ネアハーレイ・ジョーンズワース
それは、ざあざあと雨音の響く冷たい雨の日であった。
夏の盛りだというのに妙に肌寒く、息を吸い込む度に痛む胸を押さえて、ネアはもう誰もない家に帰ってきた。
ぽたぽたと、前髪から雨がしたたる。
雨の日に傘をささずに歩くような感傷的な振舞いとは無縁だと思ってきたが、どうやら、本当に絶望するとただ傘をさすだけの事すら難しくなるらしい。
指先に力が入らず、滑り落ちるように取り落とした傘を何とか閉じると、引き摺るようにして持って帰ってきた。
「……………ああ」
酷く重たく感じる扉を閉め、そこに寄りかかって息を吐こうとしたら、喘鳴のような声が漏れた。
体から落ちる雫が玄関の床石に跳ね落ち、けれどももう、お帰りと迎えてくれる声はない。
震える喉に嗚咽が絡みつくのに、どうしてだか泣けないまま、ただ息が苦しくなるばかり。
ゆっくりと呼吸を深めて体を折り曲げ、ずるずるとその場に蹲った。
(今日は、お誕生日のお祝いをする筈だった………)
ここは、生まれ育った屋敷ではなく、父が外交官として滞在している国で用意された屋敷であった。
だから、どうにかやり過ごせるかと思ったが、つい昨晩までは家族と共に暮らしていた屋敷の中には、既に沢山の思い出が残っていたらしい。
玄関の扉を背にして玄関ホールを見ただけで、胸が潰れそうになる。
花の形をした優美なシャンデリアは、母が一目で気に入ったものだった。
玄関の扉の上にある磨り硝子の飾り窓からは庭木の緑が見えていて、雨の日は綺麗な緑色に滲む。
母は、雨の日になると森の色の影ねと微笑んでその窓を見上げ、父は、晴れた日の木漏れ日がその窓から落ちるのが好きだった。
庭には大きな檸檬の木があって、屋敷沿いに並んで植えられているのはオリーブの木である。
窓から庭を見ると、そのオリーブの枝葉の柔らかな白緑の額縁の中に、一枚の絵のように花壇の花々の色が入るのがネアのお気に入りだった。
いつも穏やかで優しい母の声に、きらきらとこぼれる光の雫のようなピアノの音。
通いの使用人が使う磨き粉の香りに、玄関ホール横にある飾り窓を開けておくと、ひらひらと入り込んできてしまう庭の蝶。
立派なピアノはいつもぴかぴかに磨き上げられており、今はもう舞台に立つ事のなくなった母は、よくピアノを弾きながら歌ってくれた。
仕事から帰ってきた父は、そんな母を優しい瞳で見つめていて、こちらを振り返ってふっと微笑みを深めると、さぁ、家族でお茶をしようかと言ってくれるのだ。
“お帰り。今日は、みんなでどんな紅茶を飲もうか?”
