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リートの大断崖09

 

 巨大生物の体内を思わせる暗い洞窟内

 洞窟の壁にはかがり火

 かがり火はおびただしい数の影を作り出す



 ■コークリットの視点



「フェラトゥーの霊石?」 俺は聞き返した「これが何だか知っているのか?」

「ブフーッ、ブフーッ!! 知ラナイネエッ!!」

 荒い息で一際大きなボスオークは吐き捨てる。

 俺は挑発してみることにした。


「名前を知っているが、何のために使われるか知らないってことか。したっぱのオークには話が来ないと?」

「ブフーッ、ブフーッ!! 答エル義理ハナイネエッ!!」

 うむ、特に引っ掛からないか。

 俺は別の問いかけをした。


「オークの中にも、この霊石でおかしくなった者がいるんじゃないのか?」

「ブフーッ、ブフーッ!! 答エル義理ハッ、ナイネエッ!!」

「これは数ヵ月前、ケンタウロスの集落を襲っていたオークの一団を倒した時、オークの鼻奥を解剖して取り出したフェラトゥーの霊石だ。何か知っているんじゃないか?」

「「ブヒヒッ! オークノ一団ヲ倒シタ!?」」

「「解剖!?」」

「ブフーッ! ブフーッ! オ前カアアーッ! 我々ノ仲間ヲ倒シタトイウ戦士ハアーー! ブフーッ!!」

 そうか。隊を二つに別ける前オークの一団と戦い、退けたボスオークの一隊がいたが、そこからの情報だな?


「そう、俺だ」

「「ブギイイイーーッ!!」」

 耳障りな甲高い絶叫! 不協和音に近い!


「ブフーッ! ブフーッ! 殺スッ!! グチャグチャニ!!」

「それは出来ないかもしれない」

「ブフーッ! コッチニハ人質ガイルンダ! 動クンジャナイヨ!」

 そう言うと、ボスオークは配下のオークに俺をグズグズになるまで殴るよう命令する。まずは足から。先頭のオークはニタニタ笑いながら俺に近づく。


「ブフーッ! 殴リ殺──」 と言うと目がグリンと回り「ブフウゥー!?」とオークは片膝を着く。

 棍棒を杖代わりに立とうと試みるも、動けない。


「「ナッ!?」」

「「何ヲシタ!?」

「何も?」 俺は肩を浮かして「近づいてさえいない」

「何ヤッテンダイ! コノボケナスガッ!! ゼエエーー!」

 ボスオークは前のオークや人質を弾き飛ばして前に!


「「きゃあっ!!」」

「「ブヒヒッ!!」」

「コウヤッテ──」

 とシスの背丈ほどある棍棒を振りかぶる! が!


「ゴフッ!!」

 ボスオークは突然口と鼻から血を吐き出した!

 俺はその毒の血を浴びないよう、僅かに半身になって避ける。


「ゴフッゴフゴホッ!!」

「「ゴホゴホッ!! ゴブッ!!」」

「「グエエエッ!! オエエエエ!!」」

「「きゃああああっ!!」」

 そこに集まったボスオークや普通のオークたちが一斉に咳き込み、血を吐き出す! もう普通に立っていられないようで、膝をつき、崩れ落ちる者も。


「「ウガウガ!?」」

 一方、オーガーたちは狼狽し、膝を着いたオークの容態を見ようと頭を下げる。


「ウゥ……ゲフッ!!」

 と、そのオーガーも血を吐いた!

 ボスオークが鼻、口から血を吐き出しながら、俺を睨み付ける!


「ゼエエーッ!! ゼエエーーッ!! キ、貴様アアーー! 毒カアーーッ!!」

「五キロ以上坂道を歩いてきたから、最初は『 疲れただけ 』と思ったろう? 息苦しさも、坂道を登ってきたからだって。口呼吸だから臭いも気付きにくいはずだ」

「オーー、オノレエエエ、ゴブッ!!」

「さらに薄暗いから周囲の空気の色も分かりづらい。外なら茶色がかったガスに見えるんだ」

「ガッ、ガス、ダッテエッ!? ソンナ物、ドゴボエッ!」

 血反吐を吐くボスオークの目に疑いの光が!

