リートの大断崖10
綿雲が流れる美しい野原
野原に不釣り合いな巨獣と巨人
アンデルサルクスと騎乗するボスオーク
■システィーナの視点
隻眼のボスオークと顔に深い傷痕を持つボスオークが矛を構える。
あわわ、殺意が矛の先からほとばしるようで!
こ、怖い!
「「押シ通ル」」
抑揚のない声で、二匹のボスオークたちはアンデルサルクスを進める!
ドゴゴッ! ドゴゴッ!
はわわ、何て重量感! 何て重圧感!
アンデルサルクスとボスオーク合わせて五~六百キロはありそうだから! 歩む度にズシンッ、ズシンッと震動が! 大地を通して私の足から胃にかけて重く残るように響く!
「「マズイぞッ!」」
皆が同時に気づいた!
そう、この巨体と重量の塊が完全にスピードに乗ったら!
間違いなく私たちは押し留めるなんてできない! 私たちの存在など、綿雲のごとく消し飛ばされるだけ!
「完全にスピードに乗る前に! 騎馬の足を!」
「「分かった!」」
ディアオロスと私と地精霊二体(頭に火精霊)を含めた九名の戦士たちはボスオークに向かい走り出す!
明確な目標は迷いを消し払う!
皆の最重要目標は騎馬の足!
ボスオークの退却を封じる作戦で決まった!
ドゴゴッ! ドゴゴッ!
美しい大地に不釣り合いな巨獣二頭!
綿雲を吹き飛ばし、重戦車のような二騎がこちらに向かう中! 最後の一体、骸骨の首飾りをしたボスオークは動かない! 何!? どうするつもり!?
とその時、二騎のボスオークたちに動きが!
「フンハッ」
「「あっ!」」
顔傷のボスオークが! 急に進路を!
こっちに向かって来ていたのに!
急に右方向!
完全に体の側面が見えるくらいに進路を変える!
それだけじゃない!
「フブッ」
「「ああっ!」」
さらに隻眼のボスオークは左、渓谷の断崖方向に!
陽動!?
その動きに先頭を走る四人の女戦士、ヴァレーリヤ、ヴァルヴァラ、カピトリナ、クリスチーナに最年長のアンジェリーカが指示する!
「ヴァレー! ヴァル! 右のボスオークを!」
「「承知!」」
「カピー! クリス! 左のボスオークを!」
「「承知!」」
「アグは私と正面のボスオークを警戒! シスさんは精霊たちを左右に展開して彼女たちの援護を!」
「承知!」
「はい! 『 ノーム、戦士たちの後について行って! サラマンダーは攻撃を! 』」
最前列の女戦士たちはバッと二手に分かれる! その後ろをノームがサラマンダーを頭に乗せたまま続く!
戦力的には充分なハズ! その時!
「速い! あのアンデルサルクス!」 アンジェが叫ぶ!
右に向かうスカーフェイスのアンデルサルクスはドゴゴッ、ドゴゴッとかなり速い! 個体にもそれぞれ特性がある!? 綿雲を爆発霧散させながら疾走する!
それでもディアオロスの足には及ばないから、ヴァレーとヴァルは徐々に追い付いて差を詰めていく! 逆にノームが置き去りだ!
「「逃がすかあああっ!!」」
逆方向から気合いの声!
カピーとクリスは既に隻眼のボスオークに到達! 早い! こっちのアンデルサルクスは遅いのかも!
と、隻眼オークが手綱を片手に、もう片方の手で矛を大きく振り上げる! な、何て腕力!? 私の体重くらいありそうな矛なのに!
「ブオオオオオオッ!!」
咆哮一閃!
矛を薙ぎ払う!
太刀筋上に二人!
避けられない!
「イヤアアアアッ!」
ドゴンッ!!
カピーが斧槍を大地に振り下ろし!
斧が大地に突き刺さり!
槍の柄でガード体勢!
「ハアアアアアッ!!」
クリスが真横から薙ぎ払うように騎馬の足を狙う!
一方がフル防御! 一方がフル攻撃!
凄い! 瞬時の判断なのに、連携が取れて!
行ける!
ギャリイイインッ!!
