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11月もそろそろ終わりを迎え、本格的に冬が始まろうとしていた。


夏空は0530に自然と目が覚める。


(緊張しすぎて1時間おきに起きちゃったな。)


ベッドから出るとすぐに冬花も部屋から出てきた。


「おはよう夏空。今日私は仕事休みだから、一緒に学校行こうね。」



冬花は朝ごはんを作りに台所にいく。



夏空は持ち物をもう一度確かめる。


(持ち物OK。携帯もOK。)



朝ごはんを食べ終えると二人で身支度をはじめる。


冬花はしっかりと化粧をして髪を整える。

夏空は上の方で髪を縛ってポニーテールにする。



「冬花さん。本当におかしくない?」



いつもは下の方でなんとなく髪を縛っていたため、ポニーテールをしていることが少し恥ずかしい。


「大丈夫。超可愛い。後は胸を張って教室に入ればいいだけ。堂々と朝の支度かましてやりな!」



冬花も身支度を終える。もともと若く見えるが今日は一段と綺麗に仕上がっていた。


(40代に全く見えない。)


冬花が綺麗であることに夏空も喜びを感じる。



「よし!少し早いけど行こう!」


最後にもう一度、今日のシミュレーションをして、いよいよ登校する。




学校が近づくにつれて足取りが重くなる。

いつのまにか視線はアスファルトに向いていた。



「夏空。胸張って。大丈夫、私がいる。」



冬花は隣で堂々と歩き、夏空に笑顔を向けた。



(私も冬花さんみたいになりたい。)



ほんの少しでも近づけるよう、真似して胸を張る。



胸を張って歩くと、少しだけ冬花のようなかっこいい女性になれた気がして嬉しくなる。




始業時間よりもだいぶ早くに学校に着く。学校では朝練をしている生徒達が走ったりボールを投げたりしていた。




そのまま真っ直ぐに職員室に向かう。



「失礼します。2年3組晴山夏空の保護者です。担任の鈴木先生はいらっしゃいますか?」



職員室が少しざわつく。


恐らく里親のことが噂になっていたのだろう。



「あ、おはようございます。担任の鈴木です。今日は来ていただきありがとうございます。少し向こうの部屋で話しましょう。」



背が高くて細い男の先生が急いでこちらに向かってきた。

夏空はぺこりとお辞儀をする。




部屋に入り、簡単に里親のことについて説明し、夏空の今の状況を伝える。



「じゃあ晴山さんは今月野さんの所で生活しているんだね。いろいろ生活が変わって学校に来るのが大変だったかな?」


(生活変わったからじゃないけど、とりあえずいいや。)


少しずれた理由を持ってきたが、流すことにする。



「今まで休んでしまってごめんなさい。今日からはちゃんと行きます。」



夏空は落ち着いて話をする。



「では晴山さんは先に教室に行っていてください。私はもう少し月野さんと話をします。」



「夏空、大丈夫?」



冬花は夏空を見つめる。



「うん。大丈夫。」



夏空も冬花を力強く見つめ返す。



「大丈夫だよ。いってらっしゃい。今日は帰ったらパーティーだね。」



冬花が笑いながらガッツポーズをして夏空を見送る。




夏空は背筋を伸ばして職員室を後にした。




「月野さんは、そのー、晴山さんの不登校の理由をご存知でしょうか?」



鈴木先生が小声で尋ねてきたが冬花ははっきりした声で答える。


「知っていますが、とりあえずは夏空が自分で解決してみると言っていたので、見守ることにします。」


最後に笑顔をつくる。



「やっぱり、女子特有のいざこざですかね?」


鈴木先生は探りを入れる。



(いざこざで片付けられるレベルじゃないけどね。)



冬花は少し答えに迷う。



(たぶん本当に気づいてないんだよね。この先生。

まあ中学校なんて教科担任制だし、愛姫達が上手くやっていれば気づかないのもしょうがないか。)




いざこざという言葉に腹を立てたが一度冷静になる。



施設長と同じだ。


鈴木先生だって忙しい日々の中で何度か施設に足を運んでいた。


2人が悪いわけではない。


愛姫達が悪い。


そしてそれを見ている生徒

そのことを知っているかもしれない誰かの保護者

なんとなく違和感に気づいている他の先生達

それに気づかない担任の先生


誰かが今の状況を変えることができたかもしれない。

誰が悪いとは決められないが

一人一人にもっと頑張れたところは必ずある。



出会った当初の夏空を思い出すと、

やはり全員に腹が立つ。



(落ち着こう。今腹を立ててもしょうがない。)



「夏空は学校で嫌なことがあると言って休んでましたよね。その嫌なことをしっかり伝えなさいと言っておきました。とりあえずは夏空に任せようと思います。」


「わかりました。僕も注意深く見ています。」



「お忙しいとは思いますがよろしくお願いします。解決しなかった場合、また後日改めて先生にちゃんと伝えようと思います。」



冬花は頭を下げる。



「夏空のことをよろしくお願いします。」





学校を後にして自宅へ戻る。



すぐに気づくことができるよう携帯をポケットにしまう。



「夏空、がんばれ。」



冬花は落ち着かない心で1日を過ごすのであった。




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