 俺は懐から黒く光る石を取り出す。それはドレス宝炭ほうたんの原石だ。


「この原石を濡らして火にくべると有毒なガスが発生する。数ヶ月前、あるケンタウロスの集落を襲った毒ガスと一緒だ」

「ナ、何故、オ前ラ、ハ」

「そう、俺や人質が大丈夫なのに、なぜお前たちはガスにやられているのか……」

 俺は右方向を見る。

 薄暗くて分からないが、何かが動いていて俺の方にやってくる。一人は壊れそうなほど華奢で小柄、一人は頭ひとつ長身で頭から鹿の角が生えている。

 シスとアグだ。二人はかがり火の範囲にやってきた。


「エエェエ、エルフウーーッ!! グエエエッ!!」

「ひゃあっ」

「私の後ろへ」 アグはシスの前に立つ。

 呼吸困難に陥ったオークたちはもう人質を掴んでおくことも出来ない。血を吐きながら激しく咳き込み大地に臥す。人質たちはシスとアグの元へ走る。


「俺が姿を現したのは、お前たちが異変に気づき逃げ出さないため。一緒の空間にいれば毒ガスが発生しているなんて思うまい? 長話をしたのは、ここに留めて毒ガスを吸わせるためさ」

「オノ……レッ、オノレエエエ、ゲボッ!」

 ボスオークは膝に手を当て踏ん張りながら立ち上がる。


「精霊魔法で風の幕を作って洞窟内を二つに別け、一方に毒ガスを蔓延させていたんだ。あとはエルフの彼女が、人質に風の守りをかけるのを待って、風の幕を破る。ガスは空気より重いので背の低い者からやられていくという算段だ」

「「ゼエエーー、ゼエエーー、ゴボゴボッ!!」」

 オークやオーガーたちは洞窟から逃げ出そうとしているが、一匹倒れてはそれにつまづき、さらに倒れる。もう、ほとんど動けない。


「ゴボゴボ! 毒ガズ、ナンデ──卑怯ナ!」

「痛快だな。闇に紛れて獣人達を襲い、人質を取って他者を殴リ殺そうとするような卑怯者に言われるのは」

「ウゴゴッ、ゴボゴボッ」

「苦しんで死ぬがいい。快楽と愉悦のためになぶり殺した生命に侘びながら」

「「グウウーーーッ!! ゴボゴボッ!!」」

 オークたちは這いつくばって血を吐きながら俺を睨み付ける。ヘルハウンドよりも体力や生命力がある分、苦しむことになる。

 そうヘルハウンドは毒の回りが早かった。体高一メートルくらいだから、より濃度の高いガスを吸うことになったからだ。さらに七階層(この二階層上)まで一気に駆け登って口呼吸していたのも命取りだった。

