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究極魔法不如勇者之一撃 [きゅうきょくまほうはゆうしゃのいちげきにしかず]

作者: 河辺 螢

 まさか奴がこの世界にまで侵出していようとは!


 せっかく魔力を持って転生したなら、奴を倒すことを使命とし、この世界に平和をもたらせてみせよう。

 そう誓って十年。



 俊敏な奴にも的確にヒットさせるため、加速を無効にする術式から足止めのための魔法陣の展開はコンマ2秒以内。ここまで術を極めるのに三年かかった。飛行能力を発揮させないよう重力制御、これに一年。平行して毒や酸の知識を学び、奴に効果のあるとっておきの毒液開発。毒液を噴射したら氷結、破壊!


 しかし、これだけの術を放っても氷をクラッシュする前に魔法を逃れ、逃げ出すだけの力を残していた奴がいた。あれほどの毒を喰らわせ、あんなに苦労した術式がこうも簡単に解かれてしまうとは。ぐぬぬ。

 しかも破壊で散らばった奴のパーツが大不評で、責任を持って片付けろと言われた。…本気で泣いた。

 あの時、恐怖から発動したマグマの魔法は地表に散らばるパーツを飲み込み、炎の龍のように地面の奥深く沈んでいった。新しい技を身につけたのは怪我の功名だったが、まだまだ修行が足りなかった。



 破壊じゃだめだ。こうなったら死と同時に消滅だ。

 物理攻撃が最も確実なようだ。それなら投げ矢に毒も魔法も仕込んでしまえばいい。

 矢を向けた先の標的に魔法陣を展開。加速無効、空中での重力制御、完全静止の魔法を重ねがけし、矢には標的補足と追撃の魔法、針からの毒液注入と同時に炎魔法による瞬間燃焼、灰さえも残さず消滅!


 これでどうだ!

 わっはっはっはー!

 私の勝ちだ!

 私の目の前に現れたが最後、その存在ごと消え去るがいい!




 かくしてこの世界は、一人の魔法使いの努力により、台所付近に出現する厄介な呪われ虫は投げ矢で退治するのが一般的、…とはならなかった。


 そもそもこれほどまで精密な魔法を矢に仕組める者が私の他におらず、しかも投げ矢の腕が悪いと魔法による追撃をもってしても奴を追い切ることはできなかったからだ。

 せっかくの傑作が…。



「あー、喉渇いた」

 みんな寝静まっている夜中、同じパーティの剣担当、ガリウスがあくびしながら現れた。真っ直ぐ向かった水瓶の近くに奴を見つけ、サンダルでバシッと一撃。ポイ。

 瞬殺だった。


「まだ研究してんのかぁ? あんまり根詰めすぎずに寝ろよー。おやすみー」

 結局、勇者によるサンダル一撃を越えることはできないのだ。



 後日、私が開発した投げ矢の技術は(やじり)に応用され、飛龍退治に使われるようになった。







お読みいただき、ありがとうございました。

退治できる人、皆勇者。


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