064 秘密基地はなぜかキャンプ 5
ドラッグを『ファナティック』、中毒者を『ラフィン』と分けて呼称。
次の休みには水上錦次も側近を連れて秘密基地にやって来た。ダルマセリカに引き寄せられたのか? 鼻が利くな。
「こいつはすげえな。俺が引き取ってもいいぞ。乗って見てえ。売る当てもないんだろう?」
飽きたらそうするよ。ずっと手元に置くつもりも無いしな。作っている時が楽しいんだよ。
「そこにいるのは血紅師の赤井四葉か? 魔騎士魔武の水上だ。よろしくな」
ん? 四葉さんとは初対面なのか?
「名前は知っていたがな。『さびしぐれ』のコンサートで見たことがあるが話すのは初めてだな」
「なな何でテメーが錦次さんと知り合いなんだよ! ああもう! 言っとけよ!」
赤井四葉が「すぐ戻るから待ってろください!」と言ってバイクで飛び出していく。
1時間ほどして戻って来た彼女はめかしこんでいて、昼飯には手製のチャーシューと煮卵を乗せたそうめんと杏仁豆腐が並んだ。「姉ちゃん、何のアピールだよ?」「うううるさいな! 『五代十国』直伝の味だ。よっく味わって食べな!」
四葉が出ていったあと、水上のおっさんが私に話しかけてきた。車のことだけじゃなかったか。
「あのあとだがちょっと面倒なことになってな。また手を借りるかもしんねえ」
面倒ってなんだ? 蛾眉丸がいなくなれば楽勝じゃなかったのか?
「外硫児架は潰したんだが残党が別のところとくっついて新型ドラッグを流行らせようとしてんだよ。『ファナティック』って言うんだが本当に人が狂っちまうようなやつだ。中毒者を俺らは『ラフィン』って呼んでる」