カピーの斧槍が止めっ!!
クリスの斧槍が──!!
「はあっ!?」 アグの叫び!
「ええっ!?」 私は目を疑った!
「ブオオオオオオッ!!」 隻眼オークの咆哮!
ボスオークが片手で!
矛を振り抜いた!
ドゴオオオッ!!
「「ぐわあああっ!」」
隻眼オークの矛は! カピーの斧槍を押し! 大地に突き刺した斧を掘り出し! 二人ごと弾き飛ばした!
ゴッパアアアッ!!
「バッ」 馬鹿な! とアグ!
「ひゃあああっ!」 私は肝が冷える!
吹き飛ぶカピーとクリス! 崖! 落ちっ──!
ズザザザザッ!!
「止まれええ!」 アグの叫び!
「お願い~~っ!!」
私たちの祈りが通じた!? 二人は崖から落ちる一歩手前、ギリギリで止まる! よ、良かったああ~~!
「ブハッハッ!」
嘲笑う隻眼オークは、そのまま大地の奥へと向かう! このまま走り抜けるつもりだ!
そうはさせない!
カピーたちを追っていたノームは離れていたから無傷!
「『 サラマンダー! 火だるまにして! 』」
ノームの頭に乗っていたサラマンダーはすぐに反応する!
ボボボオオオオオッ!!
「ブオッ!?」 瞠目する隻眼オーク!
「グモオオオオオッ!?」 驚愕のアンデルサルクス!
鼻先を掠める炎にアンデルサルクスは後足で立ち上がり、制止っ! よし! 一旦足留め!
いや、もっとよ!
「『 サラマンダー! 周囲を燃やして! 』」
ボボボオオオオオッ!!
サラマンダーは周囲の野を焼き初め、これ以上進めないようにする!
もっと激しくしたい!
そうだわ!
「『 風精霊! 炎と煙を隻眼オークに! 』」
私の命令に、シルフがその通り応える! 風が逆巻くと、炎と煙が隻眼オークに向かって渦を巻く!
「ヌウウウーーッ!!」
「グモモオオオオッ!!」
隻眼オークは顔を押さえ、騎馬は後退りして苦しむ! 炎のつむじ風はオークたちの肌を焼き始める!
奴らは炎の少ない後ろ側に下がった!
よし! これは使える! その調子で攻撃よ!
「ぶおおおおっ!! 嬢ちゃんたちーー!!」
「「ハルさん!!」」
筋骨隆々なハルさんが! 砦からこっちに向かってくる!
これは百人力!
「フン」 ドゴラ!
静観していた骸骨首飾りのオークがハルさんへと向かう! そうか、砦からの敵を警戒していたのね!
「くっ、大丈夫かクリス」
「何とか」
カピーとクリスが立ち上がる!
よし、ダメージは少なそう! それを見たアンジェが素早く指揮する!
「よし! アグはシスを背負ってヴァレー、ヴァルの援護を! 私はカピーとクリスを援護する!」
「「はい!」」
私はアグの背に飛び乗ると、次の瞬間ガツンと衝撃が!
攻撃を受けたんじゃなく、アグの動きで!
一歩目でトップスピードだから!
「はわわっガチッ! ぶっ!」 舌噛んだ~~!
「しゃべらない方が、いいですよ!」
もう~~遅いよ!
アグはヴァレーとヴァルの元に疾走する!
アグの相変わらずの脚力!
彼女は跳ねるように走る!
そう、さっき断崖絶壁にある僅かな足がかりを通ってオークたちの裏に回る際も、アグがおぶってくれた!
「どこだっ!?」
ヴァレーとヴァルが追ったスカーフェイスが!
いない!?
見えない!
綿雲が邪魔で!
かなり走った!?
でも音がする!
ギャリリリインッ!! ギャリリリイインッ!!
「いた!」 アグが走りながら!「防戦一方だ!」
「ええっ!?」
アグの角の隙間から先を覗く!
とヴァレーたち二人は走りながら!
スカーフェイスの矛の前に防戦一方だ!
まるで攻撃できない!
「走る相手を、走りながらでは! バランスの悪い斧槍だと振れないんだ!」
うん! きっといつも通り振ったら転倒する!
