37 第一部完結
夏空は改めて愛姫、充紅、夢希それぞれに謝ってもらった。そして愛姫達の親も夏空と冬花に謝罪をする。
「次、夏空に何かあったらそのときは容赦なく対応し
ますので、よろしくお願いします。」
冬花はそれぞれの親に厳しく念を押す。
そして冬花は愛姫達に近づき、少し屈み目線を合わせる。
「世の中をなめるな。大人をなめるな。自分でやらか
した事は自分で責任をとっていきなさい。」
愛姫達が怯える。
「いい。まだやり直せる。まだ。とりあえずは心から
反省しなさい。親や周りの環境に言い訳しちゃダメ
よ。自分で自分を反省するの。」
他の保護者もいる前で少しお節介かとも思ったが、冬花は言いたいことを最後に伝えた。
その後、愛姫と充紅は夢希をいじめたことへの謝罪もその場でし、長かった話し合いは無事に終えた。
冬花と夏空はすっかり暗くなった空の中、ゆっくり歩きながら帰る。
「冬花さん。」
ずっと話さなかった夏空が口をひらく。
「どした?」
冬花は軽く聞き返す。
「なんかね。私ずっと勘違いしてたんだと思う。」
夏空は遠くの空を見つめながら穏やかな声で話す。
「自分には親がいない。だから誰よりも不幸で虐めら
れると思ってた。諦めてた。
でも、今日の愛姫をみたら親がいても悩みはきっと
ある。夢希も夢希で、私を虐めたくない気持ちと愛
姫達に逆らえない辛さがあったと思う。
充紅も、いつも周りの様子を見て空気をよんでる。
そして何事にも本気にはならない。きっと何かある
んだと思う。」
「・・・。」
「自分でも言いたいこと上手く言えないけど、きっと
みんなそうなんだよね。幸せとか不幸って比べるこ
とはできないのかなって思った。
何か、よくわからないこと言っちゃったかな?
冬花さん聞き流してー!」
(子どもは半年でここまで成長するんだ。)
夏空の頭をぽんぽんと撫でる。
「そうね。夏空の言う通りだと思う。
他人と比べた幸せなんて偽物よ。
本当の幸せは自分で決めるものなのよ。」
夏空は言いたかったことをわかりやすく代弁した冬花にうんうんと頷く。
「あとね、もし私が夢希の立場だったらどうしてたんだろうって考えたこともあったんだけど。」
夏空は冬花を見て微笑みながら話す。
「昔のことはわからない。でも、これからは絶対にや
らない自信があるんだ。冬花さんが言ってたみたい
に周りを見て決めるんじゃなくて、自分で正しいと
思うことをやっていけばいいんだなって。」
「夏空は昔もこれからもやらないよ。」
冬花も微笑みながら夏空を柔らかい眼差しで見つめる。
「私の目標は冬花さんみたいになること!だから、こ
れからは堂々とかっこよく頑張りたいな!」
冬花は夏空の眩しい笑顔をみると胸が温かくなる。
(この笑顔がずっと見たかった。)
歳のせいか、涙腺が弱くなった気がする。
涙を堪えながら冬花は冬の空気を目一杯吸い込み
ゆっくりと吐く。
それを見た夏空も冬花の真似をする。
二人はようやく
落ち着いた時間を過ごせるのであった。
第一部完結となります。
ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございます。
少し小話を挟んだ後に
第二部をスタートします。
よろしければ
もう少しだけお付き合いください。
感想、評価、ブックマーク等をしていただけると
とても嬉しいです。
励みになります。




