26-side夏空-
久しぶりに受けた授業は以前よりも理解ができ楽しかった。これも、冬花に教えてもらいながら地道に勉強を続けてきたおかげだ。
冬花とお揃いの筆箱を見ると俄然やる気が出る。
(思ったより辛くない。すごい。)
授業の時間は静かで平和だ。ずっとこの時間が続くのであれば学校に行くのは苦ではない。
(今日は多分あの場所に呼び出されるな。嫌だな。)
冬花と出会った河原の場所は中1の頃からたびたび連れて行かれた場所だ。
(どこかでボイレコと連絡をしなきゃ。頑張ろ。)
冬花と立てた計画を頭に浮かべつつ、また授業に集中する。
〜〜〜〜〜〜〜〜
掃除の時間になった。
夏空は体育館掃除を終えて教室に戻る。
みんなの視線が刺さった。
嫌な予感がして急いで席を見る。
(ない・・・。)
筆箱がない。
ロッカーを見ると埃だらけのリュックが汚く置かれていた。
急いでリュックを手に取り埃を払う。
黒色のリュックは埃やらチョークの粉で一日にして使い古したような感じになってしまった。
(どうして・・・。)
今まで物に手を出されることはあまりなかった。
持っている物が古いだの汚いだのバカにされることはあったが、それ以上に何かされはしなかった。
周りをみる。
クラスメイト達は夏空と目が合わないようにそっぽを向く。
愛姫達はニヤニヤしている。
(泣いちゃダメだ。)
自分の席から移動をし筆箱を探す。
ゴミ箱を覗くと奥の方にピンク色の筆箱が見える。
夏空は急いで拾い水道場へいく。
必死で涙を堪えながら筆箱を洗う。
(どうしよう。どうしよう。)
(せっかく買ってもらったのに。おそろいなのに。)
濡れた筆箱をハンカチで拭く。
教室に戻り席に着く。
(あ、中身も急いで確認しなきゃ。)
掃除の時間は全員が戻ってくるまで席に座って待っていることになっている。
昼休みになると愛姫達が何かをしてくるかもしれないため、その前に他の物が無事か確かめたかった。
筆箱の中を丁寧に見ていく。
すると奥の方に見覚えのないペンが入っている。
そのペンには紙が挟んであった。
(何これ・・・?)
紙を開く。
『夏空へ。
授業中にこの手紙に気づくかなぁ〜?
もし、思いもよらぬ出来事があったり、
ショックなことがあったら、
いつでも携帯にメールしてね!できたらだけど笑
万が一携帯が壊されたり隠されたりしたら
帰ってきちゃいなよ。早退してもOK!
リュックとか筆箱とか新しいものを汚されたりする
かもしれないけど、気にしちゃダメ!
そんなことしてる奴らを哀れに思いな。
こんな細かい字の手紙だから読みにくいね。
ごめんね。でも夏空の戦いを心から応援してるね!
夏空の味方 冬花より。』
(冬花さんお気に入り0.3のボールペンで書いてある。
それに、筆箱とリュック汚されてるのドンピシャで当
ててる。すごいな。)
夏空の心は一気に晴れる。
目の奥に溜まっていた涙はもう乾いていた。
昼休みになると愛姫達は夏空のところへやってくる。
「おい。すてこ。筆箱もリュックも捨てられてやん
の。もったいないねぇ。なけなしのお金で買ったん
でしょ。かわいそー。」
愛姫が夏空の机にドンと座りながらくすくす笑う。
「すててこっちにはこれくらい汚れていた方がお似合
いだよ。」
充紅は座っている夏空を笑ながら叩く。
夢希は少し離れたところで教室の外が見えるように立ち、話に参加しつつ外の様子も観察している。
ガタッ
夏空は立ち、愛姫をしっかり見た。
「筆箱やったのはあなた達なの?」
夏空が言い返してきたことに腹を立てる愛姫は
夏空の前に立ちだるそうにいう。
「さあ。気づいたら床に落ちてたのは見たけど。しー
らなーい。たぶんさ、すてこは嫌われてるんだよ。
クラスのみんなから。学校来るなっていうメッセー
ジじゃない?」
「すててこっち。そういうのさ冤罪っていうんだよ。
私たちやってないのにさぁ。勝手に犯人にしない
で?最低すぎてやばちだよぉ。」
充紅も少し低い声で夏空を威嚇する。
「筆箱はわかった。でも、あなた達が今までやってき
たことは、変わらない。事実だ。冤罪なんかじゃな
い。私はもう関わりたくない。」
夏空は初めて愛姫を睨みつける。
「これ以上、何もやらないで。関わらないで。そうし
たらもう終わりにするから。」
夏空は周りを気にせずに大きな声で言い放つ。
「は!?お前マジで何様!?」
キレる愛姫を無視して素早くロッカーにいく。
ロッカーからポーチを取り出して、隣の校舎のトイレまで行く。
幸いにも先生達が廊下にちらほらいるため追ってくることはない。
(言えた。ちゃんと言えた。)
今は愛姫達に対して怖さがほとんどない。
むしろ腹が立ってきた。筆箱やリュックを汚されたと思うと、愛姫達に謝ってもらいたいとまで思うようになった。
トイレにはいり、ポーチから携帯を取り出す。
【朝、ちゃんとやめてと言いました。
ほっといてほしいとも言えました。
でも、リュックと筆箱を汚されました。
ごめんなさい。
その後に愛姫達にいろいろ言われたけど
また言い返せました。
不思議と怖くなくて、むしろ腹がたちまちした。
とにかく私は大丈夫です。
おそらく今日いつもの場所に呼び出されます。
でも大丈夫です!夏空より。】
急いでいたため、とりとめのない言葉でメールを打つ。
(早く今日のことを直接話したい。)
急いで教室に戻る。
愛姫達は機嫌が悪く、イライラしながら夏空を睨みつける。
(あと少し。あと少し頑張らなきゃ。)
夏空は帰りに向けて気合を入れ直すのであった。
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