01E 取り戻せと言われても最初から無い 5
「いいからゴミクズは黙って優秀なオレの踏み台になってればいいんだよォ! アホ犬もさっきからうぜえよ!」
床のトンカツを食べているせんべいを蹴りとばす。日妹慶子が日妹秋試をなだめて椅子に座らせる。
優秀ならいいのか? だったら私がお前より優秀だったらどうする?
「なに?」「えっ?」
私がお前より優秀だと証明できたら文句は言えないはずだよな? だったらギャンブルをしよう。
「ギャンブル? 何を言ってるの?」
簡単なことだ。私が受験で黒天寺高校に合格すれば総取りで遺産は返してもらうし手術も諦めてもらう。不合格なら遺産も放棄して手術も受けよう。オールオアナッシングだ。どうせなら両方がいいか? さっさと決めろよ。5分でな。
私の言葉に二人は沈黙する。頭で損得勘定の電卓を叩いてる音がこっちまで聞こえてくるようだ。
黒天寺高校は県庁所在地にある県内トップの学校だ。修浄中学で言うと5年に一人受験する人間がいるかどうかというレベルだ。クラスの成績が中の上の私が挑戦するのは無謀にしか見えないだろう。
隣町の私立中学はエスカレーター式で大学まで行ける。日妹秋試に何のデメリットがないというのもミソだ。今までの私を見ればどう考えても勝ちの目はない。今までならな。
私が腕時計を見て3分ほど、日妹秋試が口を開いた。
「いいぜ。そのギャンブルに乗ってやろうじゃねえか」
翌日に私は新たな同意書を作って二人にサインさせた。「後で取り消しなんてさせないわよ」と日妹慶子が言うので私もテープレコーダーを見せて録音した内容を聞かせてやった。用意周到さに驚いていたが外堀を埋められたのは残念ながらお前らのほうだ。
アパートを出ることは中学を卒業するまで保留になった。生活費も12万円(家賃なし)に値上げするという。世間体とか言うがご機嫌取りのつもりか。それでも私が復讐の手を緩める気は無いがな。




