00E 錬金術師と秘密基地 2
錬金術師といえば黒いローブに身を包んで呪文を唱えながら紫の液体を大釜で煮込んでいるようなイメージだが(偏見はやめろって?)私が思うに彼らは医者や発明家や技術者と同義の存在だ。根底にあるのが魔法か科学かの違いだけで。
またそうでなければロボットであるゼロワンが錬金術を使える説明がつかない。
錬金術はその星が放出するエネルギー、魔子を、変換して使用するらしい。
魔子は気とかマナとかオーラ、フォースなどと同じものだろう。そしてゼロワンもそれを取り込んで使える能力を持っている、それだけが錬金術師の資質ということなのだろう。ならば種族や存在の成り立ちを問わないということか。
ゼロワンの持つ能力は【収納】【分析】【分解】【再構成】とその組み合わせだ。私もそれを試してみようというわけだ。
納屋には古い耕耘機や田植機といった農機具、使えなくなったテレビや家電、古いバイクなんかが押し込まれている。リサイクル? そんな考えはこの世界にまだ根付いていない。近所の年寄り連中なんかは廃品回収は泥棒の下調べと思っているくらいだしな。
日妹家も祖父母が生きていたころは専業農家で田も畑もそれなりにやっていたのだが、父親が大学を出て役場勤めになり現金収入が得られるようになると、父親は家業に見向きもしなくなった。祖父が死ぬと田は人を頼んで作ってもらうようになり、畑は面積を減らした。
その時には残った畑も単に鬼婆が母さんをいびるだけの場所になっていた。鬼婆は教養も趣味も無く、下の人間に威張るためには農業にすがるしか無い残念な頭の持ち主だったらしいからな。実際には私が生まれる前に死んで文字通り鬼籍に入っている。大喜利かよ。