彼女たちは逆に、取り回しやすいボスオークの矛にやられたのか、色んなところをケガしてる!
と足の遅いノームは全くついていけず、数百メートル離されて!
アグは瞬く間にノームに追い付く!
「『 ノーム! サラマンダー! 骸骨の首飾りオークと戦って! 』」
追い抜き様、指示する!
私たちはそのまま走り、ついにヴァレーとヴァルにたどり着く!
「フンハッ」
うわああ、スカーフェイスは手綱を口に咥えながら両手で矛を突きまくる!
ビュボボボボッ!
「「うおおおおおっ!!」」
ヴァレーたちは近づけない!
何て矛捌きなの!?
不安定な騎馬に乗っていながら!
騎馬を止めたいのに近づけない!
「シス、できますか!? 何か魔法で!」
「任せて! 『 シルフ! 風の刃で攻撃して! 』」
私の命令で、スカーフェイスたちの前方に風が巻き起こる!
綿雲が巻き込まれて竜巻の形がハッキリと!
それはまるで、長い体を螺旋状にくねらせる竜!
「ブフッ!?」 スカーフェイスが気づいた!
でも遅い! 竜巻を避けきれず! 突入!
ブシュシュシュシュッ!!
「「うおおおお!」」 驚嘆するヴァレーたち!
「ブフォオッ!?」 驚くスカーフェイス!
「グモオオオオッ!!」 驚くアンデルサルクス!
奴らの肌が突然裂けて、全身から血が吹き出す!
血を撒き散らしながらも走る巨獣の上で! 怒りに満ちるスカーフェイス!
「グヌウアアアッ!」
猪の牙をバリバリ噛み合わせる!
派手に血が噴き出したけれど傷は浅い! 薄皮を切ったくらいだ!
それゆえ騎馬の疾走は止まらない! これくらいじゃ止まらない!
「くっ、ダメですか!?」
「じゃあ、これよ! 『 シルフ、草花を切って巻き上げて! 奴らの周囲で回して目潰しして! 』」
綿雲にヒントを得た私は、シルフに草花を切らせると巻き上げてスカーフェイスの周囲を回らせる!
今度は緑色の鱗を持つうねる竜!
「「うおおおっ!?」」
「「ブオオオオッ!?」」
草花の竜巻! 緑の旋風!
とアンデルサルクスの目に!
切った草が刺さった!
「グモオオオオッ!!」
アンデルサルクスが頭を振る!
足を踏ん張り、その場に止まる!
待ちに待った、動きが!
止まった!
「今です!」 アグが叫ぶ!
「「イヤアアアアアッ!!」」
ヴァレーとヴァルは同時に振りかぶり!
わずかに速いのは、転倒をも恐れぬ全身のバネを使ったヴァレーの攻撃! ボスオークを狙った攻撃!
「ブフオオオッ!!」 スカーフェイスが矛を引き寄せ!
ギャリイイインッ!!
それは寸でのところで弾かれ、ヴァレーが転倒! でも!
ドゴオッ!!
「グモオオオオオオッ!?」
アンデルサルクスの悲鳴!
ほぼ同時に放たれたヴァルの渾身の一撃は!
アンデルサルクスの太い後ろ足を!
太ももを半分以上切断!
太い骨が断たれ! 赤い肉の断面が!
ブラリと筋肉の一部でぶら下がっている状態!
これはもう!
「グモオオオオッ!!」
と肺の奥底から絞り出すようにアンデルサルクスは叫び、大地に崩れ座り込む!
手綱をひくも動けない!
「ヌウウウーー、ヤッテクレタネ」
スカーフェイスは騎馬を諦め、私たちの前に飛び降りる! ドシンと震動が!
「特ニソコノッ! エルフノ小娘!」
「っ!!」 私はビクッとした!
「オ前ガ一番憎タラシイネエ。八ツ裂キダヨ!」
あわわ、矛の切っ先を私に! 何て殺意の塊!
刀身から殺意が伸びてきて、私を捕らえる!
ひゃあああっ! 私はアグの背におぶさったまま隠れる!
