表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/33

第24話 絶体絶命

人魔王国の守りが万全になってから数カ月、俺は妻3人の間に2人目の子供を授かった。第2子はエリーゼは女の子、ユリアは男の子、エキドナは女の子であった。エリーゼとの子は、エステル、ユリアとの子はアベル、エキドナとの子にはレイラと名付けた。


「これで子供が6人か。大所帯になったな」


俺はエキドナの子アモスとレイラをアスモデウスに見せるため、魔王城へ転移の魔法で飛んだ。


「久しぶりだな、エキドナ。その子が2人目の孫か」


「はい、父上。レイラです」


アスモデウスはアモスとレイラをそれぞれ抱き上げ、嬉しそうな顔をした。


「ご苦労であったな、もう孫の顔を見せに来なくていいぞ」


「父上、その意味は…」


「そういうことだ、平和な時間はもう終わりだ。国に戻って対応をしろ。これは魔王としてではなく父親としての忠告だ」


「アスモデウス様、ついに戦うときが来たのですね」


「そうだカイン。こちらの準備は終わった。これから混沌の世界を作るのだ。何が起こるか楽しみにしていることだな」


「忠告ありがとうございます、アスモデウス様。何が起ころうとも、俺は国と家族を守り平和な世界を維持します」


「行けカインよ。魔王として全力で戦って見せよう」


俺たちは人魔王国へ転移の魔法で戻った。


「おかえりなさいませ、カイン王」


近衛騎士団長であり妻でもあるアリスが出迎えてくれた。


「アリス、ついにアスモデウス様が動く。皆にもそう伝えてくれ」


「ついに戦いが始まるのですね。わかりました。全兵士に伝えておきます」


アリスは玉座の間から慌ただしく出ていった。


「カインよ、ついに戦いが始まるのう。妾もいつでも戦えるようにしておこう」


「2人目を産んだばかりのエキドナに、無理をさせるつもりは無い。兵士たちだけで対応するつもりだ。このことをエリーゼとユリアにも伝えてくるよ」


俺はひとり転移の魔法でエリーゼとユリアのもとへ行き、万全の注意をするよう伝えた。そしてすぐに人魔王国へ戻った。


「お帰りカイン、早かったの」


「いつ戦いが始まってもおかしくはないからな。何があってもエキドナと子供たちは俺が守るよ」


「頼んだぞ、カイン」


そして翌日、ついに事態は動き出した。


「カイン王!北から大勢の魔物がやってきます。その数千匹以上はいると思われます」


「城下町警備兵に伝えろ!魔物1匹に対してこちらは2人で対応するようにと。俺も行こう」


「カイン、気を付けてな」


「ああ、わかってるよ。アリス、近衛騎士団はエキドナと子供たちの護衛を頼むぞ」


「お任せください、カイン王」


城下町北部に転移の魔法で飛ぶと、警備兵の全てが北の守りを固めていた。


「おまえたち、訓練の成果を見せる時が来たぞ!まずは俺が行ってある程度魔物の数を減らしてくる。討ち漏らした魔物の対応は任せたぞ!」


おれは北の森に向かって走り出した。そして魔物の大軍を相手にする。魔物は上空を飛ぶ者と地上を駆けてくる者が同時に攻めてきた。


「風よ!」


俺は上空の魔物に対して大型の竜巻を飛ばす。くらった魔物が地上に落ちてくるので剣でとどめを刺す。だが魔物の数が多すぎる、討ち漏らしたの魔物が俺の後ろに向かっていく。


