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冬花は会社のパソコンでメールの返信を一通り終えるとため息をつく。
昨日の夜から夏空が怒っている理由を考えてはいるがあまり検討がつかない。
(勘違いしているのは絶対だと思う。そうでなければ
私が分からないはずない。)
問題は何を勘違いしているのか。冬花は席を立とうとしたとき携帯が光る。
画面を見るとまたもやあの人からだった。
そのとき冬花の考えがつながる。
「わかった!!」
思わず声に出してしまい社内に声が響く。
「月野さん!何かできることがあれば!」
すぐに動いた後藤よりも先に冬花は部屋を出て、仕事をすみやかに済ませていくのであった。
夜、冬花が会社から帰るよりも先に夏空が塾に行ってしまったため、冬花は今か今かと夏空の帰りを待っていた。
帰りがいつもより30分遅い・・・。
心配になり玄関に向かうと外から足音がした。冬花は先に扉を開ける。そして夏空の手を引き素早くソファーに座らせる。
夏空は突然のことにされるがままの状態でソファーに座り冬花の様子を伺っていた。
「夏空が怒ってる理由が分かった!でもそれ勘違いだ
し、言わなかったのも恥ずかしかったからだよ。」
「え?え?ちょっと待ってとりあえず手だけ洗わせて
あと着替えたい!あ、でもお風呂入らなきゃ着替え
たくない!」
「んー。先に話聞いてほしいけどそっちが先かも。わ
かった。もう少し待つ。早く済ませちゃって!」
夏空の背中をお風呂場まで押す。夏空はそんな冬花に思わず笑ってしまった。
「私も話したいことがあるから待っててほしいな。
冬花さん。」
お風呂に入る前に夏空が冬花に言う。
(夏空の顔色も少しよくなってる。よかった。)
大事な受験の前に早く誤解を解きたくて夏空がお風呂から出るのを今か今かと待ち構えてる冬花であった。




