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ヴァチカニアの神殿騎士と森の妖精の物語  作者: 藻屑のもずく
人外の地(オークとの戦い)
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オークとの戦い07(断崖上)

 


 深遠たる深い色をたたえる夜の空

 藍色の空に微かに瞬く星の宝石

 宝石は徐々に徐々に姿を隠し始める



 ■システィーナの視点



 ああ、何て深い藍色の夜空だろう。

 吸い込まれて、空の彼方に放たれてしまうような気がする。

 深い海の底のような空には、浮き島に似た雲が流れる。深い山や谷を持つ、起伏に富んだ浮き島が。

 流れゆく雲を眺めていれば、雲の行き着く先はオレンジ色に輝いている。

 何て美しい色かしら……

 ああ、起伏に富んだ雲の島の底は朱い光を帯びて、その上部は黒い影を纏っている。色鮮やかな雲。うふふ、雲は白いから何の色にも染められるのね。

 ああ、夜明けだ。

 夜明け前の静けさに包まれた世界。私の眼下には遙か彼方まで広がる壮大な世界が夜明けを待っている。この暗く沈む大地の至るところに、多くの生き物が眠り、あるいは起きているのね。

 はあ、夜明け……何だか涙が出てくる。


「シス? どうしたの?」

 断崖の端から世界を眺めていた私に、親友のアルが心配そうな声をかけてくる。


「ううん、何でもないの。ちょっとボーッとしちゃっただけで」

「ああ! また血を使いすぎたんじゃない?」

「い、いや、そんなには~~」

 うん、そんなには使ってないはずだけれども……

 昨晩はコックリの「埋め戻し」の策でオークとオーガーの軍団を一網打尽にしたわけだけれど、埋め戻して平らになった所から一部のオーク部隊が突破してきて……さらに間の悪いことに、戦闘音を聞きつけてやってきた魔獣が現れて。

 こちらの混成部隊は複数の持ち場に分かれて作戦実行中だったから、多勢に無勢でダメージを受けた獣人がいたの。

 コックリやハルさん、弟や嫌味男の別動隊が駆けつけて何とかなったんだけれど、酷いケガの獣人には血を使って……私は話題を変えようとした。


「ボーッとしてたのは、あの戦いが嘘みたいに綺麗な夜明けだったから」

「うん、そうね」

「皆、頑張ったよね」

「本当ね」

 二人で断崖上の大地を見渡せば、幾つもの焚き火の灯りが揺らめいていて、疲れはてた戦士たちが横になって盛大なイビキが聞こえてくる。ああ地表スレスレを流れる層雲が焚き火や戦士たちを包んでは抜けていく。勝者を優しく包むように。

 そう、私たちは勝ったの。八百近いオークとオーガーの軍団に。


「でもコックリさん、凄い作戦を考えたものよね」

 アルがボコボコになった大地を眺めながら呟く。

 あの起伏のある大地の下に、数百ものオークやオーガーが埋まっているからか、その声音にはわずかな恐怖が感じられた。ああ、アルまで彼を変な風に思わないでね。


「う、うん。でも皆がコックリを誤解しないか心配で……」

「誤解?」

「うん。彼の作戦が普通の人では思いもつかないものだからって、彼のことを酷い言い方で揶揄しないかって」

 私は獣人や、洞窟内で倒したボスオークの言葉を思い出した。

 死神だなんて言っていた。

 一度に何十もの命を奪う作戦だから? 私はさらに続ける。


「特に嫌なのが、コックリは自分に対するネガティブな言葉を『その通りだ』って受け入れてしまうことなの」

「……なるほど」

 そう、彼は自分へのネガティブな言葉、的を射ていない侮辱を受け入れる。

 肯定するの。

 でも、考えた作戦がそうだからと行って彼本人がそうだとは言えないと思うの。なのにネガティブな言葉を受け入れ、侮辱を受け入れたら、本当にそうなってしまうような気がするの。


