~第4幕~
クリスタルエデンの主催で妙なネット番組がはじまる。
「メディア王に誰が笑う」
綺羅めくる、ジストペリド・如月湊、蒼月しずく、フェニックス大、五味秀一、山田エヴァ万桜、弥生双吾、お笑い界からもふもふ王国・二宮の総勢8人がそのトーナメントに出場する。
内容は対戦相手のタレントの事を罵倒すると言うものだ。
優勝賞金は3000万で漫才王になろうGPの3倍にあたる。
「えっと~何だろうな。めくるちゃんって毒舌キャラで売っているけども、それだけでこれからの芸能界をやっていくのなんて難しくない?」
「は? だから何? ホモだってネットで騒がれているに対して何もコメントを返さないアンタよりも遥かに儲けているのだけど?」
初戦から若手人気タレントの対決にテレビもヨウチューブも湧く。
勝者は毒舌キャラ全開の綺羅めくる。如月湊は優しかった。
「胸のでかさだけで男がなびくかと思ったら大違いだぞ?」
「ごめん。貴方のやっている悪役って私でも演じられそうなのだけど? ぶっちゃけ貴方って別にこの業界にいらない存在じゃない?」
五味秀一と蒼月しずくの対決は蒼月しずくが辛辣で冷徹なキャラをみせて勝つ。五味はバラエティ番組でもニヒルでダーティーなキャラが世間に広まっているのだが、まさかの初戦敗退となった。
「森大地の役はもっと元気があっても私はいいと思っていまして……ああ、でも、伊達監督の考えを否定する訳じゃなくて……」
「お、おれはそれこそ牧野役ってもっと感情的でもいいと思っていて。山田さんの牧野を否定する訳でないのだけど……」
フェニックス大と山田エヴァ万桜は互いに俳優としての短所を指摘しあう試合になったが、どこかお互いに遠慮しているような感じになった。その結果なのか僅差で山田勝利となった。
「君、本当に顔つき悪いよね」
「俺は生まれた時からこういう顏だ。アンタもそういう老け顔だろうが」
弥生双吾ともふもふ王国・二宮は名試合を繰り広げる。そしてチアリーダーの格好になった神埼が乱入すれば、フンドシ一丁の野田栄一郎が酔ったような姿で弥生の応援に入る。そのアクシデンドが番組の最高視聴率をとったとも。
勝者は僅差で二宮。
「手ごわかった。さすが芸能界のベテランだった」
「さすが漫才の王者。私のような者を相手にしても堂々としていたよ」
試合後に自然と握手も交わす2人の人間味も光る。
「なんだこれ?」
田口エンタメ野郎はスマホを眺めて愕然とした。
自身が出演して本腰を入れているテレビ番組などそっちのけで生配信動画の視聴数が爆発的に伸びていた。テレビでやるような事をインターネットでやっている。
その再現率が凄まじく高いのだ。
そして面白い。
彼はこの番組の視聴者となって釘づけになっていた。
それを相方の田中小雪の前で晒すものだから、もう認めるしかない。
メディア王の座を狙う男として負けてしまったことを。