25-side夏空-
「え?すててこ?」
充紅は素で驚いた様子をみせる。
「なんで今さら学校きたの?」
夢希はとても嫌そうに顔をしかめる。
愛姫は夏空を見るととてつもなく腹が立った。
学校に来たことが気に入らない
サラサラの髪が気に入らない
ポニーテールが気に入らない
ブランドのリュックが気に入らない
そして何よりも
堂々としているその姿が気に入らない
ガンッ
愛姫は思いっきり机を蹴る。
「よく来れたね。せっかく教室が平和だったのに。」
「愛姫ちゃんと遊びたかったんでしょ〜。」
いつもならクラスメイト達は目を逸らすが
久しぶりのこの状況に目が離せなかった。
「遊びたかったんなら毎日来いよ。不登校とかふざけんじゃねぇ!」
(あ、冬花さんと同じ言葉言った。)
愛姫達の迫力や机がたてた大きな音に驚き体が固まっていた夏空だったが、ふと我にかえる。
(不思議。今なら言える。大丈夫。)
夏空はしっかりと愛姫を見る。
背筋を伸ばす。
胸を張る。
冬花の魂がのりうつったかのように強くなれた。
「やめて。」
(思ったより大きな声で言っちゃった。)
教室は時が止まったかのように喋り声一つない。
「私は遊びたくない。ほっといてほしい。」
夏空は続けて自分の本心を力強く伝える。
(言えた。ようやく言えた。)
言葉と同時に夏空の中の恐怖心は小さくなった。
(前までは声も出なかったのに。不思議。今はあんまり怖くないや。)
夏空は愛姫をもう一度見ると、愛姫は怒りで目が張り付いたように釣り上がった表情をしている。
「ふざけんなっ!」
夏空の肩を押し押し倒そうとしたが、夏空は後ろにぐらつくだけで倒れなかった。
「今日は思い出させてやるよ。すてこの立場を。」
先生がそろそろ来る時間のため皆が席に戻る。
(負けない)
夏空は自分の心に強く誓うのであった。
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