断崖への旅路6(断崖の夜)
ゴウゴウとうねる水面
水面に浮かぶ体
鹿の後足を持つ獣人
■システィーナの視点
「しっかり! しっかりして!」
水精霊が浮かび上がらせたディアオロスの女性を皆で陸へ引き上げ私は声を張り上げる! 起きて! 生きていて!
「お姉ちゃん、しっかり!」
テル君も耳元で叫ぶ。
ずぶ濡れの体には、痛々しい咬み痕。鹿の太ももには深い裂傷が痕になって、赤い肉が見えている。酷い!
「しっかり!」
胸に耳を当て心音を確かめようとするも、私の胸の方がザワザワうるさくなる。
「うう……し、心音が……うぅ」
うう、そんな……!
何てひどい……ううぅ、うぅ……!
「泣いてる暇はないぞ! また来た!」
ハルさんが滝壺に飛び込んでディアオロスを抱き寄せる。ああこの女性は片腕と片方の足がない。ぐったりとして、生気を感じられない……あぁ。
引き上げて呼吸や心音を確認していたその時、上から声が落ちてくる。
「──スさん! シスさん!」
「は、はい!」
見上げる断崖の上は霞んでいる。
水煙の雲が薄くたなびいて、巨大な手が現れそうで怖さがいや増す。
でも霞の中に、滲むような青白い冷光が動いてくる。光の精霊の灯だ。暗い崖をピョンピョンと凄い勢いで降りてくる! アグリッピナだ!
「どうしたの!?」
「シスさん! ローレンさんが! 上に来るようにと! 重傷者が! 沢山いるので!」
「~~~~っっ!!」
重傷者が! でもこっちにも続々とディアオロスが落ちて来る!
「お嬢ちゃん、上へ行くんだ。ここに落ちて来る獣人たちはもう」
降りて来たアグリッピナはハルさんの言葉で被害者に気づく! ああ、次の瞬間には唇がワナワナと震えて……もう、一目で生きていないことが分かる状態だったから……でも、彼女は背を向け私の前にしゃがむ!
「シスさん! 上にはまだ助かる命が!」 震える声の彼女。「さあ、私の背に!」
彼女は気丈に、生きている仲間の命を救う行動をとろうとしている! その決意を、意志を私がないがしろにして良いわけがない!
「分かったわ、お願い! ハルさん、もし生きている人がいたらこの秘薬を!」
「分かった!」
私は予備の秘薬を渡すと彼女におぶさり、上半身にしがみつく。彼女は線が細いけれど、凄く締まった筋肉の戦士だと分かる。その証拠に、彼女は易々と立ち上がり、何度か跳ねる。
「よし、行きます! どうか私たちの仲間を救ってください!」
「分かったわ!」
私の返答を合図に、彼女は走り出す。
彼女は私を背負っているとは思えないほど、勢いよく断崖の細い足場を駆け上って行く! 何て脚力!
「お、重くない!? 大丈夫!?」
「大丈夫! それより! 舌を噛みますよ!」
彼女の言う通り! しゃべろうとすると嚙みそう!
はわわわ、周りは闇と霞! 暗くて、視界が悪くて! 足場が不安定で! でも凄い勢い!
「は、早すぎて! こ、怖い!」
「私を信じて大丈夫! 落ちたことは数回だけです!」
「あるの!?」
私の動揺など気にも留めない彼女は、薄く霞む細い道をカカカカッと駆け登る! その足取りは確かに頼もしい! 年齢的には二十歳前半に見えるから、足腰がしっかりしているからかも!
何てことを考えていると、焦げた臭いがどんどん近づいて来る! 目指す崖の上には、多数の光の精霊が放つ大きな冷光が!
ああ! 断崖に洞穴がある!
「はぁっ! はぁっ! よし、着いた!」
「ありがとう! お疲れさま!」
ああ、洞穴内は惨憺たる有り様! 洞穴内にたくさん建てられた塔に似た家屋は無惨にも崩れ、炭化した家財道具が煙を出している!
