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なんたるか

作者: 彗野ひえる
掲載日:2026/05/07

肩に上着をかけていた

かのように思えたのだ、実際はまったくの幻想で、

上着は椅子にくたびれたままだった

たちあがった、風がわたしの肩を通る

遠くで鶏が鳴く

今日だけはお願いだと頼んだ

忙しさとタイムリミットがせまる

まるで走っているような心地よさがわたしの胸をとおる

わたしは椅子に座っている

窓を開けていない

冬の空気は分厚い窓にさえぎられてすこしも感じさせてはくれない

だというのに薄着のわたしはうれしい

冬だ、冬がわたしのもとを訪れている

パソコンが落ちる

サルトルがわたしの脳裏に浮かんでいる

うれしくおもう

今時誰からも手紙をもらわないのだ

なにも急いでいない

なにも焦ってはいない

なにも疲れてはいない

なにも苦しくはない

幸福すぎることもない

ただただ冬の空気がうつくしくわたしを満たしていて

これも幻想の一つだった

ただそれでも苦がないというのはどれだけよいことか

なにもかんじないということはどれだけよいことか

しばし眺めていた

昨日から訪れているこの和やかな、あるいは停止した悲しい心拍のような

状態を

ああなんと形容すればよいことか

読んでくださり、ありがとうございます。

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