「敵から侮辱されて、味方から侮辱されて、本人も自分を侮辱するなんて……悲しい。悲しいよ」

「うん。そうね」

「そりゃあね、ちょっとくらい欠点はあるよ。綺麗な女性に見惚れたりさ。目を奪われたりさ。鼻の下伸ばしたりさ。でもあんな素晴らしい人、他にいない。凄く尊敬できる人なのに。だから周りの人たちには彼を悪く思って欲しくないし、彼自身も自分を悪く思って欲しくないの」

「うん、そうだよね」

 アルは私の方を向くと、朝日がちょうど彼女を照らす。

 ああ、朝日を浴びたアルは美しいなあ。羨ましい。私もこんなに美しかったら、自信をもってコックリに想いを告げられるのに……


「シスはさ。何で種族の違う人間の男性にそこまで一生懸命になるか、考えたことある?」

「うん、あるよ」

 私は胸の中心に手を当てる。

 彼を想うと、胸の奥底から暖かい想いが込み上げて来る。それは今昇りつつある太陽のように暖かくて、大きい。はあ、いつの間にこんなに大きくなっていたの?

 もうダメ。

 ズルいよ、あんなに強くて逞しいのに弱くて脆かったり、立派なのにダメなところもあったりで。もうズルい、ズルすぎる。


「彼が好き。いつの間にか彼に心を奪われてしまったの……」

「ええっ!?」

 アルが大きな目をさらに大きくして驚いたので、「ああ」と思った。私は頬が熱くなる。


「えへへ。私、彼が好きなんだぁ、驚いた? えへへ」

「いや、それは知ってた」

「え? 知ってた?」

 いつから!? じゃあ何で驚いたの?


「いやあ、シスは自分の気持ちに気づいてないと思ってたから、驚いちゃって」

 なんだそりゃ!? というか、私もアグに言われて気づいたから否定はできないけれども。

 私は自分の心の奥底から沸き上がる想いを伝える。


「私……どうしても、どうしても、彼の役に立ちたい。彼の支えになりたいの」

 そう、彼の役に立ちたい。

 彼が喜んでいる姿をみたい。

 彼が癒されたり、安らぎを感じてくれたりすると、もう嬉しくて嬉しくて、ただただ嬉しくて、胸の奥が熱くなって仕方ないの。


「彼はずっと孤独で淋しい想いをしてきたみたいだから、仲間ができて、認められて、幸せを感じて欲しい」

「うんうん」

「こ、恋人とかもできたら、なお満たされるんだろうけど……」

「ふふふ、そうね」

「ほ、本当は。わ、私がって思うけれど……」

 突如、私の脳裏にレリー、アグの美しさが写し出された。

 コックリとレリーは似合っていたし、アグに至っては、コックリは美しい肢体に見惚れていた。


「む、無理そう……私なんかじゃ……私なんかじゃ役不足だから」

「ええっ!?」

 えっ? アルが目を点にしたから、私もつられて二人してお見合いする。

 え? 何? 彼女は私をまじまじと見る。


「ど、どうしたのアル? 私、変なこと言った?」

「うん、凄く変なこと言った。いつもだったら無謀に突っ込んで行くのに」

 無謀にって、なんだそりゃ!?


「ほらヴァルパンサードの時も、魔獣を恐れもせず突っ込んで行ったじゃない? だからてっきり『 彼は私が幸せにする! してみせる! 』って押し掛けて行くと思ってね」

 ま、まあそりゃあそうだけども!

 私一人の問題で済むならそうするけれど、コックリが望む女性と私は違うような気がするし! 凄い素敵な女性が理想だと思うし! と言ったらアルがヤレヤレといった感じで苦笑いする。