 動物は不憫だったので、苦しまないよう介錯のためすぐに首を落とした。残酷だが「こちらには大きな戦力がある」と思わせるために断崖から落とさせて貰った。


「「ゴボッ、ゴボッ!!」」

「次に来たオークたちはこの上の階層で同じように死んだよ」

 ハルさんの要望で介錯はしなかった。悪事への罰として苦しんで死なせると言っていた。その後、息を吹き返さないよう首を落とした。


「グブッ、ゴボゴボッ!! ゴ、ゴノ……死神メ、ゲボオオッ!」

 大量の血を吐いたボスオークは、そのままゆっくりと大地に倒れこみ、ズズンと振動が走る。


「否定はしない。俺は死と崩壊の聖霊(ミネルヴァーラ)の子だから」

 俺は索霊域を展開し、生命活動のある魔人がいるか確認する。何匹かはまだ虫の息だがいずれ絶命するだろう。

 俺は念には念を入れ、ボスオークの何体かの首を刎ね、復活の芽を完全に摘む。ふうぅ、吐き気がする。ふうぅーー。

 死んだ者の首をさらに落とすなど、それはまさに死神と呼ぶにふさわしい行為だ。吐き気がする。

 でも俺は死神だ、大したことない。はあぁーー……


「ふうぅー……シス、風の精霊で毒ガスを排出してくれるか?」

 シスの方を向くと、人質の獣人たちが俺を見てビクッとした。ああ、恐がらせてしまったか……

 そうだよな、俺は残酷な殺し方をしたしな……

 恐いよな……はあぁー

 シスも恐がるだろうか? 彼女に恐がられるのは、逆に俺が恐くなる。


「分かったわ。でもちょっと待って!」

 そう言うと、シスはツカツカと俺の方に。ちょっと陰のある暗い表情で。俺を睨んで。

 あ、あれ? 怒ってる!? 俺は怖くなった。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、俺の前に立つと、両手で俺の頬をドパンッ! と挟んだ!


「いっ!?」 頬が熱いっ! 思い切りだった! 「痛いっ!! 痛いよ!?」

「間違いは否定してっ!」 大きな声で皆に聞こえるように「貴方は優しい子! 死神でもなければ、死と崩壊の聖霊(ミネルヴァーラ)の子でもないわ!?」

「っ!?」

 凛とした声と強い眼差しが俺を射ぬく! 叱る時の彼女の目と声だ。


「貴方は強い肉体と優秀な頭脳を持っているけれど! 傷つき易い心を持った優しい子よ!」

「っっ!!」

「磨き上げた剣技と魔法を持った騎士だけれど! 子供の不幸に涙する優しい子よ!」

「っっ!!」

「間違いを受け入れたら! 本当にそうなってしまうわ!」

「っっ!!」

 早口に畳み掛けて来る!

 何て真っ直ぐな目なんだろう。本心から言っていると分かる。

 美しい翡翠色の瞳。切れ長の大きな目が俺を捕らえて離さない。ああ、彼女の瞳に映るのは面食らって動揺する情けない俺の顔が……カッコ悪い。


「さっきのため息! 首を落として嫌な気持ちになったからでしょう!? 本当に死神ならそんな気持ちにならない!」

「!!」

「さっきの返答! 死神なんて! 貴方を助けてくれた多くの恩人たちが聞いたらって! 考えたことあるっ!?」

「!!」

 ない! 考えもしなかった! 恩人たちの顔を思い出し、胸に罪悪感が広がる。

 俺の罪悪感を知ってか知らずか、シスは急に声が小さくなった。


「……絶対……悲しむ」

 俺を睨むシス。でもその目には溢れんばかりの涙が! 切れ長の目にいっぱいの涙が……!

 あわわわわ、なな泣かせた!? あわわわ!!


「あっ、あわわっ!!」

「私も……」 美しい唇が震えて「悲しいよっ! バカバカ! バカッ!」

 彼女は思い切り俺の両頬をつねる! ぐああっ! ギリギリつねって左右に思い切り揺さぶる!


「いでででっ!」

「バカバカ! バカ! 頭良いのにバカッ!」

「いひゃひゃっ! わ、分ひゃった! 俺が悪ひゃった!」

「分かってない! 貴方は! 貴方を信じ、育てた人たちを侮辱したのよ!?」 ギリギリギリギリッ!

「~~~~~っっ!!」

 考えたこともなかった……!

 俺は途端に後悔の念が生まれる! 俺は何てことを!

 そうだよ、団長も、ジョバンニさんも、ウォゼット先生も、庭師の皆さんも、故郷の皆も! 俺を信じて、大事にしてくれた! それなのに俺が自分自身をそんな風に思ったら!

 彼らを侮辱しているようなものだ!

