デビューは災難の幕開け?3
キーンコーンカーンコーン!!
学校の終わりを告げるチャイムが鳴る。
他のクラスもほぼ同時に終わったようで、下駄箱に着くころには
大勢の生徒で溢れていた。
「オラァ!どきやがれ!」
「邪魔なんだよっ!」
なにやら下駄箱の方で誰かが怒鳴り散らしている。
「道を開けろやーっ!」
うわぁー不良だ、、。
下駄箱に着くと七人の不良グループがすぐに目に止まった。
すでに数人やられたのか、不良グループの傍らで二、三人顔に傷を負って倒れている。
「うぁっ、、!」
不良グループのリーダー格だろうか、
倒れているうちの一人に、お腹に一蹴り入れると不良達はその場から居なくなった。
「ヒドいことするなぁ」
「あいつらきっと工業科だぜ!毎年工業科には悪いのばっか来るらしいから」
すぐ側に居た同じクラスメイトが話しているのを耳にする。
「この学校の工業課ってそんなに悪いの?」
思わずその話しに混ぜてもらう。
「あ、君知らないの?ここの工業科はこの辺じゃ有名だよ!悪い方の意味でね。さっき一番威張ってたのは多分川西中の砂賀ってやつさ!一度街で見かけたことがある」
「へぇー、、そうなんだ、、。やけに詳しいんだね」
見た目は真面目そうに見えたそのクラスメイトが流暢に不良の説明をしたせいか
なんだか少しかっこよく見えた。
「当たり前だよ!この学校に通うならこれぐらい知っておくのは当然のことさ!
普通科と工業科は別々の棟にあるけれど、唯一知らなかったのは下駄箱だけが一緒の所にあったことかな、、。」
やっぱり地元の人はこれくらい知っているのだろうか、まるで自分が転校してきたかのようにまったく何も知らなかったことを思い知る。
工業科の人達にはあまり近づかないようにしないと痛い目をみるかもしれない。
そう心に刻んで僕は学校を出た。