24-side夏空-
リュックを両手でぎゅっと握り締めながら教室に向かう。
(胸を張って教室に入る。前を見て教室に入る。)
席は窓際の一番後ろだと先生が言っていた。
後ろのドアから入って真っ直ぐに席に着くシミュレーションを頭の中で繰り返す。
教室のドアが見えてきた。
夏空は一度立ち止まる。
(どうしよう。足が動かなくなっちゃった。)
一度ブレーキがかかってしまうと、足に鉛がつけられたように体が重くなる。
下を向きそうになったとき、サラサラの髪が顔にかかる。
『触覚をすこーしだけ出すと可愛いよねー。』
髪を縛っているときに冬花にかけられた言葉を思い出す。
両手で握っているリュックをみる。
『真っ黒だけどこのブランドはシンプル&機能的&おしゃれでいいと思う!これにしよう!』
冬花とリュックを選んだときの言葉を思い出す。
『たった一人味方がいるだけで世界はかわるのよ。』
冬花と出会って世界が変わった日々を思い出す。
(大丈夫。私には味方がいる。たった一人の味方が。)
ゆっくり顔を上にあげる。
そして背筋を伸ばす。
足についた鉛はいつの間にか外れていた。
ガラッ
ドアを開けるとクラスメイト達が驚いた顔で夏空をみる。
登校してきたことへの驚きはもちろん、
夏空が可愛くなっていることへの驚きが大きいことを夏空は気づかなかった。
真っ直ぐ席に向かう。
『堂々と朝の支度かましてやりな!』
冬花の声が空から聞こえてきた気がした。
(朝の支度をかますって・・・。変な言葉。)
少し心に余裕ができた。
席に座り教科書と筆箱を机にしまう。
ガラッ
クラスメイト達が息を呑む音が聞こえる。
「あ?」
愛姫達は相変わらず3人でつるんでいる。
夏空は震えを抑えるために拳を握り、
目を逸らさずに彼女達をしっかりみる。
約半年ぶりの対面となるのであった。
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