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夏空が向日葵荘に泊まる日になった。
冬花は仕事も休みのため久しぶりに家で一日一人で過ごす。
(私、今まで何して過ごしてたっけ。)
たまった録画をみる
買い物
掃除
美味しいものを食べに行く
(最近友達とも会ってないなぁ。予定入れておけばよか
ったかも。)
計画を立てておけばよかったと少し後悔をし、とりあえず家を出る。
百貨店で自分の化粧品を見たり服を見たりするのも久しぶりであった。
(あ、夏空も高校生になったら少しくらい化粧とかする
のかも。最近の子は高校生で化粧してるもんな。)
(高校生になったら可愛い持ち物もっと買お。華の高校
生だもんね。)
冬花はいつの間にか自分のものではなくて夏空の物をみていることに気がつくと少し苦笑する。
あっという間に日が暮れて家に帰る。
夜、一人でダラダラお酒を飲みながらテレビを見ていると、急に疲れがきたためプチっとテレビを消す。
ソファーに横になり目を閉じて脱力する。
(あと10年もすれば、またこの生活に戻るのかもしれな
いんだよな。)
冬花は漠然と未来のことを考える。
(夏空は一年で見違えるほど成長した。もともとできる
子だけど、うんと大人びた。)
『あった幸せが崩れていくことが、どれだけ辛い
か。今の私なら分かる。』
『冬花さんの悲しみが私にうつればいいのに。』
夏空の言葉を
温もりを
思い出す。
(夏空が大人になっていくことは嬉しいけど少し寂しい
んだな。)
腹を痛めて産んだ子ではない。
愛し合った人との子でもない。
(でも、私にとって夏空はたった一人の大切な大切な子
どもなんだよね。とっくの前から。)
冬花はゆっくり息を吐く。そしてぼんやりと目を開ける。
(最初は夏空を救いたいと思った。
夏空のために何かしたいと思ってた。
でも、私の方が夏空に救われたのかもしれない。)
冬花は一人微笑む。
そして、帰ってきた夏空と何をしようか考えながら、長い夜を過ごすのであった。
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