踏み間違い事故についての考察
交通安全大事
踏み間違い事故は何故おこり、それが何故、老人に多いのか、そんな疑問を呟くエッセイを拝読して、自分なりに考察してみようと思ったしだいです。
さて、本稿は
1 踏み間違い事故とは
2 事故がおこるメカニズム
3 何故、老人に多いのか
4 防止策
5 筆者の見解
となります。
1 踏み間違い事故とは
さて、先ずはこの定義をしておきます。
踏み間違い事故とは乗用車などを駐停車している状態から前方ないし後方に発進する際に
①ギアを任意の方向と逆に入れる誤認がある
②発進と同時に①に気付く
③任意の方向と逆に進んでいるためブレーキをかける
④③の際に焦りから操作を誤りアクセルを踏む
と以上の段階を経て起こるものとします。
信号待ちや運転中の踏み間違いもあると思いますが何らかの理由で焦っており、操作を誤るとしましょう。
2 事故がおこるメカニズム
②の際にギアを入れた方向と逆に進み、これにギアを入れ間違えたと気付くまでをaとします。
aのタイムラグが短ければ③のさいにパニックにならずにブレーキ操作出来るでしょう。然し、もしaのさいにタイムラグが長くなってしまったら、ギアを入れ間違えたと気付くのが遅れた場合、この段階でパニックになると考えられます。こうなれば④のようなことが起きるでしょう。
例えば運転中などでもちょっと脇に気を取られ、前を向き直ったら、目の前の車が急停止していた、なんて場合に忙いでブレーキを踏もうとするも操作を誤ることが考えられますね。
人間は思考して、実際に体が動くまでにもラグがありますし、目の前の状況を感知してから、理解するまでだってラグがありますから、そうしたズレによって、全く猶予のない状況におかれた場合、アクセルを離す、ブレーキパッドに足を移す、ブレーキを踏む、という三段階の動作のうち、最後の踏むの部分だけがその前段階の工程を飛ばして行われてしまうこともあるわけですね。
皆さんは教習所などで危険回避の実習はされたでしょうか、コーンが置かれた状況でコーンに向かって車を走らせ、教官の号令で右と言ったら左に、左と言ったら右に曲がる実習です。
かなり手前なら余裕で出来るこの実習、しかし、コーンにぶつかる直前だと、言われた方向と逆に曲がるルールを守れず言われた方向に曲がってしまいます。
これは
W言われた方向を聞き取る
X聞き取った情報を理解する
Y情報から回避行動の左右を決定する
Z運転操作する
という実は複数の工程を経て行っている動作を瞬時には間に合わないために、直前に入って来た情報と行動が結びついてしまうためです。
同じように咄嗟にブレーキを踏まなければとなったときに、踏むという直接的な行動が最優先されてしまうと考えられます。
その他、老人特有の理由が考えられますが、それは次の項目にて考察します。
3 何故、老人に多いのか
①については若い方でも経験があるのではと思うので老人特有のものではないでしょう。
②の際、aのタイムラグが長くなってしまったら、と前述しましたが、情報処理能力や判断力が衰えていない若者に比べ、能力が衰えている老人ではタイムラグは必然的に長くなってしまうでしょう。
そして、④の操作ミスですが、筋力の衰えている老人ですと、アクセルパッドから足を離しブレーキパッドに移るさいにスムーズにいかない可能性もあります。足が上がらず横にスライドするさいにブレーキパッドの側面に足をぶつけそのまま踏み込んだとしましょう。ブレーキパッドの上に足を置けて無いわけなので当然ブレーキは踏まれないばかりか、空を切った足が近くのアクセルを踏み込むこともあるでしょう。
このように、自分ではブレーキを踏んでいるつもりでアクセルを踏んでいる場合、パニックになっていることで「アクセルを踏んでいるから加速する」という正常な思考が出来ず、「ブレーキを踏んでいるのに加速する、もっとブレーキを踏まなければ」とアクセルをさらに踏み込んでしまうんですね。
だから爆走してしまう訳です。
4 防止策
自動車メーカーは踏み間違い防止のセンサーやアラームなどを装備した車を販売し出していますね。個人では、慢心や油断せずに丁寧な運転をする。ギアなど一つ一つの操作確認を確実に行うなどの対策があると思います。
また、余裕をもった行動スケジュールを組むことも大切ですね。そして、私のような田舎者にはきついですが、免許の返納も視野に入れるべきですね。
5 筆者の見解
さて、飯塚幸三氏を擁護するつもりは一切ありませんが、事故発生当時、氏がブレーキを踏んでいたつもりだったのは恐らく間違いでは無いのでしょう。
覚束無い足がブレーキパッドへの移行を困難なものにして、結果アクセルを踏み込んで暴走するも、ブレーキを踏んでいると思い込んでいたために、アクセルをベタ踏みしたまま、暴走し続けてしまったんでしょう。その後、公判中その事実を認めなかったのは、反省していないという部分はあったでしょうが、華やかな人生を歩み、子や孫に囲まれて幸せな老後を送るだけの老人が起こしてしまった事故で全て失い、それまで尊敬されていた家族にすら厄介者扱いされる未来に絶望し、受け入れられないが故の精神錯乱だったのではとも思ってしまいます。
このような陰惨な事故で加害者、被害者双方の本人やその周辺が受ける被害が1日も早くなくなるよう願っています。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m