01B 取り戻せと言われても最初から無い 2
「零一、何でさっさとお金を受け取りにこないの! それにドアの鍵を変えたわね。勝手なことばかりして!」
私の前に立った日妹慶子がペットに負けじとヒステリックに叫ぶ。
留守に勝手に人の部屋に入る誰かさんがいるからだよ。よく物を壊されるしな。
「何言ってるの! 親が子の心配をするのは当然でしょう」
悪びれもせずそう言う日妹慶子が10万円の入った封筒を私の足元に投げ捨てる。これが親だというオトナの仕打ちかよ。いつもなら礼を言わされてそれを拾うのだが私は今日はそうしなかった。そもそも元は私の金だしな。
「どうしたの? さっさと拾いなさいよ」
不審げな顔の日妹慶子に私は宣言する。
これは受け取らない。近々アパートも出て行くつもりだ。今日はそれを言いにきた。
一瞬呆けたような顔をしたあと日妹慶子が声を荒げる。
「何言ってるの! ふざけてないでいつものように頭を下げなさい! そのお金がないと暮らしていけないくせに」
何だ、理解できなかったか? 大学出が自慢のくせに。だったらもう一度言うぞ。
私はもうあんたらの世話にはならない。一人で好き勝手に生きていくことに決めたんだ。今度は理解できたか? ドゥーユーアンダスタン?




