小話-side柳田-
「塾で柳田の隣の子、なかなかすごい子らしいよ。」
学校の昼休み、たいして仲もよくない女子から話しかけられ、興味のない柳田はてきとうに話を合わせる。
(なんで他中の人の話なんて知ってるんだろ。バカらし
い。)
邪険に扱うとそれはそれで角が立つため、柳田はしょうがなく話を聞く。
「なんか、中二までめっちゃいじめられてて不登校に
なったんだって。しかも親がいなくて施設育ちらし
い!しかもしかも、今は里親っていう人に育てても
らってるらしいよ!やばくない!?」
(何がやばいんだろ。あなたの頭の中の方がやばそうな
んだけど。)
柳田は隣の子を思い出そうとするが思い出せない。
てきとうに話を切り上げる。
塾に行き、初めて夏空をしっかり見る。
(髪の毛きれー)
下を向いてテキストを読んでいる夏空をみて、サラサラな髪の毛に目がいった。
国語の授業では記述問題を解き、ふと横を見ると綺麗な字ですらすらと書いている夏空が目に入る。
(めっちゃ字綺麗。しかも書くの早い。)
柳田は夏空に少し興味をもつ。
(ほんと何がやばいんだろ。そういう情報を自慢げに言
いふらす方が本当におかしいよな。)
改めて、昼に話した女子をおかしいと思いつつ、夏空のことを知るきっかけにもなったため、これ以上心の中で馬鹿にするのはやめることにした。
次の日、塾に行くと夏空が座っていたため話しかけると、とても驚いた顔で変に丁寧な口調の夏空をみて少し笑ってしまった。
すると夏空もつられて笑った。
かわいい
柳田は夏空の笑顔をみて一瞬思考が停止する。
そしてよく見ると、見た目がとても可愛らしいことにも今更ながら気がつく。
夏空が不思議そうに首をかしげたため、柳田は慌てて我にかえり平静を保つ。
しかし心臓は急に鼓動が早くなってしまったようだ。
夏空の志望校と自分の志望校な同じことに思わず喜びながら、柳田は新たな目標をひっそりと立てる。
(晴山さんともっと仲良くなろう。)
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