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13.《大型迷宮》攻略

 耳が痛いほどにしんと静まり返った《守護者部屋》。土を踏む音、風を切る音、鎧の擦れあう音。聞こえてくるのは俺の発する音だけだ。

 ぽつぽつと墓石の置かれた小高い山を上り切ると大きな盆地が姿を見せる。盆地の半径は一キロほどで中央には注連縄(しめなわ)を巻かれた巨岩があり、それを埴輪(はにわ)の群れが何重もの輪となって囲んでいる。

 その巨岩の前で圧倒的な存在感を放っているのが《大型迷宮》の《最終守護者》だ。



===============

妄骨種―破壊の焉骸骨ディストラクションデススケルトン Lv100

職業 最終守護者


スキル 剣術(超越級)Lv10 槌術(神淵級)Lv1 風魔術(上級)Lv10 土魔術(超越級)Lv10 火魔術(特奥級)Lv10 光魔術(上級)Lv10 水魔術(上級)Lv10 闇魔術(神淵級)Lv1 アブソートフィールドLv10 暗視Lv10 恨み骨髄Lv10 回復阻害攻撃Lv10 輝骨化Lv10 気配察知Lv10 堅硬骨Lv10 高速自動治癒Lv10 自動再生Lv10 死の気配Lv-- 召天の鎌Lv10 真骨頂Lv-- 体重操作Lv10 超強化骨格Lv10 破壊の天骨Lv-- フォートレスフィジカルLv-- ボーンスナイプLv10 魔力高速自動回復Lv10 骸の妄執Lv10 冥界の窯Lv1 亡神に捧ぐ供物Lv10 﨟纈(ろうけつ)の加護Lv-- ワールドディストラクションLv1


称号 冥府の王Lv--


装備 死神の戦槌ガヴォン

   死神の大剣ライフリーパー

   死神の鎧ディザマ

   死神の兜ヘルムーズ

===============



 《最終守護者》は大剣と戦槌を持った厳つい人型《スケルトン》である。骨に厳ついと言われても困惑するだろうがそうとしか言い表せない姿をしていた。

 まず最初に目につくのはガタイの良さだ。皮も髪も肉も無いのに軽く三メートルはある。走り高跳びを始めればオリンピック優勝も夢ではない。

 そして身体を構成する骨の一本一本がボディービルダーの筋肉のように太く逞しい。肩や肘や膝からは棘が屹立し眼窩も通常よりシャープだ。

 更には全身を包む《装備品》がその恐ろしさを助長する。黒を基調として要所に白い髑髏(どくろ)の装飾があしらわれており、剣も鎚も兜も鎧もまるで”死”そのもののような底冷えする威圧感を放っている。だが死神なのに鎌を使わないのはいかがなものか。



「《電光石火》」



 俺と《最終守護者》の《レベル》差はおよそ三十。だが勝算は十分にある。

 《スキル》を発動し盆地の(ふち)から飛び出した。坂を上っている最中から《気配察知》でこちらを補足していた《最終守護者》が迎撃に動く。

 気が遠くなるほどの《魔力》が込められた黒い球体が空高く浮かび上がり、ある高度に達したところで膨張を開始する。初めはテニスボールくらいだったのがバランスボールほどにまで膨らんだところで破裂、中から闇が勢いよく溢れ出し墨汁をぶち撒けたみたいに空を塗り潰していく。

 闇は盆地の上空を呑み込み山の中腹辺りまで広がった。ただでさえ暗かったというのにこれでは視界が全く利かない。



 〈暗雲〉。

 それこそがこの〈超越級魔術〉の名称。

 雷に似た闇の光線と雨の如き闇の弾丸が無差別に降り注ぎ、効果範囲に居る者には強力な弱体効果(デバフ)も働く。

 発動者の周辺は台風の目のようになっているので動かなければ巻き込まれないがそれ以外の全てを破壊し尽くす驚異の殲滅力を誇る。



 そしてこの〈魔術〉をさらに凶悪にしているのが《ユニークスキル:ワールドディストラクション》だ。



《ワールドディストラクション》ランク8:常に〈術技〉の威力を大きく増幅させる。常に〈術技〉の攻撃範囲を広げる。〈術技〉により傷を負わせた時、傷の深さに応じた量の《魔力》とスタミナを消耗させる。



 この《スキル》の効果によりダメージを受けると追加で《魔力》とスタミナも削られてしまう。超広範囲に回避不能な密度で攻撃を加える〈暗雲〉とは抜群に相性が良い。Aランク冒険者が徒党を組んで挑んでもこれ一発で半壊することもあり得る。

 もっとも、俺にはあまり効果がないのだが。

 高威力の光線は発生頻度が低く躱すことができる。逃げ場が無くなるほどに放たれる弾丸は威力が低すぎる。俺の《防御力》だと素肌に直撃しても(ひょう)が当たったくらいの感覚だ。その程度のダメージで削れる《魔力》などたかが知れている。走るのに邪魔な埴輪(はにわ)を壊してくれるのでむしろプラスの方が大きいと言える。

 弱体効果(デバフ)も俺の《抵抗力》なら問題ない。



 闇の雷雨の下を駆けていると前方から数本の尖った骨が飛んできた。紫の火炎や黒い水の渦、光り輝く闇といった〈魔術〉も後に続く。

 とはいえ俺と《最終守護者》の間にはまだまだ距離がある。《ワールドディストラクション》により効果範囲が広がっていても元から軌道の決まっている攻撃を避けるのは容易い。躱しきれなくとも〈暗雲〉に威力を削がれているので剣や《三面六臂》の腕で相殺できる。

