↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
189/1071

57話

 


 こんな世界になる前の朧は、常にニコニコとし、他人の為に率先して動く、社会的模範生徒だった。


 親の期待に笑顔で答え、

 友の頼みは断らず、

 相談には親身になり、

 大して親しくない人間ともすぐに打ち解け合う。


 そんな誰もに好かれる完璧超人、それが朧 正宗だった。


 彼もそれを当然と思い、その生き方こそが正解であると信じていた。


 しかし同時に、心のどこかでは常に息苦しさを感じていた。


 自分を殺し、

 他人が作る雰囲気に溶け、

 空気に溶け、

 感情に溶ける。


 そこに自分は在るのか。

 生きていると言えるのか。

 人生とは何か。

 自分とは何か。


 そんな命題が、彼を日々蝕んでいった。



 そして来たる、十二月二十四日。彼は答えに出会う。


 突如溢れ出るモンスター。

 パニックになる渋谷駅周辺。

 食い殺される人間達。

 そんな中に、彼も数人の友達といた。


 必至に逃げ惑う中、彼は段差に躓き転倒してしまう。


「助けて」


 そう手を伸ばした先には、


 只々遠ざかる、友(・)達(・)の背中があった。


 気付いていない?そんなはずがない。

 手を伸ばした時、確かに目が合ったのだから。


 彼は唖然としながら振り返る。


 自分を見下ろす、狼の群れ。



 瞬間、彼の中の重しが消えた。同時に、彼という物質が、存在しながらもこの世から消える。



 一瞬にして知覚から外れた彼に狼は驚くが、消えた存在よりも見える存在。すぐに獲物を切り替え、前を走る人間達に飛び掛かった。




 ――叫びながら食われていく、友達だった者達。


 朧はそんな光景をすぐ後ろから見ながら、理解した。


 結局人とは、自分か他人かで分けられる。

 そこには決して交わらぬ境界があり、関与できない領域がある。

 結局彼等も、只の友達(他人)でしかなかったのだ。


 彼は決めた。

 他人の為に生きるのはやめよう。これからは自分自身の為に生きよう、と。


 自分こそが中心に考えるべき存在であって、他人とは人生においての脇役でしかない。

 なれば自分らしく、好きなように生きよう、と。


 他者に溶け込みながらも、自由に生きる。

 そのどちらもが、自分を形作る本質。


 そんなある種の矛盾こそが、この能力を生んだのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 自分こそが中心に考えるべき存在であって、他人とは人生においての脇役でしかない。 その通りだと思う
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。