1、とある小説家の苦悩
空前絶後のヤンデレブームが自分に来たので書いてしまいました。
既に完成しているので毎日17時投稿です。(全12話)
よろしくお願いします。
この物語は偶然の出会いから始まる。
フレイヤは料理で必要なリンゴを取りに行くため一人で森へ入る。そこで折角リンゴを見つけたのに高くて届かず藻搔いていると、後ろから伸びてきた手によってもぎ取られるのだ。慌てて振り返ると、そこにはこの世のものとは思えないほど美しい顔立ちの男性が立っていて、フレイヤに渡してくれたのだ。
フレイヤはリンゴをとってくれた男性に御礼を言うためにダメもとで森へ入る。すると同じリンゴの木の下で再会することができるのだ。彼の名前はアラン。現在の流行やフレイヤが持って来た食べ物に興味津々で、美しさの中に少年らしさを持つ彼に少しずつ惹かれ始めていた。
ある日、いつものようにフレイヤが森へ向かっている途中でガラの悪い男の集団に囲まれる。必死に森の中へ逃げるが、途中で腕を掴まれて絶体絶命のタイミングでアランが颯爽と登場する。まるでアランを手伝うように風が吹き荒れ、木々がざわめき、野生動物たちが顔をのぞかせる。恐れをなした男たちはフレイヤを突き飛ばすと逃げていってしまう。突き飛ばされたフレイヤはアランに抱きしめられる形で支えられる。これまで友人として見ていたアランが見た目以上に逞しく、フレイヤは恥ずかしくなり顔が赤らむのを止めることができない。一方でアランも腕の中にすっぽり収まったフレイヤが愛おしく思うが、同時にこれ以上一緒にいるのはフレイヤのためにならないと気づかされるのだった。
で、色々あって前回の最後は…
「俺はこの森の守護者なんだ」
守護者とはフレイヤにとって、本の中にしかいない伝説の存在だと言われている人。フレイヤの住む国には変わった言い伝えがある。ごく稀に動物や自然から愛されて生まれる子供がいる。その子供は他の人よりも長寿を得る代わりに森でしか生きることができなくなるのだ。その守護者は人が住むところでは環境が悪すぎて呼吸困難になり、最悪の場合は死に至ると言われている。つまりアランを愛するということは森に取り込まれることを意味することになっているという事なのだ。全てを話したアランにフレイヤが触れようとすると、その手を弾かれてしまう。
「俺はフレイヤには幸せになってほしい。でもきっと俺ではフレイヤを幸せにすることができないんだ。今君に触られたら決心が揺らいでしまう。俺は君がこの森に、そしてこの俺に囚われてほしくないんだ」
アランは逃げるように森の奥へと進んでしまう。フレイヤが後を追うが何故か捕まえられない。そして気づけば森の入口に立っていたのだ。
今回ひと悶着あって(ガラの悪い男たちに捕まってしまう)アランが出てくる。
「私はアランが忘れられなかった、会えなくなってからもずっとアランのことを考えてしまうくらいに好きなの」
「本当に良いのか?街での暮らし、家族や友人全てを捨てることになるんだぞ。それに俺は長寿で君は先に年をとってしまう。それでも?それでも俺で良いのか?」
「アランで、じゃなくてアランが!アランが良いの!」
ここで二人は暫く幸せの余韻に浸る。その後アランに手を引かれて森を歩いていると、ぽっかりと空いた土地に家が建っていた。フレイヤを歓迎するように風が吹き、動物たちも二人を囲んでいる。何事かと思ってフレイヤがアランの方を見ると、真剣な顔をしてアランはプロポーズをする。
「」
うーん、アランは長寿だからフレイヤが先に逝ってしまうのは覚悟しているだろう。でも別れは辛いよね、そんな彼が愛しい女性にどんな言葉で愛を伝えるのだろう?相手は全てを捨てて来てくれたんだ。だからアランもそれに相当した覚悟を伝えるはず。
「幸せにします」は普通過ぎるよ………もう思いつかない!折角最終巻まで来たのに、ここで出版できなくなるのは今後に響いちゃう!思いつけ私!思いつくのよ!
「…ま、…シャ様」
「うーーーーん、アランならどんな言葉をかけるかな?」
「ターシャ様!」
「うわっ!」
座っているすぐ隣から声をかけられて現実に戻って来た。驚いて声の方向を見ると、専属メイドのアリスが私の顔を見つめている。
「そろそろ寝ないと明日の学校に響きますよ」
「噓!もうこんな時間!早く寝ないと!」
椅子から跳ね降りるとベッドに潜り込んだ。アリスは私がベッドに入ったのを確認すると、失礼しますと言ってから灯りを消して部屋から出て行った。暗闇の中で目を閉じていると、自然と眠気が襲ってくる。潜ってからじっくり考えようとしていたのに、気づけば私は夢の世界に飛び込んでいたのだった。
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