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「・・・。養子縁組って、家族になるってこと?」
ボソボソと呟くように夏空は冬花に尋ねる。
「私も知らないことが多々あるけど、簡単に言えばそう。」
「冬花さんって、もしかしてすごく悪い人?」
夏空の感情が読めない。軽率な発言だと思われただろうか。いや、実際に軽率だった。ちゃんと調べてもないのに。
「まだ出会って2日ですよ?」
「・・・。」
今までの会話の中で初めて冬花が黙った。しかし、冬花はただ黙ってるわけではなく、自分の気持ちの整理し考えているのである。
「引き取った後に私のことどうするんですか?何か企んでるんですか?」
夏空のネガティブな発言がとまらない。
「冗談でもそういうこと言うの、やめてください。」
「冗談なんか言ったつもりはない。」
冬花はゆっくりと夏空を落ち着かせるように言う。
「たしかに、急だと思うし怪しく感じる気持ちはすごくわかる。あと、詳しく調べていないから知識不足な部分はたくさんあると思う。」
ゆっくりゆっくり、自分の気持ちを整理しながら夏空に気持ちを伝えていく。
「でも、でもね。私は夏空の笑顔をもっと見たいと思ったの。そして、そうするためには一緒に住むのがいいと思うの。だから家族になるのが1番いい選択なのかなと。」
「・・・。」
夏空の顔を見ると、夏空は涙を浮かべながら困った表情を浮かべていた。
「ごめんね。急すぎたよね。夏空が嫌に思う気持ち分かる。軽率だったね。ごめん。」
冬花が謝ると、夏空がゆっくりと冬花の手を握る。そして、か細い声でぽつぽつと話し出した。
「嫌じゃない。」
「え?」
「怪しいし、びっくりしてる。もしかしたら騙されてるかもしれない。でも、嫌じゃないの。嫌じゃないから困るの。」
夏空が冬花の顔を見る。
「嬉しくて、困るの。引き取りたいって言ってくれたのが嬉しすぎて・・・。」
夏空の目からポロポロと大粒の涙が溢れる。
冬花はギュッと夏空の手を握り返す。
(夏空を守りたい。夏空を幸せにしたい。)
涙が止まらなくなった夏空を見つめながら、冬花は養子縁組として夏空を引き取ることを決意した。