「シスは、自分の気持ちを自覚したら、怖くなっちゃったのね。どうしようもなく好きでたまらない相手に拒絶されたら立ち直れないって……」

「う……」

 そ、そう、かも。

 いや、そうだよ。その通りだよ。アグも似たようなこと言ってたよ。


「はあ~~、魔獣に突っ込んで行ったり、『 彼が好き 』って他人に言ったりできるのに、何でそんなに臆病なのよ」

「~~~~~~~っっ!!」

 だ、だって彼に「好きじゃない」とか「必要ない」とか言われたら……

 もう一生、立ち直れないよ。


「シスはこれからどうするの? これからどうしたい?」

「これから? 奥地への旅?」

「ううん、この怪異が解決した後よ。コックリさんは人間世界に戻るでしょう?」

「う、うん……一緒に付いていきたい」

「うんうん、だよね。それで何をしたい?」

「彼は他人に頼るのが下手だから、困っていたら私の方から助けて行きたいんだ。それなら彼の役に立てるし。そうすれば……嫌がられず、ずっとずっとそばにいられるんじゃないかなって」

「うんうん」

「アルは反対する? 無謀だと思う?」

「ふふ、無謀はシスの専売特許だから、シスらしいなって思う」 アルは笑った後、真顔になった。「もう考えてあると思うけれど、コックリさんに付いていくってことは、死の危険が貴女にも降りかかる可能性があるってことよね?」

「うん……そうだと思う」

 そう、彼は怪異解決のためなら危険な場所に飛び込んでいく、死と隣り合わせの任務を帯びている。一緒にいれば、私も危険な目に会うだろう。

 でも、危険だからって……諦められる?

 ううん。ダメ。諦められない。

 彼のそばにいたい。


「大切な親友を、スランの姉を危険な場所に旅立たせるのは本当は嫌だけれど」 アルは目を閉じて何かを想像しているみたい。「うん。シスがコックリさんに付いていかない未来を想像したら、貴女はエルフの里でずっと後悔に苛まれて、死ぬまで暗い人生を過ごしそう」

「うふふ……うん」

 ああ、さすがアルだ。

 私のことを誰よりも分かってる。


「シスなら支えられるよ」

「うん!」

 私は戦闘はからっきしだけれども、それ以外で支えるんだ!

 美味しくて栄養があるものを沢山食べさせて幸福感を与えて、衣服や体の汚れとか臭いとか気持ち悪くならないよう衛生状態を良くして、魔法で治らないケガをしたら全部の血を使ってでも治して、霊力が枯渇したら彼にくっついてでも癒して回復させるの!


「そうね。それ以外にもあるわよ。シスは黙っていれば可愛い上に、場を明るくできる不思議な力を持ってるんだもの。あの真面目な騎士様でさえ、きっと楽しいって思うわよ」

 ちょっ! 黙っていれば、とはなんだコラ!


「まあまあ。一つ確かなのは、シスがコックリさんのそばにいたら、周囲の人たちはコックリさんを怖がらないなってことね」

「そ、そう!?」

 どうして!?


「うん。パッと見だけなら、シスは華奢で可愛いから『 こんな可憐で可愛いお嬢さんを連れてるなら、怖い人じゃないかも 』ってなると思うの」

 ちょ、パッと見だけならってどういうことだコラ!

 さっきから落としてばっかり! でも実は彼女なりに私を笑わせて、気負わないようにしているのが分かるの。もう二百年の付き合いだし。

 アルの言うとおり、そばに女性がいたら「怖い男性じゃないかも」ってなるかも。それだけでも、コックリは変な先入観を持たれずに、辛い思いをしなくてすむかも?


「ふふ。でもあのシスがこんな風になるほど、異性を好きになるとは」

「もう、なるよ~~、尊敬できる人なんだもん~~」

「コックリさんはシスとは真逆のタイプよねえ。凛々しくて端整な顔立ちで、体は大きくて、ガッチリして重そうで、物静かで感情表現がない感じだなんて」

「自分でも驚いてるよ」

 確かに真逆だ。

 私は小さくて、華奢で軽そうで、喜怒哀楽がハッキリしている方だから。


「真逆だからかしらねえ? 自分にないものを……みたいな?」

 どうだろう?

