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2

うずくまっている少女が、スカートの砂を払いながらゆっくりと立ち上がる。


昨日の雨のせいか、泥となった砂は少女のスカートに汚い模様をつけた。


下を向いたまま、さらに下を向き軽く頭を下げると、私の横を通り過ぎていく。




 頭より先に体が動いた。




思わず腕を掴み、少女を軽く引っ張る。


すると、少女は少しよろけつつも初めて前を向きこちらを見る。




 少女と目があった。




 感情のない真っ黒の瞳。




すぐに目を逸らした少女は怯えながら私の様子を伺っている。



「あ、あのさ。とりあえず、どうしようかな。あ、怪我とかしてない?」



「・・・。」



「してるよね。みればわかるってね。怪我の手当しよ。うちにくる?あ、さっきよりも怖いか。怪しい人じゃないからね。けっして。通りすがりの会社員だからね。」



「・・・。」



だめだ。完全に怪しい。多分私が男ならまじでやばいやつ。



「とりあえず、近くの公園で座ろう。大丈夫、人目の少ないところだと怖いよね。ちゃんと大通り通っていくから。」

 


 一言も喋らない少女と公園に向かう。



(傷の手当てするにしても、何をすればいい?最近テレビか何かで消毒液はしなくてもいいみたいなの見たしな。とりあえず傷口水で洗って汚れを拭いてあげればいいのか?でもそれくらい自分でできる年頃だよな。)



歩きながら自問自答していると、軽く肩をたたかれ我にかえる。



少女が目線を公園に向け、立ち止まる。私が公園に向かって歩くと少女も後について公園に入る。


公園に着くと少女は慣れた手つきで傷口を洗い、ハンカチで簡単に泥を拭った。


なにも手伝うことができそうにないため、自販機に向かいお茶とオレンジジュースを買う。



「好きな方選んで。」



 少女は首を横に振る。



「選んでもらわなきゃ私が困っちゃう。それとも2本とも飲める?私さっきコーヒー飲んでたから、あんまりいらないのよね。」



空になったコーヒーのプラスチックコップをふりふりしながら少女に2本のペットボトルを差し出す。


少女はしぶしぶお茶のペットボトルを掴むとペコリと頭を下げた。



「・・・。」


「あ、私、月野冬花。42歳。さっきも言ったかもだけも、会社員で、たまたま散歩してたの。」



怪しまれないようにと思い、手帳型の携帯カバーに入れている免許証を見せた。少女はその免許証をチラッとみて下を見ながら初めて声を出した。



晴山夏空(はるやまなそら)。14歳。です。」



小さくてか細い少女の声。


でも、冬花の耳にはしっかりと聞こえた。


「なそら。初めて聞いた名前。どんな字を書くの?」


「き、季節の、夏に、空、です。」


夏空は下を向きながら上を指差し答えた。


「夏空。すごく綺麗な名前ね。」


素直に思ったことを言うと、夏空は首を振りながら先ほどよりも少し大きな声で言った。




「こんな名前大嫌い。夏の空なんて・・・。私には似合わない。」




俯きながら、吐き捨てるように言った夏空をみて、

思わず冬花は夏空の頭の上に手を置く。


そして少し迷いながらも、優しく頭を撫でた。


「私でよければさ、少し話を聞かせて。」


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