「あとは警備兵たちを信じるしかないな」


俺はその場にとどまり、魔物の数を減らして後ろの負担を軽減するよう配慮した。数時間は経っただろうか、押し寄せる魔物がいなくなった。


「これで終わりか、戻って警備兵たちに加勢しなければならないな」


俺は城下町北部へ転移の魔法で飛んだ。


「大変です、カイン王!」


警備兵のひとりが俺に気付くと走って近づいてきた。


「どうした?」


「西と東から、マルディール王国とトライア帝国から軍が押し寄せ、城下町への侵入を許しました!」」


「なんだと、どういうことだ?」


「国王親子と皇帝親子の姿を確認しました。城内に向かっている模様です!」


「くっ、反逆したら殺すと脅したのに。どうして魔物と同時に攻めてきたんだ。まさかアスモデウス様の仕業か?」


俺は城内の玉座の間へ転移の魔法で飛んだ。


「カイン王!」


アリスが叫ぶ。玉座の間は王国軍と帝国軍が入り乱れていた。その数およそ50。それに対し近衛騎士団と宮廷魔術師は合わせて12。数では圧倒的に不利だった。


「アリス、エキドナたちは?」


「私室におられます。ここで侵入を防いでいるためまだ無事だと思いますが、このままでは…」


「俺に任せろ、炎よ!」


俺は遠距離火炎放射で王国・帝国混成軍を焼き払っていく。焼かれた敵兵たちは次々と戦闘不能になっていく。


「カイン王!ひとり突破を許しました!」


まずい、絶体絶命だ。


「くっ、俺が追いかける。アリスたちはここで防衛を続けろ!」


「はっ!」


俺はエキドナの私室へ向かって走り出す。エキドナの私室のドアは既に破られていた。


「エキドナ!」


俺がそこで見たものは、倒れているエキドナにとどめを刺そうとしている皇帝の姿であった。


「エキドナ!」


俺は皇帝の背中に向かって袈裟斬りをする。振り返った皇帝がそれを剣で受け止める。


「来たか、カイン!」


「カインすまぬ。産後から日が浅く、本来の力を出せなんだ」


「エキドナから離れろ!」


俺は剣で一閃する。皇帝はサイドステップでそれをかわす。


「カイン、貴様を殺して帝国を余の手に取り戻す!」


皇帝は目を赤く光らせ俺に襲いかかってくる。なんだか様子がおかしい。


「カイン、皇帝は父上の魔法で操られているようだ。しかも以前よりも力が倍増している。油断するでないぞ!」


皇帝が以前よりも強くなっているのは既に感じていた。これがアスモデウスに操られた影響と言うわけか。


「死ね、カイン!」


皇帝の剣が俺に振り下ろされる。俺はバックステップでかわし、反撃をした。しかし、読まれていたようで剣で受け止められてしまう。


「これなら!」


俺は瞬間移動の魔法で皇帝の背後に回り、首をはねようとした。しかし、皇帝はそれをしゃがんでかわす。


「2度も同じ手はくらわんぞ!」


皇帝の痛恨の一撃!俺は剣で受け止めるも、その威力を受け止めきれず壁際まで吹っ飛ばされてしまった。


「ぐはっ!」


「カイン!」


急いで立ち上がるも、俺が見たのはエキドナの首筋に剣を当てる皇帝であった。


「カイン、余の勝ちのようだな。剣を捨てろ!」


「くっ」


俺はミスリルの剣を鞘に納め、皇帝の方へ向かって投げた。それを拾い上げた皇帝は後ろの方へ投げ捨てた。


「両手を上げてこちらに来い!魔法を使ったらこいつを刺し殺すぞ!」


俺はどうすることもできず、言われたとおりにする。


「そのまま後ろを向け!」


俺は皇帝から背を向ける。その直後、俺の腹から剣が生えていた。


「ぐふっ!」


「カイン!」


エキドナの悲痛な叫び声がこだまする。大量に吐血をしてその場に倒れる俺。


「楽には殺さんぞ!積年の恨み、ここで晴らしてくれる!」


皇帝は俺を蹴飛ばして仰向けにすると、何度も剣を突き立ててきた。


「皇帝!もうやめてくれ!」


エキドナの声は皇帝に届かない。出血多量で俺は意識がもうろうとなる。


「もういいだろう、これで終わりだ」


皇帝が剣を俺の首に向かって振り上げる、そして…。


「カイン!」


皇帝の剣が振り下ろされる。俺はその様子を死の淵で見ているしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