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第1話 貴様を国外追放とする

「カインよ、平民の分際で王女を惑わすとは言語道断、貴様を国外追放とする」


玉座の間で大勢が見守る中、俺は国王の言い渡しを聞かされ呆然とする。


「お待ちください王様!俺は王女様とは何もありません!決してやましいことなど…」


「黙れ!貴様に申し開きする権利はない。王女が貴様に惚れているのは公然の事実。平民の分際でなんと愚かなことをしてくれたものだ」


俺は本当に王女に何もやましいことはしていなかった。ただ、王女が俺のことを好きだと公言しているのも事実であった。


「リシャールよ、貴様の推薦で平民のカインを近衛騎士にしてやったがとんだ間違いだったな。貴様を一年間五割の減俸処分とする」


「申し訳ありません!」


俺の上司であり貴族でもあるリシャール近衛騎士団長が王様に頭を垂れる。俺は横でその様子を黙って見ているしかなかった。


「カインよ、今日中に我が国から出ていくのだ。二度とその顔を見せることは許さん、その時は処刑するものと思え」


国王はそう告げると玉座から立ち去って行ってしまった。


「カイン、こちらに来い」


俺はリシャール団長に連れられ自室まで戻ってきた。


「カイン、恨むなら俺を恨んでくれ、おまえを近衛騎士に推薦した私を」


「そんな!リシャール団長は悪くありません!」


悪いのは誰か。平民の俺に惚れてしまった王女が俺を好きだと公言しているのが悪いのだが、それを口にすることは決して許されることではなかった。


「カイン、おまえは若くして剣も魔法も極めた逸材だ。孤児院出身の平民という身分だけが残念だった。それでも私はおまえの才能をただの一般兵のまま埋もれさせるのが惜しくて、貴族しかなれない近衛騎士に平民のおまえを推薦したのだ。まさか王女様があれほどおまえにベタ惚れするなんて思いもしなかった。おまえが貴族なら王女様との結婚を許されただろうに、全て私の責任だ」


リシャール団長は俺に頭を下げた。


「頭を上げてくださいリシャール団長!これは誰も悪くありません。俺は命令通り王国から出ていきます。今までお世話になりました」


俺はリシャール団長に頭を下げた。


「王女様がおまえにベタ惚れと判明してからはおまえを遠方に配属させようとしたり、縁談を持ってきたりしたのだが全て王女様の手により邪魔されてしまった。私も色々手を尽くしたのだが全て手遅れになってしまった。王様が今日国外追放を決められたのは、王女様が遠方に出ておられるからだろう。普段は王女様はいつもおまえの傍にべったりだったからな」


王女は現在遠方に配属されている騎士団を慰労しに出かけている。もし今も王女がここにいたなら、俺の国外追放なんて絶対に許さなかっただろうし、俺についてくるとも言いかねない。


「近衛騎士の鎧と剣は没収させてもらう。代わりにこの剣を与える。ただのロングソードだが、丸腰で外に放り出すわけにはいかんからな。盗賊や魔物に出会うこともあるだろうし」


リシャール団長はそう言うと一本の剣を俺に渡した。一般流通している鉄製のロングソードだ。


「国を出てから東に3日ほど歩くと帝国に着く。3日分の食料と水、それに金も渡しておこう。少ないが見舞金だと思ってくれ」


「何から何まですみません。ありがとうございました」


「停戦中とはいえ帝国は敵国だ。気を付けていくんだぞ」


俺は一人王国を出立する。帝国でこれからどうやって生計を立てるのか考えながら。

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