりゃ医者にでもなるんだがな」とぼそっと言ったのを覚えている。
公大とは修浄中学で出会った。お互いの不幸自慢をするうちに意気投合して、たまに一緒に飯を食ったりするようになった。小枝子はバイトで忙しい公大の代わりに私が勉強を見てやったり一緒にプラモを作ったりするようになった。




