第5話 あら?私ってば得をしたのかしら?
衛兵に背中を押されて、サルトルと、リーリエさんは夜会を後にしました。
我が家の馬車に乗ろうとして、一揉めしたみたいですが、もう我が家と関係ないサルトルは仕方がなくリーリエさんと一緒の馬車に乗ったようです。
勿論我が家に着いたところで玄関前にサルトルの私物がすべて投げ出されておりまして、我が公爵家にははいれませんし
「サルトル! お前ッなんて事を! なんて事をおおおー!」
我が家の好意で王都に家を借りていたサルトルの実父、マイナ子爵も追い出されています。
流石にあんな沢山の人の前で婚約破棄など、外聞が悪すぎます。わたくしだって怒っているのですし、お父様など冷静に見えてお腹の底からグラグラ煮えたぎっているのです。許してくれるはずがないじゃないではありませんか。
「ははっ! マリア嬢よ、良い余興であった。それで良いかな?」
陛下は手を叩いてそう言ってくださいました。わたくしの失態を余興で済ませてくださるなんて、我が家ライナス家に取ってはありがたいことです。
「陛下の寛大な御心に感謝致します」
「うむ。出来れば我が息子のこと、少し考えてやってはくれぬかな?」
わたくしは深々と礼をするしかありませんでした。自分で決めて押し通したらこのざまぁでしたものね。
あら? 少し違ったかしら??
その後、少しのあいだサルトルもリーリエさんも学園に来ていたようですが、すぐに来なくなりました。今、何をしているのかわたくしの耳に入ってこなくなってしまいました。
「よろしくね、マリア嬢」
「こちらこそよろしくお願いします」
結局、婚約者はブレア第二王子になり、アザレア様は隣国の王太子に嫁いで行ってしまいました。
「ほほほ! マリアのお陰で王妃様になれたわ!」
と、ものすごく感謝されてしまいました。
「アザレアはいい子だったんだけど、なかなか野心家な上に元気過ぎてね。少し疲れてしまうんだ。それに比べてマリアは落ち着いてて……ふふ、嬉しいよ」
そんな風に言われたら、私もブレア様のことを好きになってしまいます。
「私は王位は要らない。でも遠くに行くと兄上と父上が心配するから、近くのライナス公爵家だと何かとありがたい……あっ! もちろんマリアの事も気に入ってるんだ」
「まあ、ブレア様ったら」
わたくし達もいい関係を築いて行けそうですわ。これでわたくしの婚約破棄騒動は終息しました。
あら? 得したのはわたくしの方でしたかしらね?
【終】




