冬のプレゼント
ねえ、寒くなるのってキライでしょ? でもね、冬の寒さだってイッパイ役に立つことがあるんだよ。
夏のマブシイ光で生まれたアツアツの風、一年中あんなだったら、君なんかドロドロのアイスクリームみたいになっちゃうかもね~。
えっ、アイスみたいにならないって?
そうだね、君はドロドロにならないかもね。でも君がダイスキなアイスクリーム、アレを守っているのはボクらだよ。ボクらがアツアツを追い出しているんだ。
それに聞いたことないかな? 毎年毎年、暑くなっているって?
そうそう、オンダンカゲンショーってヤツね! 地球の氷が全部水になったら、君のお家だって海の中だよ?
ねっ! 寒いのだって役に立つんだ。食べ物を長くそのままにしておいたり、住む所を守ったり。それに、君だって少しはアセをかかなくなるだろうしね!
それじゃボクらのオシゴト、少し見せてあげようかな!
まずは、こうやってヒンヤリした風を……アハハッ! あのオジサン、あんなに首を引っこめて! まあ、あの人は頭の上も寒そうだしねぇ。
ええっ、イタズラじゃないかって?
ちゃんと意味はあるんだよ? わからない? あっ、そう……もう少し時間がかかるのかな……じゃっ、次行ってみよう!
今度はね、ここの水たまりを氷にして……ツルツルスッテ~ン! ナイス! お姉さん、いいネ!
う~ん、またイタズラだって?
アレも意味があるんだよ? それに、あのお兄さん、大よろこびしているじゃない。えっ、あんなダラシナイ男、よろこばせるなって?
まあね、アレはボクもやりすぎたかな~、って思ったよ……えっ、もうイイって? 広場に遊びに行く? そっか……それじゃ、またね!
◆ ◆
おかえり、楽しかった? えっ、寒くなったから帰ってきたって? ボクのせいだって言うの?
まあ、そうかもね。でも、もう暗いから、お家に帰りなよ!
寒くなければもっと遊べるって? でもね、これも大切なことだって言ったでしょ? 冬は休む時間なんだ。また、アツアツになったときの元気をためる……そのためにね。君も、虫さんも、山のクマさんも。み~んな、お家で休むのさ。
あっ、さっきのお姉さんだ!
うん? また氷が?
だいじょ~ぶ、ホラ! お姉さんは頭がイイからね。だってモコモコのブーツだもの! さっきのトンガリ先っぽじゃツルツルスッテ~ンばっかりさ! 冬には冬のやり方があるんだよ!
ホラ、今度はお出かけできる。あのままじゃ、きっとどこかで大ケガした。でも、モコモコブーツなら安心だね!
どうしたの、そんなビックリした顔して? 次も見てごらん!
よしよし! あのオジサンも冬にピッタリだね! 首にはマフラー、頭には毛糸の……オクサンの手作りかな? 見かけによらずアツアツなんだね!
まあ、これならカゼにはならないでしょ!
な~に! その目は!
こうやってね、ボクは冬にピッタリのやり方を教えてあげているのさ! 役に立つオシゴトでしょ?
なになに? でも遊べなくてツマラナイって? だいじょ~ぶ! 君にもボクからのプレゼントを、ちゃ~んと用意しているから!
◆ ◆
「あら、早かったわね!」
「寒かったから……」
「それはよかったわ!」
「……えっ?」
「お父さんもいるわよ!」
「えっ、お父さん?」
「向こうは大雪だから、今年のお仕事はもう終わりなの! ほら!」
「おかえり! 元気そうだな! それと……メリー・クリスマス!」
「う、うん! メリー・クリスマス!」
お し ま い
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