「来たか! シス!」
「ローレン! 怪我人は!?」
「ここだ!」
洞穴の土地に、獣人たちが寝かされている。多くの獣人が腕や足を欠損し、体の至るところに痛々しい咬み痕が! あれ、でも咬み痕はほぼ塞がっている!?
「神殿騎士殿が応急処置の魔法だけ使っている。下手に治癒魔法を使うと、欠損した部分が完全にふさがって再生できなくなるというから、血を止めたくらいだ! 秘薬とお前の出番だ!」
「分かったわ!」
私は秘薬を取り出すと、自分の掌を切って血と混ぜる。それを寝かされた獣人たちの欠損部分に塗って行く。頑張って! すぐよくなるわ!
寝かされた獣人は全部で十人。老いも若いも女性ばかりで、皆革鎧をまとっている。秘薬と血を使っていると、次々に崖上からケガをした獣人たちが下ろされてくる!
「新たに怪我人を連れてきました!」
アグリッピナより若いディアオロスの戦士が背中に子供をしょってやってきた。
ああ、その後ろには、大きな騎士! 胸にディアオロスの子供を抱えて! でもその姿は!
「コ、コックリ! だ、大丈夫なの!?」
彼は血まみれで! け、怪我したんじゃ!?
でもどうやら返り血みたいで、彼は一言「うん」と。
ああ、顔面蒼白! さらに感情の見えない顔! たぶん、大丈夫じゃない! 内面が! 心がかなり大きく揺さぶられたんだわ! 何か別のことで心を紛らわせないと!
「か、身体中の血を水で洗い流したら、すぐに手伝って!」
「分かった」
「ああ待って、やっぱり私が! 『 水精霊、彼の汚れを取り除いて 』」
怪我人と同時進行で、持っていた水筒から水の精霊を呼び出し、彼の身にまとわせる。オールクリンの心地良さがきっと心を癒すはず!
並行しながら私は怪我人たちの治療を開始した。
◇◇◇◇◇
「助かりました、ありがとうございました。エルフのお二方、神殿騎士殿」
かがり火の中で、綺麗な銀髪が印象的な年老いたディアオロスの女性が頭を下げた。首長のアレクサンドラさんだ。
その後ろには、ディアオロスたちがいて皆頭を下げる。驚くべきことに、皆女性だ。男性はいないのかしら?
ああでも、多くの獣人女性は痛々しい姿だ。コックリの魔法で完全回復して無傷な女性もいるけれど、多くが体を欠損した獣人で秘薬を塗って包帯を巻いているだけだから、見ているだけで体が痛くなる。
「あの……神殿騎士殿、大丈夫ですか?」
痛々しい姿のディアオロスたちでさえ心配するほど、顔色が悪いコックリ。本当に顔色が悪い。
と酷い顔色のコックリが顔を僅かに臥せ、重い口調で吐き出す。
「救えなかった命もあり」 彼は目を閉じた「無念です」
「何を言われますか! 見ず知らずの我々をこんなに救って頂いたのですから!」
「「そうです!」」
「「これ以上、望むことなど!」」
ああ、コックリは顔が土気色だ……
心に強いダメージを受けた上に、魔法によって心そのものである霊力を限界まで使い果たしたんだと分かる。心の消耗で今にも気絶しそうに見える。
ディアオロスのためにも彼のためにも、もう休んだ方がいい。私が「休もう」というタイミングを見計らっていると嫌味男が。
「フム、しかし酷い被害だな。家々は丸焼けだし、犠牲者も多い。これからどうするのだ?」
皆が心身ともにダメージを負っているのに、さらに追い打ちをかけるような嫌味男の言葉に皆が苦しい顔になった。もう、何で言葉を選ばないの? 信じられない! と首長が難しい顔になった。
「この大瀑布には、ディアオロスの集落がそこかしこにあるので、無事な集落に身を寄せようと思います」
「しかし首長。エカチェリーナの集落は二週間前にムカデに襲われ、我々の集落にやってきてここでも襲われ。どこへ逃げてもムカデたちは襲ってくるのでは?」
エカチェリーナと呼ばれた若い女性が頷く。
彼女は右目を隠すように包帯を巻いている。とコックリが抑揚のない声だけれど事情聴取を始める。うう、無理しないで……
「三匹ほど倒しましたが、まだいるんでしょうか?」
「はい。恐らく二十匹はいるんじゃないかと」
「「二十匹」」
そ、そんなに!?