 俺の思いが分かったのか、シスがビチッと手を外すと後ろを向く……でも、なおも「バカバカ。こんなに優しくて愛情深い人なのに!」と言って目を擦る。

 うう……シスがとても悲しんでいると分かる。うう、胸が痛いし、頬が痛い。


「あの……ごめん。間違ってた、です」

「そう! もう! 絶対ダメだからね!」

「はい……」

 ああ、彼女はまた、俺を想って叱ってくれたんだな。やっぱり彼女は優しい。彼女こそ愛情深いと思う。

 とアグもやってきた。


「さあ、イチャイチャしている暇はないでしょう! 私もオークたちに止めを刺すので、シスは毒ガスの排出を」

「「イチャイチャしてない!」」

 アグにはこれがイチャイチャに見えるのか! 一方的に俺が叱られていただけじゃないか!

 と獣人たちが俺たちの元へ集まってきた。あれ? さっきの恐怖の眼差しじゃない……


「「あの、ありがとうございます!」」

「「助けてくださって!」」

「「何とお礼をすれば……!」」

「いえ、お怪我はありませんか?」

 ああ、華奢なエルフに叱られヘコむ大男を見て、俺への恐怖心がなくなったようだ。シスはこれを計算して……? いや、シスはどちらかというとそんな計算しないよな。できないというか。単純というか、シンプルというか。先のことを考えず行動に出るというか。


「ム、何か馬鹿にしてない?」 シスが俺を睨む。

「め、滅相もない!」

 怖っ、何か鋭い時があるよな。心の精霊の動きか何かだろうか? 霊力コントロールで隠しているつもりだが。尻に敷かれてる感、満載?

 俺は逃げるようにドレス宝炭ほうたんをかがり火から回収してこれ以上毒ガスが出ないようにする。

 その時。


「神殿騎士様ああ~~!」

 洞窟の入り口付近でテルが叫ぶ!


「テル君、もう入って大丈夫よ!」

「ありがとうシス姉ちゃん! 神殿騎士様! 岩塊の奥からオークの軍団が来たああ!」

「「ええっ!!」」

「「ひゃあ!!」」

 女性たちが悲鳴を上げる! 動揺が一気に走る!


「くそ、もう来たか! 数は分かるか!?」

「五十はいないみたい! 様子見の斥侯部隊っぽい!」

「やはりそうか、じゃあ作戦Aだ!」

「うん! ハルさんやエカ姉ちゃんたちがそれでスタンバってる!」

「よし、じゃあ俺もすぐに向かう! シス、アグ、例の手筈で頼む!」

「分かったわ!」

「任せて貰いましょう!」

 二人と別れた俺は第五層と第四層の洞窟をつなぐ崖際の道まで走る。急げ! 時間が限られるぞ!

 外に出ると、力強い息吹! 峡谷を駆け上る冷たい風が、俺の髪やサーコートをはためかせる。広がる圧倒的な大渓谷の光景に、得も言われぬ感動が心と体を揺さぶってくる。


「よし、あったぞ!」

 俺は断崖を這うように伸びる崖の道の先に、目的のものを確認した!

 吊り橋だ! 第四層と第五層の洞窟をつなぐ重要な拠点! 恐らく、オークたちは断崖上から魔獣が降りてきた際、この吊り橋を落として魔獣が進めないようにしているはずだ。その措置を、こちらが利用する!


「聖剣技『 波斬の太刀 』」

 刀身に波動を纏うと、俺は吊り橋に剣を振るう!

 粗末な吊り橋はバラバラと音を立てて崩れていく! これでいい! これで下から登ってこられなくなる! オークたちに上下から同時に挟み撃ちされることだけは避けたい! 一時的な足止めができた!


「次だ!」

 俺は再び第五層の洞窟へと駆け戻ると、一気に第六層、第七層の洞窟を駆け抜ける! 第七層にはテルとともに人質の獣人女性たちが心配そうに震えている! 大丈夫! 俺たちは負けない! 百名近い人質を見て、俺は再び決意を新たにする!

 そのまま断崖を駆け上ると、まるで蟻塚のような粗末な砦が見えてくる。

 だがまだ戦っている音は聞こえない!


