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夏空は相変わらず集中できずにいた。



「晴山さん大丈夫?俺でよかったら話聞くよ。」



「うん。私も心配だよ。」



塾の帰り柳田と秋帆から声をかけられる。




「あ、ごめんね。本当に大丈夫!」




夏空は空元気な声で作り笑いをする。



秋帆はじっと夏空をみて次に柳田をみる。



「話聞きたいところだけど私今日お父さんが深夜勤で

 すぐ帰らなきゃなんだよね。ごめんよ。また学校

 で!」



そして秋帆は夏空をもう一度見る。



「話してみた方が気持ちの整理つくと思うよ。柳田が

 すっっっごく心配してて、勉強集中できないかもっ

 て言ってた。今日柳田が夏空を家まで送るからそ

 のとき話してみれば??」




「え?」




夏空は柳田を見ると耳まで真っ赤にして秋帆を睨んでいた。




「そんな言い方してないだろ。いや、心配なんだけど

 さ。」




じゃっ!といって秋帆は帰っていった。



夏空はどうすればいいか迷っていると柳田が動き出す。そしてその場に固まっていると柳田が振り返る。



「チャリ引いてくから一緒に帰ろう。送る。」



いつもより無愛想だが優しさが声から伝わる。夏空も少し照れながら柳田の後をついていく。




夏空は帰り道、見てしまったことや悩んでいるこを正直に話す。




「お仕事のことだから、あんまり人に話しちゃいけな

 いかもしれないんだけど・・・。」




一通り話し終えた後にそう付け加えると柳田はすぐに理解をする。



「大丈夫。誰にも言わない。」



そしてその後に柳田はぽつぽつと自分の考えを伝えていく。




「俺の話で悪いんだけどさ、うちの母親と父親が離婚

 する前、家の雰囲気がいつも悪かったんだ。」



柳田は今は何とも思っていないように言うが夏空は心が痛む。



「お互い思うことがあるのに何にも話さないの。俺は

 ずっと話し合えばいいと思ってたんだけど、話した

 くないんだってさ。」




二人はゆっくり歩きながら話を続ける。




「離婚した後、母親が言ってた。もっと早くから話し

 合えばよかったって。まあ今は今で全然元気そうな

 んだけど。」




柳田は歩くの一度やめて夏空の方を向く。



「ちょっと違う話しちゃったけどさ、根本は同じかも

 よ?ちゃんと話し合うことが大事なんだと思う。そ

 うすれば案外すんなり解決することもあるかもしれ

 ないし。今より悪くなることはないと思う。」




夏空は自分の過去を振り返る。




(私っていつもそうだ。声に出さないからいけないん

だ。もう逃げないって決めてたのに。)




過去の決意を思い出す。状況や場面は違うかもしれないが根本は同じことなのではないだろうか。



すっと心の中の何かが落ちた気がした。



「ごめんよ。なんか偉そうなこと言ったかも。」



二人はいつの間にか夏空の家の近くに止まりながら話していた。柳田は恥ずかしくなって帰ろうかと思ったとき、夏空が表情を緩めながら話す。



「ありがとう。柳田君。私大事なこと思い出せた。」



そのあと夏空は自分の手袋を取り柳田に渡す。



「帰り冷えるからこれ使って。私、手は小さいけどこ

 の手袋結構伸びるから!」



手袋を渡すとき夏空の温かい手と柳田の冷たい手が触れ合う。夏空はその冷たさに申し訳なさを感じ手をぎゅっと握る。



「手冷たい!絶対手袋して。本当にありがとうね。」




柳田は黙って男らしい手に可愛らしい手袋をはめる。




そして素早くチャリの向きをかえて帰っていった。




(よし。ちゃんと話そう。)




夏空は鞄から鍵を取り出そうとすると扉がすぐに開いて驚く。




そして冬花に急かされながら話し合いの時間を迎えるのであった。

2話連続更新しました。

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