 自分より大きくて重そうなライオロスとかケンタウロスにマーケットで会って、話したり一緒に踊ったりしたけれど、好きになるようなことはなかったよ。

 何だか分からないけれども、彼が好きだ。

 尊敬できるし、幸せにしてあげたい。


「ふふ、まあそんなものよね。シスの気持ちや考えが分かったし、さあ皆が起きて来る前に、食事の準備をしましょうか!」

「うん!」

 私たちは、暖かな朝日を浴びながら、釜戸造りから始めた。



 ◇◇◇◇◇



「「美味い!!」」

「「お代わり!!」」

「「こっちも!!」」

 暖かな朝の陽光が満ちる青空食堂に、元気な声が響く。

 獣人戦士の皆さんが凄い勢いで朝食を平らげていくものだから作り手の女性たちは泡を食う。


「「あわわわわ!!」」

 待って、待って~~!!

 もっと味わって~~!!

 ほとんど噛まずに丸飲みとか止めて~~!!

 一時間はかけた料理が秒で食べ終わるとか止めて~~!!

 私たちが慌ただしく作っていると……


「"シス、アル。こちらに給仕してくれ"」

 ひやあ、ビックリした!

 突然耳元で父さんの声がしたもんだから。アルと二人でそちらをを見ると、離れた円卓で各種族の主だった面々が席に着いていて待っている。

 作り手の女性たちに謝りながらまだ残っている食事や飲み物をアルとノームたちで運ぶ。


「「お待たせしました」」

「すまないな、シス、アル」

 戦闘明けの早朝でも素敵な父さん。シュッとしてる。

 土で作った円卓には、ライオロス、ケンタウロス、リーフロス、サテュロス、ドワーフ、ニンフ、コロボクルの長たちが一堂に会し、少し疲れたような、でも圧勝の喜びで緩んだ表情を見せている。

 私とアルは一人一人に勝利を祝う食事と飲み物を配膳して行く。

 ああ、次はコックリの番だ~~


「はいコックリ。お疲れ様でした。凄かったね!」

「うん、ありがとう」

 私から食事と飲み物を受けとると、わずかに目を細め頬を緩めるコックリ。

 ああ、表情が出てきた。穏やかな笑みが可愛くて私は胸がドキッとしてしまう。

 ああもう、頬が熱くなってきたよ。もう、そんな可愛い笑顔を見せないで~~


「どうしたの?」

「な、何でもっっ、ないっっ」

 恥ずかしい~~、頬が熱いから~~

 はわあぁ~~、もう見ないで~~

 はわあ~~


「さあ、飲み物が行き渡りましたな。断崖上なので酒ではありませんがね」 と父さんが笑いながら言う。

「ガハハッ、構わん構わん!」 ライオンが吠えるようにガノンレオルが豪快に笑う。

「そうばい! 勝利の美酒ば下で飲まんね!」 ギムドワッハも愉快そうに笑う。

「「かんぱ~~い!!」」

 滋養強壮のお茶を酒変わりに乾杯する皆さん。

 ああ、今はもう皆さん疲れが飛んで行ったようで安堵の表情で、ワイワイガヤガヤと楽しそう。お酒だったらもっと凄かったんだろうなあ、特にガノンとギムが。

 父さんのそばで給仕係として控えていると、凄い入れ墨だらけのケンタウロスの戦士長ホルベルクがコックリに話しかける。


「神殿騎士殿、これからどうするんです? もちろん奥地へと向かうんですよね」

 ついに奥地へ!

 そうよね、オークとオーガー軍団の大多数をここで倒したのだし、奥地にあるというオークの巣窟へと向かうのかしら。そして巣窟を掃討し、その奥の青砂の捜査に入ると……!


「ええ、もちろんです。しかし少々気がかりなことがあります」

「「気がかり?」」

 皆二人の話を聞いていたのか、聞き返す。

 やはり酒が入っていないので、皆さん一気に現実に戻れるみたい。


「はい。実は戦闘中、負傷したオークやオーガー、さらにボスオークが退却していたんです。およそ百体ほどの魔人たちが奥地へと引き返していました」

「「何と!」」

「「全部倒したと思ったら!」」

「「雲で見えなかった!」」

 そんなに逃げてたの!?