玄関ホールに蹲っていると、今にもそんな父の声が聞こえてくるようで、それはあまりにも残酷だった。
扉を開けて家の中を探せば、どこかに母がいるような気がしてしまい、そんな思いに打ちのめされないように奥歯を噛み締め、蹲った頭を抱えて冷たい体を抱いている。
(大好きだったの………)
ネアは、父も母も、数年前に亡くなった弟も、家族のみんなが大好きだった。
ジョーンズワース家はどこにでもいるような普通に仲のいい家族で、ほんの数年前までは、家族四人で幸せに暮らしていたのに。
ああ、それなのになぜ、こんな事になったのか。
(………いやだ)
その言葉で受け取ってしまった現実を突き返せたなら、どんなにか良かっただろう。
けれども大好きな家族はどこにもいなくて、込み上げてくる悲鳴を震えながら抑え込んだ。
仲のいい家族だった。
休日には、家族で過ごすことが多かったし、父は、どんなに忙しい日にも、家族でお茶をする為だけに家に帰ってくるような人なのだ。
母とはよく一緒に料理や縫い物をしたし、父と二人で面白い本の話をしている内に夜更かししてしまうことも少なくはない。
天気のいい日には庭でピクニックをして、母が、得意のピアノで家族演奏会をしてくれることもある。
三人で栗拾いに行った日は、あまりにも成果が振るわず、美術館前の広場にあるリストランテで残念会をした。
そんなネアの生活を知った学友の中には、いささか幼い過ごしようであると苦笑する者もいたが、それがなんだというのだろう。
小さな弟が病気で命を落としてから家族で過ごす時間が増えたのは、共に過ごす時間がずっと続くものではないと、無惨な形で思い知らされたからであった。
そして、そんな日々の暮らしのどこかにはずっと、不可思議な災いの影があった。
両親が、夏至祭の夜には円環を踏まないようにと言うのも、見慣れない橋がある筈のない場所にかかっていたら、決して近付かないようにと何度も言うのにも、本当は何かの事情があったのかもしれない。
ひたひたと歩み寄る災いに取られていくように、一人、また一人と命を落としていく親族たちが残らずいなくなり、可愛い弟のユーリもいなくなった後に残された三人だった。
だから、しっかりと繋いだ手を離さないように共に過ごし、何とか悲しみを乗り越えてここまで来たのに。
(……………でも、もう……………いなくなった)
今日は母の誕生日で、ネアは、ひと月も前からあれこれと準備をしていたのだ。
こっそり屋敷の中に花を飾った花瓶を増やし、丁寧に贈り物を選んだのは、悲しみや苦しみの多かったジョーンズワース家にとって、誕生日はいつだって、とびきり賑やかに楽しむ大切なお祝いの日であったから。
父と一緒に、まだ不慣れな土地で美味しいケーキが買える店を探し出し、迷走したカード選びでは、結局、祖国の屋敷を任せている管理人にお馴染みの工房のカードを送って貰うことにした。
この日の為に幾つもの準備を重ね、楽しみに楽しみに待っていたのに。
“帰ってきたら、明日のお祝いの前に素敵な報告があるの。だから、楽しみにしていてね”
出かけていく前の母にそう言われ、何だろうとわくわくしながら過ごしていたのはほんの数時間前のこと。
今日のお祝いは、きっととびきり素敵なものになる筈だった。
それなのに、雨音の中で届いた訃報は、そんな喜びや期待に弾む心を、あまりにも呆気なく粉々にしてしまう。
両親の所在を辿って幾つかの関係する場所に連絡を入れ、祈るような思いで、折り返しの連絡を待っていた時にじりりと鳴った電話のベルは、どうしてあんなに恐ろしく思えたのだろう。
想像していた最悪の事態すらも簡単にひっくり返す程の悲しい報せは、なぜ、あんなにも呆気なくやって来てしまったのだろう。
そして、どうしてあの時、あんなに恐ろしい報せを齎す電話を取ってしまったのだろう。
生まれて初めて見知らぬ人から受け取る家族の訃報は、どこか事務的な労わりが添えられていた。
頭が真っ白になり、ひび割れてがさがさになった声で辛うじて返事をしながら、その時はまだ、現実感はなかったように思う。