 また不規則な左右への動きも交えることで的を絞りづらくした。



 そのまま走り続けて道程を半分ほど消化したところで息苦しいような嫌な感覚に襲われる。《アブソートフィールド》の効果範囲に入ったのだ。通常なら急速に生命力と《魔力》を奪われていくが俺は《抵抗力》が高く《現人神》も持っているので気分以外に害はない。

 近付いたことで激しさを増す遠距離攻撃の嵐を凌ぎながら着々と距離を縮めて行く。



 《最終守護者》まであと百メートルと少し、というところで奴は初めて左手の大剣を動かした。加速・拡張された斬撃が一瞬の内に迫る。それはこれまで俺が幾度も使用してきた〈超越級剣術:大閃〉。



「〈勁通〉」



 斬撃同士がぶつかり合いけたたましい金属音が耳をつんざく。たとえ階級が二つも上の〈術技〉でも威力特化の〈勁通〉なら打ち合える。速度では大きく劣っているが《全知全能》で相手の太刀筋を先読みして対応した。

 ちなみに《最終守護者》の〈大閃〉は俺のものより範囲が広い。〈大閃〉の、というより〈剣術〉全般の『斬撃を拡張する』効果は倍率で働いているため刀身の大きさに比例して斬撃も大きくなる。つまり俺の剣の二倍くらいある《最終守護者》の大剣はその攻撃範囲も約二倍なのだ。

 ちなみに『斬撃を飛ばす』効果の射程はどの剣を使っても変わらず〈剣術〉ごとに一定である。



 さて、残りは八十メートル。頃合いだな。



「起動、《呪われた鬼人の指輪》、《呪われたガーネットウィルリング》」



===============

《呪われた鬼人の指輪》ランク5:装備者の攻撃力、防御力、敏捷性を一時的に増幅する。

 この装備は呪われており装備解除できないが、全ての装備効果が強化されている。

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《呪われたガーネットウィルリング》ランク6:装備者の生命力と防御力を常に引き上げる。装備者を大きく回復させる。魔力を消費して障壁を展開する。装備者を常に治癒する。

 耐久度上昇。耐久度上昇。損傷を自動修復する。

 この装備は呪われており装備解除できないが、全ての装備効果が強化されている。

===============



 《パラメータ》を増強しギアを上げる。さらに防御を障壁に任せ回避行動を省いたことで距離がみるみる縮まっていく。

 一息に五十メートルを走破し残りは三十メートル。



「《紫電一閃》、〈歩奥〉」



 そこへ更に《スキル》と〈術技〉を重ね加速……ではなく急停止、間を置かず後退。

 直後、慌てて振るわれた〈神淵級槌術:ビッグバン〉が鼻先を通過した。

 神の御業は音速の壁すら粉微塵にし、その破片が俺を襲う。圧縮された空気の塊と土石の弾丸は常人が受ければ原型も残らない。

 しかし俺の《防御力》には通じない。危険なのは〈術技〉本体である鎚の一振りだけ。焦らせ無駄打ちさせる作戦だったが上手く行った。



 そうして〈ビッグバン〉をやり過ごした俺はすぐさま駆け出す。〈神淵級術技〉の硬直をみすみす逃す手はない。

 だが《最終守護者》もただ突っ立っているだけではない。動けずとも〈魔術〉を使って抵抗してくる。

 かなりの《魔力》が消費され行く手を阻むように長大な闇の壁が出現する。かなり広範囲をカバーしており()けて通るならかなりの遠回りになるだろう。



「〈飛礫撃〉」



 だが高さはメルチーヨの城壁よりも低い。〈術技〉で跳び上がり《最終守護者》の姿を視界に捉える。



「〈大閃〉」



 咄嗟に作られた〈魔術〉の盾ごと〈剣術〉を食らわせる。戦槌を持つ右腕を切断し肋骨を半ばまで斬り裂いたが《魔核》まであと一歩届かない。鎧を着ていることもあってその守備力はこれまで出会った敵の中でも随一だ。

 俺が〈大閃〉の硬直に入ると同時、《最終守護者》の硬直が解ける。ヤツにとっては千載一遇の好機で、俺にとっては絶体絶命のピンチだ。

 無事な左腕の大剣で繰り出すは〈大閃〉。首を狙う斬撃を前にして硬直中の俺は指一本動かすことができない。



「《三面六臂》」



 動かせないのは《三面六臂》の腕も同じだ。〈術技〉も使えるこの腕は〈術技〉の反動も受けてしまう。だが生える場所を変えることは出来る。それまで両肩から二本ずつ生やしていたのを左肩の二本を消去し右肩が四本になるよう生やし直す。

 常人ならば腕を何本犠牲にしようと《超越級剣術》は止められない。だが俺には《神金拳》がある。三本までは断ち切られたが四本目で食い止めた。



「〈踏藍空〉」



 硬直が解けるや《最終守護者》へ向けて跳躍。迎撃に放たれた〈中級魔術〉を受け止めながら黒剣を両手に持ち直す。



「〈竜爪斬〉」



 黒を纏った一撃は狙い(たが)わず〈大閃〉で付けた鎧の傷を抉り、その奥にある《魔核》を破壊した。



 物言わぬ(むくろ)──元から何も喋らない骸骨だったが──となった《最終守護者》の前に着地する。死体と《装備品》が消えていき《ドロップアイテム》と《宝箱》が現れるがそれを無視して先に進む。

 《冥府の妙薬》も《地獄蝶の耳飾り》も使う予定はない。持っていても邪魔なだけだ。



 山の麓まで下りた俺は《核部屋》に向かった。

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