第14話 平和な日々
俺は戦後処理を行うエリーゼとユリアを手伝うために、1日ごとに王国と帝国へ転移の魔法を使って行き来していた。エリーゼとユリアがそれぞれの代表となって以来、俺の国外追放は取り消されたため出入りは自由となっていた。俺はエリーゼとユリアの前にエキドナを抱いてしまった後ろめたさから、エリーゼとユリアも抱いた。エキドナは最初に抱いたことを黙ってくれると約束してくれたので、表向きにはエリーゼが1番目、ユリアが2番目、エキドナが3番目に抱いたということにした。我ながらクズだと思うが、女同士の争いを起こすわけにもいかないので、彼女たちがこの形で納得してくれたのだからこれで良しとした。
「うふふ」
ベッドの横で寝ていたエリーゼが突然笑い出した。
「どうした、エリーゼ?」
「カインと結ばれたことが嬉しいんですの。3日に1度というのが残念ですけど、まあ良いですわ」
エリーゼは俺を抱きしめた。
「私の目標はカインの中で1番になることですわ。ユリアや魔王には負けませんことよ」
エリーゼは俺の唇にキスをした。
「今日は帝国に行く日だ。それじゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃいですわ、カイン。3日後を楽しみにしていますわ」
俺は服を着ると転移の魔法で帝国へ飛んだ。
「お待ちしておりました、カイン様!」
笑顔で出迎えてくれるユリアとともに戦後処理を行う。ユリアは代表として精力的に働いていた。王国も帝国も落ち着くまでもうすぐだろう。夜になるとユリアの機嫌がさらに良くなっていた。
「カイン様、今日はご一緒にお風呂に入りませんか?」
今日のユリアは積極的だ。1度抱いてしまったら、今まで我慢してきた分を発散させるがごとく、俺を求めてきた。行為を終えて俺たちは眠り、朝を迎えた。
「私、カイン様とともにいられるだけで幸せです。1番になろうとか欲深いまねはしません。ただ、望むなら赤ちゃんが欲しいです」
「誰が最初に授かるかな。エリーゼは何でも1番にこだわってるけど」
ユリアはムッとすると俺の唇にキスをしてきた。
「私と一緒の時は他の女の人の名前を出して欲しくないです」
「ごめんユリア。気を付けるよ」
俺はベッドから立ち上がり服を着る。
「今日は魔物討伐の日だ。それじゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃませ、カイン様。3日後お待ちしております」
俺は転移の魔法で北の森へ飛んだ。エキドナの召喚により、増えすぎた魔物が森の中に大量に残っているので、それを討伐するのだ。魔物を狩ることはエキドナの許可をもらっているし、冒険者ギルドカードも返却してもらいAランク冒険者として復帰したため、魔物の死体を素材としてギルドに買い取ってもらえる。俺は1日かけて魔物を狩りまくり、ギルドに転移した。
「カイン、今回も随分たくさん狩ってきたな。復興のため素材はいくらあっても足りないくらいだ、また頼むぜ。あと前回の報酬金貨50枚持って帰ってくれ」
ギルドマスターのグランから報酬を受け取る。稼いだ金は王国と帝国の復興資金にあてている。定期的に稼がなければならない。夜になったので魔王城へ転移する。
「待っておったぞ、カイン。先に私室に行っているから風呂に入ってまいれ」
言う通りに風呂に入ってからエキドナの私室を訪れる。ランジェリー姿でワインを飲むエキドナの姿があった。
「ほれ、カインも付き合え」
エキドナに促され俺もワインを飲む。俺は酒はあまり飲めないのですぐに顔が真っ赤になる。
「ほっほっほ。あれだけ強いカインも酒には弱いの」
「誰だって苦手なものはありますよ。エキドナ様は苦手なものとか無いんですか?」
「昔は無かったが今は違う。今は孤独が苦手よの。お主に抱かれて人の温もりを知ってしまった。もうお主なしの暮らしなど考えられんよ。3日に1度しか会えなくて寂しい」
「エキドナ様…」
俺は目を閉じたエキドナの唇にキスをする。エキドナは舌を絡ませてくるので、俺もそれに答える。そしていつも通りありったけの欲望をエキドナにぶつけた。
「エキドナ様、申し訳ありません」
俺はベッドの横に寝ているエキドナに謝った。
「なんのことだ?まだ足りなかったのか、仕方のない奴め」
エキドナは俺の上に馬乗りになろうとする。
「ち、違います十分です」
「それではなんだ?」
エキドナは再び俺の隣で横になった。
「今日は魔物を狩る日でしたがエキドナ様とは夜にしか会えません。これではまるで、エキドナ様に自分の欲望をぶつけるだけに使っているみたいで申し訳なく思ったんです」
「ほっほっほ。優しいのカインは。そういうところが愛しいぞ」
エキドナは俺の頬にキスをする。
「妾は魔王失格じゃな。人間同士で殺し合いをさせ、混沌の世界にするのが目的だったのに。こうしてカインの横で、平和でいるのも悪くないと思ってしまっておる」
「申し訳ありません、俺はエキドナ様の側近として人間界を混乱させなければならないのに、今はこうして復興の手助けをしてしまっています」
「良い。お主が大陸の覇者として君臨する間は、手出しはせんでも良いと思っておる。このまま平和に向かうか、誰かが争いの火種となるか、それはわからんがな」
俺の思い描いている未来は、このまま王国と帝国を復興させ俺が大陸の統一国王となることである。しかしそう簡単にことが進むのであろうか。
「エキドナ様。復興が一段落付いたら、地下牢の国王親子と皇帝親子を解放してやろうと思います」
「ほう、なぜだ。あやつらが元の国に戻ったら、そいつらが争いの火種となりうるだろうに」
「それならそれで構いません。まだ歯向かうようなら命を貰うまでです。彼らの扱いは娘であるエリーゼとユリアに任せます。それに争いはエキドナ様が喜んでくれると思いまして」
「ほっほっほ。妾は平和でいるのも悪くないとさっき言ったのに。お主は誠に忠臣よの。お主は王として平和な国を作ろうとしていると思っていたのだがな」
「俺のやり方は力づくによるものでした。このやり方では俺が死んだあと、同じように力づくで誰かが制するでしょう」
俺がそういうと、エキドナは俺をぎゅっと抱きしめた。
「お主が死ぬなどと考えたくはない。これほど強いのに人間はすぐに老いて死んでしまう」
エキドナは俺の頭を胸に抱きしめると泣き始めた。魔王の威厳はどこへ行った。
「エキドナ様、あくまで可能性ですよ。俺は将来産まれる子供をとことん鍛えたいと思います。俺が孤児院出身で、幼い頃から剣と魔法の修業に明け暮れていたように。きっと子供たちは才能を受け継いでくれるでしょう」
「子供か、ほっほっほ。ますますお主の子供を産みたくなったぞ。責任は取ってもらうとしよう」
エキドナの手が俺の下腹部を撫でる。
「エキドナ様、今日はもう無理です…。十分すぎるほど欲望を発散させました」
「なんだ、情けない。また3日後を楽しみに待つとしよう」
「疲れました、もう寝ましょうエキドナ様」
「ああ、おやすみカイン」
こうして俺はエリーゼ、ユリア、エキドナに3日に1度会う生活をしばらく続けた。そうして王国も帝国も復興に一段落ついたため、国王親子をエリーゼに、皇帝親子をユリアに引き渡した。反逆したら命をもらうと脅して。彼女らが父と兄をどうするかまでは俺は指示していない。全て親子間でなんとかしてもらおう。こうして平和な日々は過ぎて行った。