何て殺意の塊! ひゃあああっ!
「私の友を、そんなことにはさせません!」 アグが気迫を反す!
「「その前に、私たちが倒す!」」
ヴァレーとヴァルが私たちの前で斧槍を交叉し、ここは通さないという意思を示してくれて!
うわあああん、嬉しいしカッコいい!
「ジャア、皆殺シダヨ!!」
スカーフェイスが矛を振り上げた! その巨体からは想像できないほどの体の捻り!
ひゃああ、私は魔法を出し惜しみせず!
「『 闇精霊! ボスオークを目隠しして! 』」
ボスオークの懐の影に潜んでいたシェードに命令!
黒い霞みがボスオークから飛び出し、顔を覆う!
「ブオオッ!? 何ダコレハ!?」
ボスオークを襲う、突然の暗闇!
一寸先さえも見えない、突然の暗闇!
ボスオークは振りかぶりを解いて腕で目を擦る!
隙だらけ!
「「今だ!」」
ヴァレーとヴァルは同時にボスオークに斧槍を!
ドゴゴンッ!
「ブッ……ッッ!!」
ヴァレーの斧槍が腕ごと脳天を真っ二つにし!
ヴァルの斧槍が胸に突き刺さる!
スカーフェイスは膝をガクガク震わせると、膝が折れ尻がつき……
ズズンッ!!
「ええっ!? 呆気ない!」 とヴァレー!
「今までの苦労は何!?」 とヴァル!
「ははは、これがシスの力です! 思い知ったかボスオーク!」 アグが嬉しそうに「小柄で可愛いく見えて、圧倒的な猛毒を持っている、それがシスです!」
「こ、こらあっ!」
何だっ、圧倒的な猛毒って! そんなの持ってないし!
でもこんな話をしている場合じゃない!
他はどうなってる!?
「カピーとクリスは!?」
「「そうだ!」」
後ろを振り向く私たち!
いいタイミングで綿雲の切れ間があって! 大地にわずかな炎と煙があって!
「「あっ!!」」
私たちは気づいた!
焼けた大地に突き刺さる斧槍に!
そして緑の大地に倒れ臥す人に!
「「ああっ! 嘘!?」」
カピーとクリス、アンジェリーカが!
倒れている!
「「やられた!?」」
そう! 三人とも倒れているの! 草花の大地に!
ノームも崩れていて! シルフもいない!
その時、アグが奥地を指差す!
「マズイ! 向こう!」
「「ええ!? あっ、あああ!!」」
奥地に向かって走っていく影!
綿雲を壊しながら走っていくその後ろ姿!
アンデルサルクスに騎乗したボスオーク!
こちらに戦力をかけているうちに、向こうはやられていたんだ!
「マズイ! 追いましょう!」
「「分かった!」」
「アグ! 私たちはアンジェたちの容態を!」
「分かりました! ヴァレー、ヴァル! 私たちは後から追い付きますから!」
「「分かった!」」
ヴァレーたちが走り出す傍ら、私とアグは元来た道を走り戻る!
「飛ばしますよ!」
「お願い!」
跳ねるように跳ぶように!
あっという間にアンジェたちの元へ!
「大丈夫っ!?」
「「うう……」」
ああ、アンジェたちは血を流して倒れてる!
ああ、カピーは足を切り落とされて! クリスは太ももに深い刀傷が! でも一番危ないのは!
アンジェ!
「しっかり! アンジェ!」
アンジェは右肩から左脇腹にかけて斬られて、ピクリとも動かない!
な、内臓が見えていて!
「うう! すまない! に、逃がした!」 カピーが呻く。
「アンジェを! 助けて、やって! 私たちをかばったばかりに……」 クリスも脂汗で!
力なく横たわるアンジェが!
もう怖くて怖くて! 心臓が痛い!
震える、手が! こ、呼吸は!?
「ある! 弱いけれど! ある!」
私はすぐに水精霊で傷口を綺麗にする傍ら、掌をナイフで切ると、血を貯めてアンジェの傷口に流す! ウンディーネに血を運んでもらって傷口全体に血を行き渡らせる! 飛び出した内臓をウンディーネと共に内部へ押し戻して!