「確かな情報ですか?」
「いえそれが……各集落から戦士を募り討伐隊を編成してムカデを追ったところ、瀑布の六層目と七層目でムカデがいたということで」
「詳しく数えた訳ではないと」
「はい。近づくのも危険で。ムカデはオーバーハングした崖上から偵察したとしても、簡単に登って来て……」
「今夜もそう。どんなに警戒していても、崖上からでも崖下からでもいつの間にかやってきて、麻痺毒の息で……」
な、何て厄介なの!?
壁が続いている限り、どこからでもやってこれて、なおかつ毒の息を吐くなんて!
「あの巨大ムカデが吐く霧状の麻痺毒は、どうも可燃性らしくあっという間に燃え広がって。でも今回は火事で近隣の集落が気づいてくれたようなので」
「フム。毒があるならかえって集落が分散していた方がいいのかもな。一つの大きな居住地だったら、全滅しかねん」
「たまたまアグリッピナが神殿騎士殿たちの野営地に落ちたのも、不幸中の幸いだったのかもしれないですね」
「ええ、そうかも」 とアグリッピナ。「私は運が良かったです。たまたまそこに巨大ムカデを倒せる戦士がいたわけですから」
皆が頷く。すると首長がコックリに頭を下げ切り出した。
「神殿騎士殿。あなたはセンチピードを苦にせず討伐できたという。どうか我々を助けていただけないでしょうか」
「はい。下でアグリッピナさんと協力関係を結ぼうと話していましたので、自分がムカデどもを掃討します」
「「わあ」」
女性たちが喜びの声を上げた次の瞬間、表情を曇らせる。
「協力……と申しましても、我々の力がどれほど役に立てるか。悔しいのですが、我々は手も足も出ず……」
「大丈夫です。戦闘での協力というよりは、それ以外の協力の方がありがたいのです」
「「え?」」
「我々はリートの大断崖上を目指しています」
「「リートの!?」」
「「なぜ!?」」
「ある怪異を追っているからです」
「「怪異!?」」
「どのような怪異なのですか?」
コックリは感情の起伏なく、手短に説明する。
その静かな説明は非常に分かりやすいものの、私は不安がつのる。無理して冷静を装おってるって。ああ、早く彼の心に触れて楽にしてあげたい。
「「そんな怪異が!?」」
「「なるほど、それでこんな所に!」」
「このムカデの襲来は、その怪異を発端に起こっている可能性があり、その怪異を解決しなければ再び発生する可能性があります」
「「再発!?」」
「「確かに!」」
エカチェリーナが手を上げて「短距離ですが、私はリートの大断崖上を往き来しています。あのムカデさえ駆除できれば、協力できるものがあるかと」
「ありがたいです。ぜひよろしくお願いします」
話が一段落ついたと感じた私は、そこで手を上げた。
「あ、あの! 今日はもう遅いですし! 皆さんの傷に障りますので、ここまでにしませんか!? 詳しい話しは明日に!」
◇◇◇◇◇
満天の星空から煌めく筋が降ってくる。
ああ、暗くて、でも夜空が近くて綺麗だなぁ。
足元から下は水煙の霞でモクモクしているけれど、場所によっては霞が全くないのね。
かがり火から離れた断崖の棚地。
丸い大きな岩に腰掛けて、立てた膝に顔を乗せてボーッとする彼がいた。
どうしよう。近づいていいのかどうか……
でも近づかなくちゃって思って、勇気を出して問いかける。
「コックリ……」
彼はピクリと反応すると、土気色の顔をこちらに向けて「うん」という。
「コックリ……その……」 私は不安で、指をモジモジする。「大丈夫?」
「うん」 彼は目を細めて「シスこそ。フラフラするって言ってたね。寝てなくて大丈夫?」
「うん。実は……方便なんだ。えへへ」
「くっ」
彼はさらに目を細めた。
そう、話し合いが終わった後、コックリはディアオロスたちと共に野営することになって。ムカデがまた来るかもって。私はハルさんたちの元へ戻るよう言われたんだけれど「血を使いすぎてフラフラする」って言って。嫌味男に変わって貰ったんだ。
