01C 取り戻せと言われても最初から無い 3
「そ、そんなの認めるわけないでしょ! 零一はまだ中学生なのよ」
おかしなことを言うんだな。そのための自活訓練だったんだろう? それに何の権利があってあんたは私に口出しするんだ?
「あ、あたしは零一の親でしょうが!」
都合のいいときだけ親のふりをされてもな。あんたと私は赤の他人だ。日妹恭太郎もな。この前役場で戸籍を確認したから間違いないぞ。
「えっ、戸籍?」
あんたらは私と養子縁組すらしていなかっただろう? あきれたもんだ。本当に搾取要員としか思ってなかったんだな。
「ちょっと! 何で相談もなしにそんなもの見てるのよ!」
逆ギレか。話にならないな。とにかく私はもうあんたらの言いなりにはならない。だから移植手術を受ける約束も無しだ。
そう言えば日妹秋試の箸が止まり、そしてようやくこちらを見る。だがその目に私の姿が正しく捉えられているかは分からない。目の状態はかなり悪いように見える。
「駄目よ、そんなの許さないわ! 同意書もあるんだから手術は絶対受けてもらうわよ!」
ここぞとばかりに日妹慶子が同意書の存在を持ち出してくる。
角膜移植の同意書か、確かにそんなものも書いたな。まあそれも卑怯なやり方で無理矢理書かされたものだがな。
だったら私は母さんやじいさんの遺産を放棄する。交換条件が無くなれば同意は白紙に戻るって訳だ。それなら構わないだろう?
「お金が欲しくない? そんなの冗談よね? 零一、急にどうしたのよ。まさか頭でも打ったんじゃ……」
欲ボケしたあんたには信じられないか? だが実際に私がそれでいいと言っているんだ。大体その金もあんたがとっくに使い込んでほとんど残って無いんだろう?
「ばっ、馬鹿なこと言わないでちょうだい!」
途端に日妹慶子の目が泳ぐ。図星だったみたいだな。はっはっは。