治るわ! 大丈夫!
そう自分に言い聞かせる!
「治る! 治るわ! 治りますとも!」
「アンジェ!」 アグが呼び掛ける!
「治るわ! 楽勝よ! ウンディーネ! 傷口を抑えていて!」
助かるかは五分五分、コックリが来てくれれば癒しの魔法で十割助かるはず! それまでは私の血で何とか生きていて!
「次はカピーよ!」
カピーの足は太ももから切断されていて!
切断面は綺麗!
再びウンディーネで傷口を洗いつつ、また血を貯めて切断面に!
くっついて!
「くっつくまで安静に! 手で抑えていて! いや、布で巻いて固定しよう!」
「はい!」
「あっ! ヴァレーたちが追いつきました!」
走りながら戦闘状態に入ったって!
左右から挟むようにして、矛の攻撃を一方に絞らせない!
「あの二人なら大丈夫! 倒してくれる!」 カピーが叫ぶ!
「あっ!」 アグが叫ぶ「何ですか、あの影は!?」
「「ええっ!? 影!?」」
か、影!? 何、影って!?
私もそれに気づいて!
「な、何あれ!?」
ヴァレーたちが戦う先の大地に!
氷山のような巨大な綿雲の中に!
無数の影が!
不吉な、不気味な、異様な影が!
「はわわっ」
ドクンッと心臓が、脈拍が、跳ね上がり!
全身に寒気が!
胸の奥に! 得体の知れないモヤが沸き上がる!
「か、影! 何、あの影!」 ひや、冷や汗が!
「は、早くクリスも!」
クリスの太ももは抉られて深く傷つき、骨が見えている! ああ、こんな時は秘薬の樹脂糊の方が削られた細胞の代わりになってくれるんだけれど!
二人同様の行程を経て──
「こ、この布で抑えて!」
「はい!」
「シス! 水を飲むんです! かなり血を使いましたよ!」
「わ、分かったわ!」
私は言われるままゴクゴクと水を飲むけれど気が気じゃなくて! ヴァレーたちを見るも綿雲にのまれてどうなっているのか!
あの影の正体が一体何なのか!
最悪の可能性を口にしたのはアグだ!
「オ、オークたちの後続部隊だったら! あるいは魔物の群れだったら!」 アグがアンジェを抱えようと「早く逃げなければ!」
「ま、まだダメ! 安静に!」
「ならシス! シスだけでも逃げて下さい!」 とカピーが!
「そう! 私たちは大丈夫! アグ、シスを連れて逃げるんだ!」 とクリスが!
「二人とも動けないのに何が大丈夫なの!? 私もここにいるわ! 私が貴女たちを守る!」
「「どうやって!?」」
失礼な! 精霊魔法を駆使するもん!
その時、綿雲の幕の向こうで!
獣の野太い咆哮が!
グモオオオオオオーーーーッッ!!
「「うわあっ!!」」
大気が震える程! 何!?
何なの、今の!?
綿雲で見えない!
何が起こったのか、分からない!
見えないから、怖い!
「「何なの!?」」
「ぶおお、お嬢ちゃんたち!」
「「ハルさん!」」
ああ! 全身切り傷だらけになったハルさん!
でもボスオークと騎馬を倒したみたい!
ああ、ハルさんが来てくれたら、百人力だ!
「今の咆哮は何だ!?」
「分からないの! でも綿雲の向こうにボスオークが逃げていって、ヴァレーとヴァルが戦っていて!」
「アンジェお嬢たちは大丈夫なのか!?」
「アンジェたちは動けません!」 アグが立ち上がる「私はまだ戦ってないので先頭に立ちます!」
「よし! じゃあ俺とだ!」
「はい!」
二人は前に出て構える!
油断も隙も見せない、緊迫感が伝わる!
私はアンジェの傷口を抑えて綿雲の向こうを見る!
と、ドドドドっと大地に震動が!
は、走って来てる!
大勢の足音が!
「「き、来た!」」
ボフッ! ボフボフッ!
綿雲を掻き分けて!
予想外のものが!
元々アップしていた10話を分割して11話目をアップします。