血の気が引いて吐きそうになり、床に蹲りはしても、どれだけの事が起こったのかはまだ理解出来ずにいた。
多分これは悪い夢だなと考えながら途方に暮れたまま病院に向かい、事故で命を落とした両親の遺体の確認を済ませる頃に、やっと現実なのだと理解したように思う。
だが、その時にはもう、悲しみを悲しみとして吐き出すだけの力すら残っていなかった。
母のお腹には新しい家族がいて、あの最後の言葉は、きっとそれを伝えてくれようとしてのことだったのだろう。
それをお悔やみの言葉と共に聞かされた時、運命の冷淡さに吐き気がした。
どうしてだろう。
どうして、こんなに耐え難く悲しい事が起こるのだろう。
どうしたら、この悲しみを呑み込めて、どうしたら、この全てをなかった事に出来るのだろう。
大事に大事に育んだものや、わくわくしながら用意したものの全てが、今は足元に落ちて無残に粉々になっている。
ありったけの対価を考えて神様に時間を戻してくれと願ったが、どれだけ祈っても大事な家族は帰ってこない。
家族を返してくれるのなら、お伽噺の魔法のように対価を支払ってもいいのに、そんな取引きを持ちかけてくれる何かすら、この目の前に現れてはくれないのだ。
それは、ここにいる人間が、物語の登場人物にはなれないような、取るに足らない存在でしかないからだろうか。
「……………っ、」
嗚咽を呑み込み、誰かに助けを求めようとしたのに、誰の名前も思い浮かべられなかった。
それが怖くて堪らなくて、呑み込み損ねた慟哭がひび割れて吐き出された。
助けて欲しい人も、大切な人も、もう一人残らずいなくなった。
(それに、誰かでは嫌なんだ。………私の家族に帰って来て欲しい。………昨日までの私の日常を、私の家族を返して欲しい。他の誰だって、家族の代わりにはならないわ………)
目を開けていても、涙がこぼれ落ちていても、目をきつく閉じても、幸せだった頃の情景ばかりが浮かぶのだから、人間の心は不自由なものであるらしい。
苦しみのあまりに胸を押さえて呻いても、その胸が潰れそうになる喪失の痛みに息が止まりそうになっても、どこにも行けずにたった一人で取り残された事実は、頑なに変わってはくれないのだ。
怖かった。
怖くて怖くて堪らずに、変えられないものをどうにか引き剥がして捨ててしまいたいのに、どうしてもそれが出来ないことが、怖くて堪らなかった。
(私は、…………独りぼっちになった)
もう、どこにもネアの家族はいない。
こんなにも途方もなく恐ろしい現実を、どうやって呑み込めばいいのだろう。
これからこの先ずっと、誰もいない家に帰り、誰にもお帰りと言って貰えないまま夜を過ごし、自分だけで自分を生かしていかねばならない。
何かを見る度、何かを思い出す度に、そこに在った筈の幸せや安堵を思うのだろう。
それが奪われて目の前で粉々になった日を抱えたまま、歯を食いしばって生きていくのだろう。
小さな弟を亡くしたあの日だって、今もまだこんなにも鋭い棘のまま残っているのに、この仕打ちはあんまりではないか。
(……………ずるい)
その、あまりにも鋭い悲しみをどうにかやり過ごそうとしていてふと、ネアは、そんなことを思ってしまった。
他のみんなは沢山のものを持っているのに、なぜ運命は、他に何も持っていなかったこの手の中から、最後に残されたものまでも毟り取っていくのだろう。
もっと沢山のものを持っている他の誰かではなく、どうして、他には何も持たないネアハーレイでなければならなかったのか。
「っく……………」
そう思った途端に堪らなくなって、ぼたぼたと零れ落ちる涙ごと顔を覆って、蹲って泣いた。
悲しみや絶望だけでなく、羨望に胸が張り裂けそうになって初めて、声もなくぼろぼろと泣いた。
こんな不幸が訪れるのが自分ではなく他の誰かであれば良かっただなんて、あまりにも無責任な願いだろう。
だが、それがどれだけ残酷な願いであろうとも、叶うなら叶えて欲しかったのに。