「さすがに追撃する余裕はなかったので流しました。これでこちらの情報は敵側に伝わるでしょう」

 こちらの情報が……

 戦力だったり、戦法だったり、今までは敵側がこちらのことを何一つ把握していないことが大きなアドバンテージだったけれど、これで完全にバレてしまうのね。


「オークたちの出方はどうかしら?」 ああ色気が凄いニンフのセリーヴィアが悩まし気に言う。「またこちらにやってくるかしら?」

「奥地の巣窟にいるオーク数としては、今回襲撃してきたオークの半分以下でしょうから、こちらに攻めてくる可能性は低いように思います」

 なるほど、そうよね。

 倍の軍団で襲い掛かってきて逆に完膚なきまでに倒されたんだもの。と厳つい顔のガノンがギラギラした怖い笑みを見せる。


「オウオウ、まあオークたちはあと三~四百ってところなんだよな! ならば今からでも奥地へ行って、真向からぶつかれば大丈夫だ! 今度こそ俺たちライオロスが突撃させてもらうぜえ!」

「ならば我々ケンタウロスも戦い足りない。機動力を生かして戦わせてもらいたいですな!」 やる気満々、入れ墨の入った体をパンプアップさせるホル。

「また投げ槍を作って持って行こう!」

「馬やエルクを断崖上に連れて来ないと」

「兵站もさらに必要ですね」

 皆が思い思いに話をする。

 と父さんが物静かにコックリに話しかける。


「断崖下の防備と断崖上の防備にも人員が必要ですね。とすると奥地へ向かう人員はやはり多くはないと」

「そうなるかと思います」

 そうか、断崖下にはまだオークやオーガーの集団が獣人狩りをしているようだし、この断崖上も魔獣が徘徊しているから洞窟を使って下へ降りてこないように防備を固めないとだよね。言っている傍から地を這う昆虫獣類がオーガーの死骸に群がっているし。

 少ない戦士がさらに少なくなる?


「断崖下でケガを治している獣人たちは日に日に復活していく。もう何人かの獣人は復活しているだろうから、順次防衛にあたってもらおう」

「そうしましょう」

「オウオウ、じゃあ出発はどうする? 何人で、いつだ?」

「敵の出方を把握したいので、今からでも斥候部隊を派遣し、状況に応じて対処しながら後続の本隊の合流を待とうかと」

「「なるほど」」

 コックリは続ける。

 オークたちが根城で迎撃態勢を整えていたら、その根城の穴、弱点を見つけておきたいって。

 もし仮に敵が出撃準備をしていたら、その時の流れで対応を決めるみたい。つまりオークたちを出撃させてから斥候部隊が背後から攻め、本隊で挟み撃ちにしたり、あるいは有利な場所に誘導してまた罠にはめ込むんでみたりと。

 数日間、巣窟の近くで潜伏する可能性もある。

 ということは、斥候部隊には……


「斥候部隊はもちろん私が行きます。敵の根城の状況把握は千里眼や索霊域が有効ですので」

「ではエルフからは私が斥候部隊に入ろう」 父さんが手を挙げる 「もう何人か連れて行くつも──」

「はい! ならば私もサポート要員として行きます!」

 私は父さんの後ろですかさず手を挙げたので、皆が驚いた。ご、ごめんなさい!

 でも食事や寝所、公衆衛生とか重要だし! コックリを見るとわずかに苦笑して……もう! こんな時に表情が出なくてもいいのに!


「ドワーフば足が遅いばってん、馬を借りたかね~~」

「そういえばケガをして動けないアンデルサルクスがいましたが、それを治せば結構な人数が乗れるかしら?」 セリーが顎に人差し指を当てて思案する。

 何て色っぽい仕草なの? 後で私も練習しよう。


「ならば我々ケンタウロスの背に──」

「大山羊に荷物を──」

「防寒着が少ない──」

 協議を重ねた結果、食料や防寒着などを用意できる分、つまりは当初から青砂を追っていた私やハルさん、アグたちを基準に、ライオロスやドワーフ、ニンフたち数名を加えた三十名ほどのメンバーで行くことになった。


「では一時間後、出発しましょう!」

「「おう!!」」

 ついに断崖奥地にあるオークの巣窟への進攻だ!



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