「ぜえっ、ぜぇっ! よ、よし、間に合ったか!」

「おお! コックリ! 待っていたぜ!」 ハルさんが砦の壁に身を隠しながら親指を立てる。

「フッ、いいタイミングだ。まだかまだかとヤキモキしていた」 ローレンが弓を手に。

「そんなに疲れて! 水を飲んでください!」 とエカチェリーナ。

「ふぅ! ふぅ! 今どうなってる?」 俺は水を飲みながら。

「あと一キロというところまで近づいている」

 俺は砦の壁の隙間から外を覗く。

 そこには花咲く高山植物が生える美しい大地に、綿雲が流れる絶景が広がる。まさに絶景だ。何と胸を打つ、美しい景色だろう。広々と遮蔽物のない大地には所々岩の尖塔が立ち、彼方には白いリートシュタイン山系の神々しい姿が見える。その広大な大地の一角に、雄大さとは不釣り合いな姿が垣間見える。


「オークとオーガー、約五十か」

「「ああ」」

 俺は偵察のため千里眼を飛ばすと、ハッキリ分かる。

 オークがニ十五、オーガーが十五、ヘルハウンドが五、そしてあれは……


「アンデルサルクスに騎乗したボスオーク。それが三騎もいる」

「アンデルサルクスだって?」

「三騎も? ボスと近衛兵って感じか?」

「そのように見えます」

 まずアンデルサルクスとは毛の生えたサイのような重厚なボディーに、狼の顔がついた巨大な四足獣だ。体毛が斑の紋様のようで、見ているだけで禍々しい。その不吉な紋様の魔獣は背中の高さまで三メートルはあろう。体重二百五十キロを越えそうなボスオークでも、悠然と騎乗させている。鈍重そうに見えて意外に足が速く、時速五十キロ前後で走れる。


「それでもあいつらを倒せば、もう二日は猶予ができるんだな?」

「ええ、しかし逃がして仲間の元に戻られたら、今晩中にも大軍が押し寄せるハズです!」

「ヨシ、必ず倒すぞ!」

「「応!」」

 ここにいるのは七名。俺、ハルさん、ローレン、エカチェリーナを含めたディアオロスの戦士四名。お互い拳を作ってゴツゴツと合わせ気合を入れる!


「痛っ!」 ローレンが苦笑する「戦う前に怪我するぞ」

「ぶはは、気合い入れさ」

「「もう、大事なローレン様の拳が」」

「くく、気合いいただきました」

 ある意味、硬さが取れたな。

 警戒を怠らず千里眼で見ていると、一団はある動きを見せる。それは最悪のパターンゆえ俺はハラハラし始めた。


「マズイ!」 俺は焦る「マズイぞ!」

「「何がだ!?」」

「アンデルサルクスに騎乗したボスオークたちが五百メートルくらいのところから近づいてこない。明らかにあっちが主戦力で、このまま戦闘になったとしたら、最も足の速いボスオークたちが巣窟に撤退する!」

「「何だって!?」」

「「ヤバイ!!」」

「「三騎もいて、そんなに離れているのか!?」」

「今からエルクを洞窟から連れて来ますか?」 エカ。

「ムウ、オークを倒してからでないと、エルクが傷つく可能性が」 ローレン。

「「どうする!?」」

()()()の荷が重くなるぞ!」

 その時、砦の向こうから!


「オオイイッ!! 誰カ居ネエガアアッ!?」

「ぶおっ! やべえ!」

「ヌゥッ、このままだと全員近づいて来ないんじゃ!?」

「ええ、下手な受け答えをすると、一~二匹だけしか偵察に来ないかも」

 慌てる俺たち。


「オオイイッ!! ドウシダガアー!?」

「誰カ居ネエガアアッ!?」

 どうする!? オークたちが怪しんでいる!

 その時、ハルさんが!