この苦しみを少しでも和らげる為であればどんなことでもするのに、そんな選択肢すら、もうこの手の中にはないのだった。
家の中にはまだ、昨日の朝の紅茶の香りが僅かに残っていて、クローゼットの中には、隠しておいたプレゼントの箱がそのままになっている。
長椅子の上にかけられた優美な織り模様の母のストールに、インクの補充をしなければと、テーブルの上に置かれた父のペンもそのままだ。
ケーキを予約した店の連絡先は父が持っていたので、一体どうやって、受け取りに行けないと連絡をすればいいのか分からないし、大切に選んだケーキがお店の中で誰にも受け取って貰えないまま取り残されている様子を思ったら、息が止まりそうになった。
たった一日ではないか。
時間を取り戻すとしても、たった一日戻すだけでいいのに。
けれども、永劫に戻らないその一日が、全ての願いを道連れにして死んでゆく。
これから先に残された全ての時間をかけて、健やかなまま明るい場所を歩いて生きていく普通の人達の横で、叶わなかった願いの残骸を踏み締めて歩くしかないのだ。
これまでの毎日と、これからの毎日を共に過ごす筈だった家族が、どうしてだかもうどこにもいない。
そして、二度と帰ってくることはないのだと、これからどれだけ思い知らされてゆくのだろう。
ずっとずっと、どこまでも。
きっと、生きていく限りずっと続く、耐え難い悲しみを伴って。
ひとりぼっちで。
◆
「だから私は、あなたを殺す事にしました。私の家族が、あなたを脅かすつもりはなかったことを知ろうともせず、あなたが両親を無残に殺してしまったのだと知ったその日から、あなたを殺す事だけを考えて生き延びてきた………」
土地の有力者だと教えられたジーク・バレットは、遠くから見ていれば華やかな世界で活躍する名士の一人であったが、実際に対面すると、はっとする程に疲弊した美しい微笑みの持ち主であった。
そして、穏やかな微笑みと理知的な佇まいの優雅な仕草のその人に、彼を殺さなくてはならないネアハーレイは、愚かな悲しい恋をした。
それが恋だったのだと気付いたのは、彼を殺してしまった後のこと。
復讐の全てを終えて、胸の中に残っていた最後の火がふっと消えた時、それが、復讐だけのものではなかったのだと気付いたのだ。
「でも、それは相応のことだわ。…………あなたが、私のテーブルをひっくり返し、最後に残された大事なものの全てを粉々にしたように、私も、あなたのテーブルをひっくり返したというだけのことに過ぎない」
ぱちぱちと、薪の燃える音がする。
誰もいない屋敷の中でネアハーレイが話しかけるのは、テーブルの上に置かれた小さな白い箱だ。
ジーク・バレットを破滅させる為に自ら毒を飲んだネアハーレイに届けられた、送り主のない見舞いの花が入っていた白い箱である。
とは言え、箱の中にあったふっくらとした瑞々しい白薔薇はとうに枯れてしまったし、病院で目を覚まして白い箱に気付いた時には残っていた、ジークの使っていたものと同じコロンの香りも消えて久しい。
それでもなぜか捨てられずにいたこの箱と向き合い、あの日からこんなにも時間が経ってから、彼に恋をしていたことに気付いたのだ。
きっかけは、父の万年筆であった。
あの日にテーブルの上に残されていた万年筆を数年ぶりに取り出して眺めていたら、あの日のような苦しみを伴わない事に気付いたのだ。
おやっと思って母のピアノに触れてみたり、今も残る弟の部屋の扉を開けてみたりしてから、もう、自分の心の中には、かつてのような健やかさが残っていないことに気付いた。
赤々と燃えていた火が消えたように、静かな夜が広がるばかり。
「あなたはどうして、………自分を破滅させたのが私だと気付いておきながら、私を殺さなかったのかしら」
両親が死んだ事故が仕組まれたものだと知ったネアハーレイは、それを命じたジーク・バレットへの復讐として、彼が任された大きな式典で、彼を陥れた。
ジークが丁重にもてなさねばならない招待客の誰かを狙ったものであったかのように見せかけ、彼等のテーブルから無作法に取り上げたグラスを使い、自ら毒を飲んだのだ。
