11.《大型迷宮》への挑戦
街の南東部に位置する広場、そこに《大型迷宮》の入口はあった。衛兵に冒険者証を見せ《中型迷宮》の倍近い大きさの扉をくぐる。
螺旋階段を上って第一階層の踊り場を通り過ぎ、そのまま上り続けて第五階層に到着した。
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個体名 ケイタ
称号 現人神Lv-- 迷宮攻略者Lv2
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称号
迷宮攻略者 ランク4:迷宮を踏破した者の称号。
Lv1 第二階層以下の階層石を無視して進める。
Lv2 第四階層以下の階層石を無視して進める。
取得条件:最終守護者を倒す。
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《迷宮攻略者》の《称号レベル》は《迷宮》を攻略する、つまり《最終守護者》を倒すことで上昇する。攻略したのが《小型》なら一つ、《中型》なら二つ、《大型》なら三つ《レベル》が上がる。同じ《迷宮》を複数回攻略してもカウントされない。
この《称号》があれば低階層をスルー出来るのでそこそこ便利だ。
なお《迷宮攻略者》は《取得条件》と《レベルアップ条件》が同じなため、最初に攻略したのが《中型》か《大型》だと取得時の《称号レベル》も二か三になる。普通、《称号》の《レベルアップ》条件のカウントは取得後からスタートになるのだが《迷宮攻略者》は仕様が特別なのである。
第五階層の扉の向こう側には四つの部屋が連なっている。そう、《守護者》階層だ。
この世界の《迷宮》には五階層ごと、すなわち環境の変わり目の階層に《区間守護者》が存在する。《最終階層》と同じ要領で戦って倒すことで先に進めるようになる。
最初の二部屋を通って《守護者部屋》に入る。眼前に広がるのは十メートル越えの巨木が鬱蒼と生い茂るジャングルだ。
「〈壊都薙ぎ〉」
黒剣の〈剣術〉を振るって邪魔な木々を伐り倒す。闇の衝撃波を伴った斬撃がジャングルを切り拓き、ついでに《守護者》達を襲った。
《守護者》である《ワーウルフロード》には木に登って躱されたが《スキル》で召喚されていた手下を倒すことができた。召喚された魔物は倒したところで《経験値》もYPも得られないが敵を減らせたのでよしとしよう。
〈壊都薙ぎ〉によってできた道を走って《ワーウルフロード》の元まで行き〈大閃〉を使って殺す。《守護者》とはいえ《レベル》は四十、遠距離攻撃の〈壊都薙ぎ〉ならともかく〈超越級剣術:大閃〉を前にしては些かの抵抗も出来はしない。
出入口にとんぼ返りして第六階層に向かう。
第六階層からの環境は真っ暗な洞窟だ。普通の階層だと天井が階層中を照らしているがこの環境ではそれが無い。光源を持ち込むか《暗視スキル》を使うかしなければ攻略は困難を極める。《全知全能》がある俺には関係のないことだが。
「《暗中飛躍》」
気配を消して複雑に入り組んだ洞窟を走る。道は幅も高さも三メートル程度で一人で走る分には窮屈しない。
一本道を駆け抜け曲がり角の陰に潜んでいた《アサシンゴーレム》を斬り捨て十字路を右折し前を歩いていた《ブラックナイトオートマトン》の群れを〈剣術〉で一掃し進んでいく。
しばらくしてY字の三叉路に差し掛かかり足を止める。三つの道が重なる地点に一抱えもある木箱が設置されていた。
《宝箱》。
シンプルな名称を持つそれはその名の通り何らかの宝物を内に隠している。フィールド中にランダムで生成される他、《守護者》を倒した後にも出現する。これまでにもいくつか見つけたが役に立たないアイテムだったため全て放置してきた。
中身の質は原則、その《階層》に出る魔物の《レベル帯》に比例する。《大型》の第六階層は《中型》の第十一階層相当の《レベル帯》であり前述の法則に則ると大した物は入っていないことになる、が何事にも例外はある。
道の真ん中に佇む《宝箱》の蓋を開く。中には黒紫色の光を宿す宝玉が鎮座していた。見つけたら即、冒険者ギルド経由で国に提出しなければならないその危険物を掴んで《魔力》を込める。瑕一つない艶やかな表面にみるみる罅が入っていき強い光を放って砕け散った。
宝玉が消え代わりに一体の黒い生物が現れた。二足歩行の黒山羊に翼を足したようなその生物は《悪魔》。洞窟の闇に溶け込む体色で、その体は地面から少し浮いている。
《悪魔》とは契約を交わした者に《憑依》して力を貸与する魔物だ。今しがた砕いた宝玉、《魔封玉》からのみ出現し自然界には存在しない。
《悪魔》と契約するメリットは二つ。《悪魔》と同じ《レベル》になることと《悪魔》の持つ《スキル》を使えるようになることだ。どちらの恩恵も《憑依》中限定だが、一般人が時間も手間もかけずに即戦力に変わるのだからその価値は他のアイテムとは比べ物にならない。
『汝、何を望む』
「〈勁通〉」
威力偏重の〈上級剣術〉で《悪魔》の丹田に埋まっている《魔核》を斬りつけた。《悪魔》にも《迷宮》の魔物と同じように《魔核》があり壊されると死亡する。召喚した《悪魔》は無事に俺の糧となった。
契約によるデメリットは四つ。《憑依》された時間が長くなると《悪魔》に身体を乗っ取られること。負の感情に引っ張られやすくなること。《憑依》されている間は《経験値》が全て《悪魔》に流れること。そして一度でも契約するとその後に取得する《経験値》は半分が《悪魔》のものになることだ。
前二つは無効化できるが後半の二つが邪魔なため契約は拒否した。それに大した《スキル》もなく《レベル》に至っては俺の方が高いのでほぼほぼメリットが無いのだ。
とはいえそれなりにYPは手に入った。ここで新しい《四字熟語スキル》を作っておこう。《中型迷宮》と闇組織狩りで結構ポイントがたまっているのだ。
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人間種―魔人 Lv51
オリジナルスキル 四字熟語スキル作成[全知全能(封印)、泰然自若、徒手空拳、一騎当千、英俊豪傑、暗中飛躍、電光石火、紫電一閃、不眠不休、疾風迅雷、即決即断]
所持YP 2858
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《疾風迅雷(300P)》ランク3:常に《攻撃力》と《敏捷性》を引き上げる。
《疾風迅雷》は《中型迷宮》攻略後に作った《スキル》だ。純粋な《パラメータ》強化は使いやすいのでありがたい。風や雷を操る能力になっても良かったのだが。
さて、今回作るのは次の二つだ。
《三面六臂(360P)》ランク3:《魔力》の腕を四本生やせる。顔の両脇からも景色が見られる。
《大力無双(1500P)》ランク5:常に《攻撃力》を増幅する。
三面六臂は六本の腕と三つの顔という意味だ。そこから転じて多方面で活躍する人の意味もある。どちらの意味でもそれなりに使えそうでポイントも手頃だったので作ってみた。慣れが必要だろうが腕が増えれば《体術》を活かせる場面も多くなる。
《大力無双》は攻略速度を上げるために作った。今はまだ問題ないが深い階層になると一撃で倒せないような硬い魔物も増えて来る。そういった敵への対策として最も手っ取り早いのは《攻撃力》の強化なのだ。
《スキル》が完成したので攻略を再開する。光のない洞窟を駆け何度か角を曲がった先に大きな空間が現れる。道の途中にぽっかりと空いた空洞、その中心で赤々と存在を主張する《階層石》に触れ《魔力》を流す。これでこの階層はクリアだ、次に進もう。




