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シュールナンセンス掌編集

階段を上ると

作者: 藍上央理

「階段を上ると」



 ママにお弁当を作ってもらって、「いってきます」と言ってドアを開けた。

 学生靴を買い替えたばかりなので、靴ずれができてしまってちょっと痛い。

 歩くときかばってしまうのか、びっこをひいてしまう。

 隣の山田さんが玄関口で打ち水しているので、「おはようございます」「こんにちは」と言い交わした。

 ふと空を見上げると、お日様ののぼるのが早くて、朝はもう昼過ぎに差しかかる。

 学校へは遠い。

 曲がり角を曲がると、でこぼこした石の階段がある。

ちょっとこけむしていて雰囲気がある。

 一回くらい腰かけてここでお昼にしたいけれど、そうすると学校へ行くのが少しばかり早くなってしまう。

 まじめな私は寄り道をしないのだ。

 階段をのぼっていく。

 すると、すべては逆さまに進みだす。

 私は時間を逆上り、るあが段階の石たしこぼこで、とるが曲をどかりが曲

 。い遠はへ校学

 。るかかし差にぎ過昼うもは朝、てく早がのるぼのの様日お、とるげ上見を空とふ

 。たしわ交い言と「はちにんこ」「すまいざごうよはお」、でのるいてしを水ち打で口関玄がんさ田山の隣 

 と、ここで山田さんにあいさつし終えて、朝日のまぶしいなか、学校の正門をくぐった。

 日常のちょっとしたことから見つけたメビウスの階段をだれにも教えない。

 秘密なのだ。

 しかし、そんな時間のひねりぐあいを、私は体感したことがない。

 こういうことは見ている人間にしかわからないだろう。

帰りもまた真夜中から夕暮れを股越して、山田さんと「わんばんこ」「わちにんこ」と言葉を交わしあうのだろう

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