それが罠だと気付いたとしても、たった一つの不手際があった段階でもう、彼の処遇は決まっていたに違いない。
そうなると知った上で、ネアは彼を陥れたのだ。
だとすれば、ネアを殺したところで破滅を逃れる手立てはなかったが、それでも、報復は出来た筈なのに。
それなのになぜ、真夜中の病院を訪れて病室に見舞いの花を残し、その夜になぜか病院に高額の寄付金を預け、この患者の全ての治療費はそこから差し引くようにと言伝てたのだろう。
勿論、そんな施しは受けなかったが、彼がそう言い残した事に変わりはない。
(私は、あなたが私の両親を殺したのは、自分や自分の家族を守る為である事も知っていた)
愛する人達を取り戻す為なら何でもすると思ったネアと同じように、彼もまた、愛する者達を守る為にどんなことでもしたのかもしれない。
だからといって彼を許せる訳ではないのだが、復讐の手立てを探して近付き、一度だけ言葉を交わした夜のことが、どうしてだか今でも忘れられずにいる。
あの夜にネアが見上げていたのは、鏡の中の自分そっくりな、どこかに行きたいのにもうどこにも行けない人の眼差しだった。
とても孤独で、疲れ果てていて、けれども生きるしかない人の微笑みに、思わず目を奪われたのだ。
「でも、……………あなたも、もういないのだわ」
そう呟き小さく微笑むと、ほんの少しだけ零れた涙を指先で拭う。
恋した人を殺してもなお生き延びたネアには、この先も緩慢に続く未来がある。
復讐を終えてから祖国にある生家に戻ってきた後も、ネアは独りぼっちのまま生きていた。
毒を飲んで痛めた心臓のせいで思うように働けず、困窮してゆくままに荒れ果てた屋敷に一人で暮らす様子は、まるで怪物のよう。
であればここは、おとぎ話のようなハッピーエンドを齎す魔法のない、怪物だけが生き残ってしまった物語の底なのかもしれない。
復讐を終え家に帰った日、ネアは、初めて子供の様に声を上げてわんわんと泣いた。
泣き疲れて休んでもまた泣き、吐いては泣き、咽び泣いて日々を明かした。
泣く事で悲しみや喪失感を吐き出したかったが、それが叶うことは終ぞなかった。
(そしてもう、……………私は、あの頃のように泣く事もないのだろう)
大切なものが一つもなくなった古びた屋敷の中は、まるで静かな繭の中のよう。
そこで暮らす独りぼっちの怪物には、そんな風に心を揺らすものなどもう何も残っていないのだ。
愛する人がいない代わりに、失って泣くようなものなども残っていない。
今でも一人で生きていく事は怖くて仕方ないけれど、きっと、その恐ろしさと落胆が当たり前に寄り添うものになったのだろう。
それが、家族を喪い復讐を終えたネアハーレイという人間の顛末である。
「…………さてと」
ふうっと溜め息を吐くと、どうしてだか取っておいた白い箱を小さく折りたたみ、暖炉の中に投げ込んでしまった。
そろそろ薪が買えなくなるので、こちらの暖炉も使えなくなるだろう。
屋敷の中には古びた小さなストーブがあるが、これがいつまで使えるのかは運次第だ。
となると、ネアがこの冬を乗り切れるかどうかも、運次第という事になる。
家族が生きていた頃はどこかで恐れていた災いの気配は、もう、少しも感じ取れなくなった。
或いは、復讐という悍ましい選択を経て、ネア自身がそのようなものに成り果てたのかもしれない。
今だったら、見知らぬ橋を見付けたらいっそ渡ってしまうのにと思い、それも悪くないなとくすりと微笑んだ。
「どうせどこへも行けないだろうけれど、…………どこか遠くへ行けたらいいのに」
それは、救いようのない愚かな恋を知り、そしてそれを燃やしてしまった夜だった。
もし、どこかで見知らぬ橋を見かけたら、きっとネアはその橋を渡るのだろう。
届かないままになっているおとぎ話の魔法がそこにあるのなら、どこにも行けなかった怪物も幸せになることが出来るのだろうか。
「薬の魔物の解雇理由」が発売を記念して、本編には入れることの出来ない、橋を渡る前のネアハーレイのお話を書かせていただきました。