61-side夏空-
夜、夏空は布団に潜るが全く寝付けなかった。
塾では秋帆と柳田にだいぶ気を遣わせてしまった。冬花の会社のことを言ってはいけないと思い、二人に悩んでいる理由が言えなかったため、余計心配になったのだと思う。
冬花にも様子のおかしさからか心配されたが、夏空は疲れてるといいすぐに部屋に逃げた。
(今日の授業、何にも頭に入らなかったや。)
今までの総復習をしているときも、頭の中は海外出向のことでいっぱいだった。
(何で私に言わないんだろう。)
確かにあの資料には冬花の名前も記載されていた。
(昔は海外で仕事もしたって言ってた。それにネットで
調べてみると海外に行くことは出世にもつながるって
書いてあった。)
おそらく冬花は迷っている又は断る予定なのだと夏空は考える。
(そういえば、冬休みに冬花さんがいつもと違う様子で
電話してたな。)
年が明けてから少ししたときに冬花が携帯で電話していたことを思い出す。
冬花は番号を見て少し驚いていたのを思い出す。そのあと、いつもはその場で電話に出るがそのときはわざわざ外に出ていた。
その時は仕事の電話だと思ったためあまり気に留めなかったが、今思えばあれが出向の話だと夏空は考える。
(断る予定ならわたしには絶対言わないと思う。)
久しぶりに目から涙が滲んでくる。
(何で私はこんなに欲深いのだろう。)
冬花には仕事で成功して欲しい。
でも、それ以上に離れたくない気持ちが大きい。
(冬花さんから返しきれない恩をもらっておいて、冬花
さんの邪魔になるなんて。)
(きっと冬花さんは私が離れたくないって思っているの
を見通して黙って断るつもりだ。)
今日、あんな資料見なければよかったと思ってしまう自分が恥ずかしい。
例え施設に戻っても高校には行ける。
困ることはない。
でも、冬花と過ごす時間がなくなると思うと寂しくて寂しくてたまらなかった。
夏空は一睡もせずに朝を迎えることになった。
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