01F ガッコウは弱肉強食のリング 1
2学期が始まり、私もガッコウに登校した。夏服はワイシャツだが学ランで登校する強者もいる。
ゼロワンは学生服を知らず軍人の学校なのかと訊いてきた。まあ発祥がそうだからな。女子のセーラー服はカミーリャに似合いそうだとも言った。
修浄中学までは徒歩で25分。遅刻しそうになって自転車に乗ることもあるが滅多に使わない。帰りに駐輪場の屋根から下ろしたりサドルに巻かれたバラ線を外したりして無駄に時間を食う羽目になるからだ。
これで分かるとおりガッコウもまた最悪でクソッタレな場所だった。コンクリートの四角い校舎はプロレスのリングと一緒だ。そこで繰り広げられる弱肉強食の世界は小学校も同じだったが、生徒の人数が増えた分だけ生存競争はより壮絶になった。
そこにいるのは凶悪なリングネームを持ったヒールや言葉の通じない外人レスラーで、体も貧弱で何の決め技もない以前の私は前座ですら無かった。ゴングが鳴ったら即リングアウト、それが生き残る方法だった。
だが場外でも油断はできない。他の小狡いトモダチや時にはレフェリー役のセンセイまでもが善意を装って猛獣どものいるリングに私を押し戻そうとしてくるからだ。
戦わなくてもいい場面でもトモダチに面倒を押しつけられたり身代わりにされることも普通にあった。小学生のころは「ごめんね~」などと笑ってごまかされたこともあるが中学ではそれで済むはずがない。毎日トモダチに心を折られ体には生傷が絶えなかった。
ガッコウという虎の穴を日曜日を待ちわびて過ごし、その日一日は秘密基地に籠もり「蜘蛛の糸」に救われる妄想にふけった。
だが今の私は糸を登った先にいる。待ちに待った復讐の時間だ。