「待づがあ~~、今、飯食ってるがあ~~!」

「「!」」

「「ブヒッ!?」」

 といって、首を落としたオークの頭を槍に刺して、砦からヒョコっと出してからすぐひっこめる。


「俺だちが食い終わるまで、そこで待づがあ~~」

「「何ダド!? フザケンナガアア~~ッ!!」」

「「俺ダチハ何モ食ワズニ来ダガアア~~ッ!!」」

「知らんがあ~~っ! 絶対来んながあ~~っ! 俺だぢの分がなぐなるがあ~~っ!」

 上手い! そんなこと言ったら!


「「ッザケンナガアア~~ッ!!」」

「「横スガアア~~ッ!!」」

 ドドドドッと四十匹全員が! 来た!


「チョロッ!」 悪い顔のハルさん!

「『 戦乙女よ、光る槍を持て! 』」

「聖剣技『 波斬の太刀 』」

「よし! 俺は右から!」 ハルさん。

「「私たちは左から!」」 エカたち。

「俺は正面を飛び越える!」 俺は皆に「武運を! 戦闘開始!」

「「応っ!!」」

 ドンッ! と皆で一斉に飛び出す!


「「ブヒッ!?」」「「ウガッ!?」」

 突然のことに、オークたちは目を見張り、動きが止まる! その隙を見逃さず、ローレンが!


「『 戦乙女よ! 槍を放て! 』」

「「ウガアアアアッ!?」」

 二体のオーガーがいきなり串刺しになる!


「『 飛翔脚!! 』」 俺は数歩でオークたちの上を飛び越え! 「『 波動掌!! 』」

 ダンッ! 飛び越え様、近くにいたオーク二匹の頭が胴体にめり込む! そのまま狼狽するオークたちを斬りつける! 「うおおおおっ!!」


「「イヤアアアッッ!!」」 エカたちディアオロスが斧槍を! ドゴゴンッ!!

「ウガアアアアッ!!」「ブヒイイイッ!?」

 二人同時の連携! 上手い! 一人は足元、一人は頭! どちらかを避けてもどちらかが当たる!


「ぶらあああっ!!」 ズドドドドッ!

「「ブヒヒッッ!?」」

 走りながら、目にも止まらぬ槍捌きで二匹のオークと一匹のオーガーの肺や首、目に穴を開ける!

 凄まじい槍捌き!


「コックリ! 俺はボスに向かう! いいな!?」

「はい! お願いします!」

「頼む! 助けてやってくれ!」 ローレンが叫ぶ!

「おうよ!」

 こちらの戦力や占拠状況を察知したのか、遥か先のボスオークたちは何か相談すると、二騎が後ろを向く! ヤバイ! 巣窟へ退却する! ボスオーク一騎が食い止める算段だ!

 だが!


「「オオ?」」

 ボスオークたちの足が止まる!

 奴らの先、数百メートルのところに、影! 綿雲の中に、影! 美しい肢体の戦士たち!


「「ここは行かせないっ!!」」

 アグ達ディアオロスの戦士六名が、ボスオークたちを遮るように立つ! 斧槍を互いにクロスさせ、進路を妨害する!

 そう、彼女たちは危険を冒して峡谷の絶壁、しかも高さ八百メートルの危険な絶壁を一キロ近く移動してもらった! オークたちの後ろを取るために!


「『 地精霊、火精霊、姿を現して! 』」

 さらにその後ろにはシスが! シスは土人形と火トカゲを二体ずつ出して後ろを固める! ローレンが言った「助けてやってくれ」とはそういうことだ!

 戦士六名、さらに地精霊に火精霊! オークたちを逃さないための網! 別動隊だ! だが予想外だった!


「コノ人数デ、我々ヲ抑エラレルト?」

 落ち着き払ったボスオークたち!

 く、ハルさん早く!

 俺の計画では敗残兵を逃がさないように、六名の戦士とシスの精霊魔法で網を張る戦術だったが! ボスオークとアンデルサルクスが主力のようなものだ! ハルさん! 頼む!


「押シ通ル」

 向こうの戦闘が始まった!

 ハルさん! 頼む!


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