どうしても、コックリと話したくて……
「コックリ」
「うん」
「貴方にあったことを話して?」
「うん」
彼はそういうと、夜空を見上げた。
星が糸を引きながら、幾つも幾つも落ちてくる。美しい光景……
二人で声もなく星空を見上げて、沈黙が流れる。
「ディアオロスの、子供が……子供たちが……」
「うん」
彼はそのまま黙りこんだ。
長い、長い沈黙。瀑布の音だけが私の耳に入ってくる。
「「……」」
ああ。彼にとって、次の言葉を繋ぐのは……大きな決意が必要なんだと知った。
私はただ待つことにした。彼の中で、処理しきれないほどの大きな感情と理性が、激流のように流れ続けていると思ったから……
そう、頭で理性的に理解していることでも……
心が納得できないということがあるんだもの……
頑張って……答えを見つけて……
ううん、違う。答えなんてないのかもしれない。正解なんて。
彼の横顔はとても端正で。相変わらず表情が乏しいけれども。
私には彼の心の色から、彼の心のそれが分かったの。
彼はやがて、重い口調でつぶやいた。
「助けて、上げられなかった」
「……そう、なんだ」
彼はそのまま黙りこんだ。
きっと、彼が駆け付けたときには、その子供はもう。手遅れだったんだと思う。もう、どうしようもない状態だったんだって。
彼もそれは分かっている。頭では理解している。
でも、心が納得できないんだと思う。
現実は何て惨いんだろうって……
もしかしたら、何か辛い別の体験を思い出しているのかもしれない。過去に体験した同じような出来事を……
自分はまた、間に合わなかった、と……
夜空には星が瞬いて、幾つもの光が流れ落ちる。彼が流すべき涙の代わりのように……
「子供は、皆」
「うん」
「その年齢に応じて……経験を積んでいく」
「うん」
「楽しいこと、つらいこと、嬉しいこと、悲しいこと」
「うん」
「あの子たちにも」
もっと多くの、経験を……彼はそういって押し黙った。
彼にとっては、人間でも獣人でも、子供は分け隔てなく守られるべき存在なんだと思う。
それは彼が身寄りのない子供だったから……
彼は幼い頃、多くの人に助けてもらって、多くの人に育ててもらったことを心から感謝している。幼い自分が助けられ育てられたからこそ、子供に対する思い入れが大きいんだと思う。
それは彼が人生で得た、彼という人間を作り上げた真理なんだと……
ああ、何かしてあげたい。
元気づけてあげたい。
彼は強いようで弱い。肉体的にも戦闘的にも圧倒的に強くて、自らの苦痛に耐える強さもある。
でも、誰かの悲劇にはとても弱いんだと思う。
その弱さは、克服しなくてもいいと思う。強くならなくてもいいと思う。
ただ、誰かが支えてあげれば……守ってあげれば……それでいいと思う。
それは私でありたい。
私が守ってあげたい。
私が支えてあげたい。
でもどうやって……
私がしてあげられることは、多くない……
どうすればいいの? 答えを訊きたくて天空の星々を見上げても、星々はただただ私たちを見守っているだけ。
うん、ありがとう。答えが見つかったよ。
「……」
私はゆっくりと立ち上がると、彼の前に立った。
彼は私を気遣って、優しい眼差しを向けてくれる。ああ、何て優しいんだろう。
私は彼の頬をそっと手で触れた。
「哀しかったね」
そう、私にできることは、寄り添うこと。
星々のように、寄り添って彼の心に光を灯すこと。
「哀しい。私も。哀しいの」
髪と頬を撫でると、彼の琥珀色の瞳が揺れ動いた。
彼の心の色は悲哀の色。彼は哀しみに包まれているの。哀しみの精霊に……
「哀しい。哀しい」
「……う……ん」
「我慢しなくていいの。哀しいなら哀しんでいいの」
それは哀しみの精霊に言い聴かせる訳じゃなく、彼自身に向けて諭す言葉だったの。
「我慢したら……ダメ」
貴方は哀しいときにすべきことを知ってるでしょう?
