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光芒  作者: 藍原燐
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転移

 「ここです。」

 「助かった。なんとなくでも位置関係は知ってきたかたんだ。二人とも、詳しいことは着いてから話す。・・・今から転移する。」

 突然のことに驚く二人を横目に、レオは広げた地図を丸めてクリスに返した。それを流れで受け取りながら、クリスはレオの顔を見ながら言った。

 「切羽詰まってるのは分かったけど、少しは説明して欲しいわね。それに、転移するにしても、詳しくはやったことないから分からないけど、もっと詳細な地図を見た方がいいことくらい分かるよ。移動するのはあんただけじゃないんだから。」

 彼女の真剣な目を見て少しは落ち着いたのか、レオは大きく息を吐いて衛臣に頼んで詳しい地図を持ってくるようにクリスに頼んだ。

 数分待って、クリスが持ってきた地図を再度眺めて街の位置を正確把握したのち、レオは小さな鞄を両手で抱き締めているニコに顔を向けた。

 「お前はブルーノと全く血の繋がりがないわけじゃない。彼はサンジェルマン家の分家にあたる家の出だ。別れたのが彼の曾祖父の時代だから、叔母さんとはほぼ他人だがな。・・・その顔を見る限り、知らなかったようだな。だがイヴァーノは知っていた。」

 「なら、お父さんでも神を目覚めさせられるんじゃないの?」

 「目覚めさせるのにはその木箱の中身が必要だ。それに第一、彼は神代になる力を持っていない。」

 「ですが、サンジェルマンの血を引いているのですよね?」

 「・・・神代の力は一族に一人しか継承されない。殆どの場合、持っている者の第一子が受け継ぐ。ブルーノの家はサンジェルマン家の二男から始める家だ。当然力は受け継がれていない。」

 「だから、さっき『ニコが目覚めさせれば』って言ったんだ。でも、目覚めさせられなくても、結局ニコが目覚めさせることで助けられるんだから、そんなに焦ることじゃないんじゃないの?」

 「俺が急いでいる理由はそこじゃない。力の継承のされ方がただ血の繋がりの有無としかしらないあいつらが、そこに輪をかけて馬鹿なことをしようとしていることに気がついたからだ。」

 「目覚めさせるだけじゃないってこと・・・?」

 「違う。目的は変わっていない。方法を変えてみるんだ、起こす方法を。六個目にして一族の生き残りが二人もいる、と思って前々から考えていた方法を試すことにしたんだ、あいつらは。」

 「その方法って?」

 「・・・伝説では、旅人は死んだ状態から神の力によって蘇生され不老不死に、神代になった。なら、『神代が神代としての特徴を得るには死ななければならないのではないか。死して目覚めた神によって蘇るのではないか』。」

 「まさか・・・!」

 驚愕の表情を浮かべるクリスに同意するように、レオは結論を述べた。

 「そう、あいつは、イヴァーノはその狂った考えをブルーノで試すつもりなんだ。」

 ニコが体を硬くするのを捉えながら、レオは続きを口にする。

 「もしその考えが実証されなくても、もう一人の残ったサンジェルマン家の人間を使ってそれまでの神代にやらせてきた方法でもう一度やってみればいい。それでもだめなら、また探せばいい。・・・そう思ってるんだろうさ。」

 そこまで言ってレオは大きく深呼吸をし、転移する理由を口にした。

 「イヴァーノは監視も含めてブルーノを自分の傍に置いている。計画では、仕事を終えたらまず屋敷に戻り、ニコをブルーノと一緒に馬車に積んで神の森の天蓋に向かう予定だった。ニコの確保には失敗しているが、それでも一方の方法は試すことはできる。奴は今日仕事でどうしても午前中は街を離れなくちゃならなかった。その仕事が終われば、後の予定がどうなっていようと二時過ぎには帰ってくる。ここから天蓋までは馬車で二時間弱、俺たちが今から馬車を手配して出発したところで、到底追いつけない。奴の暴挙を阻止するには転移するしかない。」

 レオの説明の途中からニコの傍に寄って気遣っていたクリスは、レオの顔を見て言った。

 「説明してくれてありがとう。ニコには悪かったけど、知れてよかったよ。私はすぐにでも行けるよ、貴重品は既に全部持ってるし。・・・ニコ、大丈夫?」

 ニコはクリスにしっかりと頷いて、レオの方を向いた。

 「私も大丈夫です、いつでも行けます。」

 その返事を合図に、レオを中心に三人の足元に陣が展開された。

「周りの急激な変化に酔う奴もいるから、目を瞑っておいてもいいぞ。・・・では。」

 すると床を含めた部屋の物全てが彼らを残して急激に歪み、急速に変化していく。そうかと思うと頭上から青色が広がり、それが空だと分かった時には、三人の目の前を十メートルほどある木々が覆っていた。

 『転移する』と言ったレオを信じていなかった訳ではないが、自らの常識を根本から覆す経験に、ニコは感動にも似た感情を抱いた。

 先程よりもだいぶ落ち着いたレオは、周りを見渡して呆けているニコを見て苦笑を洩らした。

 「そうか、召術での転移術は未だに無理だったな。」

 平然とそんなことを言うレオに、ニコは先の光景を見て誰もが思うことを口にした。

 「レオさんは神代だったのですね・・・。」

 しかし、レオの返事は曖昧だった。

 「いや、まあ、当たらずも遠からずかな・・・。」

 「?」

 疑問を浮かべるニコを置いて、レオはニコと同じく頭をひねっているらしいクリスに話しかけた。




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