長年の夢
二十歳の頃に考えていたこと、それが実現知らないうちに実現されていたと気がつく。
先日、ネットで簡単な占いをして見たところ、その結果というものが、
”誰かの役に立っていると考える時に、しあわせを実感する”
・・・と言うものだった。
これは本当に当たっていて、びっくりした。
と言うのも、二十歳の時に、心の中で決意していたことがあったからだ。
”私は、Kさんをしあわせにするために生きよう”
と。
なぜそう思うに至ったのかは、今となってはわからない。
いろんなプロセスがあったと思うけど。
その年の彼のお誕生日の日に、自分の声のメッセージと、好きな曲をダビングしたカセットテープを贈った。
余談だけど、これって、確か『世界の中心で、愛を叫ぶ』の中で主人公の朔太郎もしてたと思った。
80年代、あの時代のトレンドだった。
それを”ウォークマン2”で聴くこと。
まあ、それはどうでもいいとして。
私は、いつの間にか、入社式の時に一目ぼれしたT君よりも、Kさんのほうに関心を持つようになっていた。
自分でも、よくわからないけど、多分、気がつかないうちに、じわじわと彼のことを好きになっていたんだろう。
カセットテープに、好きな曲を吹き込んだ。
サイモンとガーファンクルの『明日にかける橋』
ライオネル・リッチーとダイアナロスの『エンドレスラブ』
佐野元春の『サムディ』
どれも、私の気持ちを代弁するような曲だった。
”あなたをいつも支えているよ”
”私はあなたを永遠に愛するからね”
”いつかキット、想いが伝わりますように”
こんなキモチになるのは、生まれて初めてのことだった。
どちらかと言えば自己中心的な人間で、人のことなんてあまり考えたこともなかった。
それが、Kさんのことになると、本当に真剣になってしまうのだ。
でも、”愛してる”なんて言えない。
なぜなら、彼と私は、男女間を越えた友情で結ばれていると信じていたから。
そういうのって、ありだと真剣に思っていた。
なので、彼にも、そういうことは一切言っていない。
付き合うなんて、もってのほかだった。
彼からの返事は、実に一年半後に、私が遠いところに転勤した後に、当時住んでいたアパートに届いた。
私は、本当に胸が躍った。高鳴った。
今でもその手紙は、後生大事に持っている。
私の宝物だ。
実現していると、確信した。