そう伝えると、彼は口を開きかけては止め、開きかけては止め。やがて、小さく呟く。
「でも……」
流れる沈黙。私は彼の言葉をじっと待つ。
彼は潤んだ瞳で、やっと声を出す。
「神殿、騎士たる、者が……情けない、姿を……見せる、訳には……」
「情けなくない!」 私は真っ向から否定する。「子供たちの死を悼む姿の何が情けないの? 神殿騎士様は、誰かの死を哀しんではいけないの? そんなに……冷徹なの……?」
「……」
哀しみたくても、哀しめないひとはきっといるよ……
子供たちを守るために先に逝った親たちが、きっと……
その親は、我が子を守れなかった哀しみを、涙することができないんだよ……?
「代わりに……泣いてあげなきゃ……」
彼は静かに瞼を閉じて「うん」と答えると、うっすらと涙が滲んで来て……やがて……
ボロボロと涙が……
大粒の涙が……
ああ、流れ星のように……
綺麗……
そんな彼を見ると……
ああ、私……どうしたんだろう。
胸が、熱くて……
胸が、苦しくて……
ああ、彼を……心行くまで泣かせてあげたい
全ての哀しみを出しきるまで、泣かせてあげたい
ただただ安心して、泣かせてあげたい
「助けたいって……言って……これか……」
「……」
「たすけて、きますと、いって、これかぁ……」
「……」
ああ、胸が……
張り裂けそうで……苦しいの
胸が……ただただ、張り裂けそうで……もう
分からない……何でこんなに胸が張り裂けそうなの……
私は、苦しさをごまかすように、彼の髪を指で梳かす
はぁ
はぁ……柔らかな髪
無防備な彼
髪を梳かしながらそっと抱き寄せる
私の胸の中で、彼が安心して涙を流せるように
彼が照れて離れないよう、頭に腕を回して包み込む
「みなの、がわりに……だずげで、ぐるっで……ごれがぁ……」
「……」
「ぐふっ、な、なざげ……ない……、なざげ、な……いよぉ……ぐぅぅ~~……」
「涙を流していいの……」 彼の柔らかな髪に頬を乗せて小さく小さく囁く「私も、誰も……見ていないから」
嘘なの
もっともらしい嘘なの
本当は、私のためなの……
「ぐふぅぅ……ぐやじいよぉ……」
「うん……うん……」
彼を想うと張り裂けそうで……
胸が苦しくて……苦しくて、苦しくて
ただただ苦しくて
こうすれば胸が塞がれるの
「ぐう、なざげ……ないよぅ……」
「いい子……いい子……」
胸に埋まった頭を撫でる
高鳴る心臓の音が聴こえてしまうかしら
でもこうしたいの
「ううぅ~~、ぐふうぅう~~……」
「いい子……いい子……」
胸に埋まった頭を撫でる
彼の柔らかい髪に頬を寄せて優しく撫でる
あぁ……彼の熱い涙が……
あぁ……胸に染み込んで……
あぁ……嗚咽が胸に染み込んで……
はあぁ
この人を守ってあげたい
とても強いのに、どこか脆いこの人を
守ってあげたい
癒してあげたい
私ができるかなんて分からないけれど
守ってあげたい
癒してあげたい
一緒にいたい
彼のそばにいたいの
ずっと一緒にいたいの
この星々のように
寄り添って
今年も一年ありがとうございました。
来年もよろしくどうぞ。




